第48話 ソーツのギルマス
翌日ティノとマルコは、エヴァンドロと共にまず冒険者ギルドに向かった。
昨日の捕まえたモレーノとナルチーゾの事を聞く為である。
「エヴァンドロさんは、料理人になるまでの為に一応登録しておいたら良いんじゃないですか?」
ギルドに向かう途中、ティノは料理人になるまでの資金稼ぎの為にもギルド登録を進めた。
「そうだな。身分証代わりに登録しておくか……」
奴隷から解放されたばかりなので身分証がなかったので、昨日町に入るときエヴァンドロは、門番に仮証明書の発行と少しの保証金を支払うことで、町に入れてもらえたのである。
「2人はどれ程のランクなんだ?」
ティノが、チリアーコの護衛達をあっさり倒していたのを見ていたエヴァンドロは、ティノが相当高ランクなのだと思い尋ねた。
「……いや、俺は登録していませんよ」
不老のスキルをギルドに知られたくないティノは、現在に至ってもギルドに登録はしていない。
エヴァンドロにも教えるつもりがなかったので、ティノは短い返事で返した。
「え!? あんた程の強さならS以上の実力だろ? 何で登録しないんだ?」
ティノの言葉を聞いたエヴァンドロは、当然の言葉を口にした。
「諸事情がありまして……、マルコはその内登録させようとは思ってるんですが……」
ティノは言葉を濁しつつ答え、話をマルコの事に移した。
「!!? ティノしゃま、ほんとうでしゅか?」
エヴァンドロの質問を交わすため言ったティノの言葉に、反応したのはマルコだった。
ティノの魔法の指輪の中にある書物を、ティノはマルコによく物語を読んであげているので、冒険者に興味があるマルコは、冒険者になれることに嬉しそうだった。
「その内な……」
ティノの息子で、ルディチ家初代のカルロも、冒険者から成り上がった人物であることも影響あるのか、冒険者に憧れるマルコの頭を撫で、ティノはマルコに微笑んだ。
――――――――――――――――――――
「ようこそいらっしゃいました! ティノ様、ギルドマスターがお待ちです。特別室へどうぞ!」
冒険者ギルドにたどり着くと、ティノ達は受付の女性の案内で特別室に向かった。
“コンッ!”“コンッ!”
「どうぞ!」
特別室の扉をティノがノックすると、中から返事がした。
「失礼します」
中に入ると1人の中年男性が座っていた。
恐らくこの人物がギルドマスターだろう。
「いやー、あなたがティノさんですか? 昨日は大変でしたな……」
受付から連絡があったのか、その人物は立ち上がりティノに握手をしてきた。
「…………なるほど」
少し長めの握手をしていた男性は、何かを理解したのか握手した手を離した。
「冒険者でない人物が、高ランククランメンバーのモレーノを捕まえたと聞いて耳を疑ったが、ティノさん、あんたはどうやらとんでもない実力者みたいだな?」
先程の握手でティノの実力を理解したのか、男性はティノに関心を示したようだ。
「失礼! 申し遅れた。私がソーツのギルドマスターのサンドロです」
そう言ってサンドロは、にっこりと微笑んだのだった。




