第58話 思い付き
1回書いた文が全部消えた・・・。急いで書き直したので、もしかしたらおかしい所があるかもしれません。
クランエローエが、元ルディチ家の領地を占領した事は、ケトウ大陸全土にすぐに知れ渡った。
「へぇ~、エローエのメンバーってルディチ家の関係者だったのか……」
ティノは、新聞に書かれた文を読みながら呟いた。
エローエのメンバーは、ルディチ家の戦闘部隊に所属していた数人によって、作られた組織である。
それから、各地に散り散りになっていたトウダイの町の人々を集め、少しずつ拡大して来た。
拡大する内に、他のルディチ家領地だった、元ヤタ・ツカチの人々も集まって巨大な組織と化した。
彼等の目的は、ルディチ家によって治められていた、あの平和で豊かな土地を奪い、その日常を潰した現在のリンカン国王政権を打倒する事らしい。
マルコの父は、領民に好かれていたのであろう。
マルコの、人に好かれやすい性格は、父親ゆずりなのかとティノは思った。
まさかここまでの組織が出来るとは、想像出来なかった。
更に、ルディチ家と友好的だった、現在のリンカン国王政権に追われて、他国へ逃亡していた貴族達も、エローエに協力すべく、集結しつつあるらしい。
「面白くなってきたな……」
マルコにとって、物事が都合の良い方向に向かっている事に、ティノは思わず笑みを浮かべた。
「……よし、トウダイへ行こう!」
新聞を読み終えたティノは、そう思い付き、トウダイに向かう事にしたのだった。
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時は少し遡り、現在マルコはジョセンの初等部の学校に、試験を受けに試験会場に向かっていた。
「……緊張するなぁ」
マルコは小さい頃から、ティノに学問を学んでいたので自信はあったのだが、やはり試験となると緊張してきた。
“ドサッ!”
マルコの少し前を歩いていた、マルコと同様に試験を受けるだろう少年が、参考書に集中していたせいか、石につまずき、文房具を地面にぶちまけていた。
「イタタタッ……」
「君、大丈夫かい?」
近くにいたので、無視する訳にもいかなかったマルコは、散らばった文房具を少年と一緒に集めた。
「ありがとう。助かったぜ!」
「あっ、膝擦りむいてる」
“パー!”
マルコは少年の膝を、魔法によって回復した。
「……すげえな! 入学前から回復魔法が使えるのか?」
「……いやぁ、まぁね」
少年の素直な感想に、マルコは照れながら謙遜した。
「お前も試験受けるんだろ? 俺、ロメオってんだ! もし受かったらよろしくな!」
「僕はマルコ。こちらこそよろしく!」
マルコ達は握手を交わした後、2人で揃って試験会場に入って行った。
タイトル通り、ティノは思い付きで、トウダイに向かう事にしました。
今章からティノ重視で、幕間でマルコの事を書こうと思っていたのですが、結局書かなさそうだったので、2分割して書こうと思い付きました。




