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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第50話 毛玉

 エヴァンドロが、冒険者登録してから数日たった。

 現在ティノ達は、ソーツの町近くのいつもの草原で、マルコの訓練を兼ねた魔物討伐をしていた。


「スパーダ・ディ・アックア(水の刃)」


 最近は、戦闘に魔法を使いつつ戦う事が出来るようになって来たマルコが、火吹き蛙2匹に向かって水魔法を放った。


“スパッ!”


 マルコの魔法によって、蛙の頭部は胴体から切り飛ばされた。


「ティノしゃま~!」


 魔物を倒したマルコは、ティノに向かって走り出した。


「今のはとても良かったぞ」


 笑顔でティノに寄ってきたマルコを、ティノは魔法を誉めつつマルコの頭を撫でた。


「……他人から見たら、どう見ても親子だな……」


 2人のやり取りを見ていたエヴァンドロは、しみじみと呟いた。

 ここ数日エヴァンドロと3人で戦っていたのだが、エヴァンドロは料理スキルの影響なのか、短刀を使った戦闘が得意なようである。

 魔法の方は、料理で使う用に覚えていた数種類の初級が使えた。

 エヴァンドロが言うには、チリアーコの奴隷だった頃、時おり戦闘をさせられていたので、多少の荒事には対処出来るようである。


「……ハハッ、違いますよ」


 苦笑しつつ、ティノは否定した。


「マルコ、あっちにまた魔物が現れたぞ!」


「はいっ!」


 ティノはエヴァンドロを誤魔化す為、少し遠くに見えた森近くに現れた魔物を指さし、マルコに討伐をするように向かわせた。

 ティノに促されたマルコは元気に返事して、魔物に向かって走っていった。


「エヴァンドロさん……」


 マルコが少し離れたのを見て、ティノはエヴァンドロに声をかけた。


「んっ?」


「明後日の事なのですが、1日マルコの面倒を見ていて貰えませんか?」


「……明後日? 別に構わないけど……、何かあるのか?」


 ティノの突然の頼みを受け、エヴァンドロは理由が気になった。


「明後日の1日を使って、現在のケトウ大陸の情勢を調べて来ようと思いまして……」


「ケトウ……? ケトウ大陸は今、各国が戦争状態で危ねえらしいが……、そうか、2人はケトウ出身だったのか……」


 ティノとマルコの出身であるケトウ大陸は、エヴァンドロが言ったように、戦争続きでかなり危険である。

 しかしティノは、妻のラウラが眠るトウダイ村の現状がずっと気になっていたので、1度様子を見に行きたいと思っていた。

 マルコを1人で置いて行くのは、先日の件もあり気が引けたが、エヴァンドロなら1日位任せても大丈夫だと思い、1度行ってみることにしたのである。


「すいませんがお願いします」


「あぁ、全然大丈夫だぜ!」


「ありがとうございます」


 ティノの頼みをエヴァンドロは快く引き受けてくれた。

 その事に、ティノは頭を下げて感謝した。


「……あれっ? マルコは……?」


「……?」


 2人が話している間、魔物と戦っていたはずのマルコの姿が、回りを見渡しても見当たらなかった。


「まさかっ! 森に入って行ったのか?」


「!?」


 マルコが戦っていたのが森の近くだったので、ティノとエヴァンドロはその事に思い至り、森に向かって走り出そうとした。


“テテテテッ!”


「ティノしゃま~!」


 しかし2人が走り出す寸前で、森からマルコが走ってきた。


「マルコ! 勝手に森には入るなとあれほど……」


 ティノがいつも言い聞かせていた事を破り、勝手に森に入ったマルコを叱ろうと思ったティノだが、いつもと違うマルコの様子を見て、途中で止まってしまった。


「ティノしゃま! このこをみてくだしゃい!」


 そう言ったマルコの手には、真っ白な丸い毛玉のような物を持っていた。


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