第55話 クランエローエ
ーーケトウ大陸ハンソー王国のある町ーー
「くそがー!! モレーノとナルチーゾの野郎ふざけやがって!!」
「落ち着け! ベルナルド!」
この屋敷は、昔この国の貴族が所有していた物で、現在ある目的の為に彼らが購入したのだ。
「しかし、団……、リーダー……」
「あの2人組は、元々性格に難があったのは分かっていたことだ」
所有している組織は、ティノの監禁とマルコの誘拐を企てたモレーノが所属していたクラン、エローエのメンバーである。
「確かに分かっていた事ですが……」
リーダーと呼ばれた男の言葉に、側にいた女性が言葉を返した。
「我々の目的達成にはまだまだメンバーが足りない……」
「確かに……、目的の為には足りませんね……」
ベルナルドと呼ばれた男も、リーダーの言葉に賛成の言葉を呟いた。
「あの2人の事は教訓として学ぶべきだ……、戦力よりも今は数を増やす事に力を入れるべきだ」
「……分かりました。数の増加をクランの最優先事項に設定したいと思います」
そう言ってベルナルドと側にいた女性はリーダーの指示に従い、待たせていたクランメンバーの部屋に向かって行った。
『性格に難があったが、モレーノは戦力的にはかなりの持ち主だ。それを捕まえた男……、気になるが今はそれどころかではない! ハンソー王国が持ち応えられるのは恐らく5年位、それまでに戦力を増やす! そして必ず目的を達成してみせる!』
2人が去った部屋で残ったリーダーは、1人心の中で今までの決意を更に高めていた。
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「……と言うわけで、我々の目的の為に、これからはメンバー補充を最優先にすることになった」
先程のリーダーとの話し合いによって結論付けた事を、ベルナルドはクランメンバーの前で説明した。
「……すいません皆さん。あのとき力ずくでもモレーノを止めてれば……」
以前モレーノがギルドでティノにいちゃもんを付けた時に、モレーノと一緒にいた男のヤコボが、この屋敷に集まったエローエのメンバーに向かって深々と頭を下げた。
「……あまり気にするな。あいつの目付け役を態々受けてくれたお前は良くやっていた。リーダーもお前の判断は仕方ないと許していた」
「……それでも、あの馬鹿を止めるべきでした……」
ヤコボは、まさかモレーノがあそこまで馬鹿だとは思わなかったので、奴の行動によってクランにペナルティーが課せられた事に、モレーノだけでなく自分にも腹が立っていた。
「馬鹿のせいでクラン拡大は遅れるかもしれないが、これまで同様我々の最終目的の為に力を合わせて頑張ろう」
「「「「「「「「「「オー!!」」」」」」」」」」
ベルナルドの言葉に、集まったエローエのメンバーは力のこもった返事で答えた。
あまり内容的にまとまっていないのですが、今回で3章はお終いです。
次回の内容はまだ決まっていませんが、マルコをちょっと成長させるつもりです。




