表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
60/260

第60話 クワガタ

タイトルが思い付かず結構適当です。あまり気にしないで下さい。

『全く良い身分だ……』


 潜入した天井裏で、3人の貴族らしき豚共が豪勢な食事をしているのを見て、ティノは心の中で呟いた。

 この豚共のせいで、この町の人々が食料が無く弱っているのに、張本人の豚共は気にする素振りなど全く無いようだ。


「これだけの数がいれば勝利は確実、蟻を潰すのに焦る必要などあるまい」


 豚の1人のベリザリオと呼ばれた男が、酒の入ったグラスを手に話し出した。


「最近親父はハンソーを攻める事ばかり指示して来やがって、たまにはのんびり過ごさせろっての!」


「オルチーニ公爵家の御嫡男であられるベリザリオ様に、御父君は期待しておられるのではないでしょうか?」


「セヴェリーノ殿の言う通りです。コレンナ家は内政にばかり力を入れて、戦の事は無知と言っても良いですからな」


 ベリザリオの愚痴に、残りの2人は気を紛らわせるような言葉をかけた。

 話の内容から、どうやらベリザリオは現リンカン王国の2大公爵家の嫡男らしい。

 コレンナ家はもう1つの公爵家の事で、この2つの公爵家は競い合うように、功をあらそっている。


「フフッ……、まぁともかく、後2、3日はのんびりさせてもらおう」


 おだてられた豚のベリザリオは気分を良くし、酒を口に含んだ。


『…………』


 豚共の話を聞いてて、段々腹が立ってきたティノは襲撃の日にちが分かったので、さっさと屋敷から脱出した。


「……あの豚共、……殺るか」


 ナイホソの町から気付かれずに出たティノは、ベリザリオ達の事を思い出し、腹いせに殺すことに決めた。


「……それじゃあ、トウダイに戻るか……」


 ティノはトウダイに戻り、エローエの戦力分析をしに気配を消して柵の中に入っていった。

 柵の中は、まだまだ瓦礫が散乱しているが、以前に比べればかなり撤去されていた。


「……あそこかな?」


 ティノが色々探し回っていたら、たくさんのテントが張られている場所を見つけた。

 そこから少し離れた場所、以前ルディチ家の館があった場所に、小さいながら木を組み立てた家があった。


「……クランのリーダーはいるかな?」


 ナイホソの時とは違い、隠れる場所が無さそうな家なので、ティノは闇魔法で陰から1匹のクワガタを取り出した。

 そのクワガタは闇魔法で契約した虫で、侵入しにくい所へ送り込む時に使っている。


「行ってこい」


 ティノが一言呟くと,クワガタはティノの手から飛び立ち、家の中に入っていった。


「………………いた」


 クワガタは親指位の大きさの為、少し時間がかかったが、数人が集まっている部屋を見つけることに成功した。





────────────────────


「ティノ様! 受かりました!」


 試験から数日後、ティノとマルコが泊まっている宿屋に学校から合格通知が届いた。

 書かれた通知には、合格の文字が書かれていた。


「そうか……、まぁ、良かったな」


 ティノは落ちる事はないと思っていたので、軽い言葉で返した。


「はい! ……ところで僕が学校の寮に入った後、ティノ様はどうするのですか?」


 マルコはティノの今後が気になり、率直に質問した。


「……どうするか? まぁ、とりあえずブラブラするかな?」


 どうやらティノは、まだ何も決めていないような感じだった。


「……夏にあるお前の長期休暇に、またこの町に来るからそれまで学校生活を楽しんでろ」


 そう言ってティノは、マルコの頭を撫でて微笑んだ。


「はい!」


 マルコは、小さい頃からティノのこのしぐさが好きだった。

 ティノの暖かい手に撫でられると、まるで、記憶にはないが父に撫でられているようで嬉しくなるためである。




「では、行ってきます!」


「おう! 元気でな」


 そして2日後、マルコは少ない荷物を持ち、短い言葉を交わして、ティノと別れて学校の寮に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ