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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第46話 スープ

 マルコを救出したティノは、獣人の男エヴァンドロを連れてソーツの町に引き返していた。


「ところで、エヴァンドロさんはソーツに行ったらどうするのですか?」


 奴隷の首輪が外れた今、これからの生活の為に働かないとならない。

 さっきまで奴隷だったエヴァンドロのこの先の事が気になり、ティノは歩きながら問いかけた。

 因みに、マルコは町に向かい出してすぐに、助かった安堵からかウトウトし出したので、おんぶされたティノの背中でスヤスヤと眠りについている。


「昔から料理が好きなんで、どこかの料理店で雇って貰って、そのうち店でも持てたらと思っているよ」


「そうですか……、あなたの料理を食べてみたいですね。私は料理のスキルが無いもので……」


 ティノは左手の魔法の指輪の中に、たくさんの料理を収納しているので、野宿をする時はそれを食べるし、町では店で食べるので料理はしない。

 大昔トウダイで一人暮らしをしていた時は、簡単な料理をしていたが、包丁などはほとんど使わない調理だったせいか、スキルは手に入らなかった。


「助けられた礼に、食材と器具さえあればいつでも作るよ」


「本当ですか? マルコの事があってまだ夕食を食べていないんですよ。少しの食材と鍋しかないですが、今作って貰えますか?」


 丁度夕食を食べる前に色々な事が起こったので、ティノは思い出したように腹が鳴り出した。


「あぁ、じゃあ食材を見せて貰えるかい?」


 マルコを背負ったティノとエヴァンドロは、町が見えて来た草原で調理することにした。


「はい! どうぞ……、これだけですが作れますか?」


 ティノは魔法の指輪から、1角兎の肉とジャガイモ、玉葱、ニンジン、塩、胡椒、バターと鍋と包丁代わりのナイフを取り出した。


「この食材なら、悩むまでもなくスープだな……、まかせときな!」


 石を集めた簡単なかまどに鍋を乗せ、ナイフで切った野菜をバターで炒め、ティノの水魔法で出した水と肉を鍋に入れ煮込み、塩、胡椒で味を付けた。


「まぁ、簡単に作ったもんだけど、食ってくれや!」


 ティノの魔法の指輪から食器を出し、それによそったスープをティノに渡しエヴァンドロは言った。


「おぉっ! うまそうだ!」


「……ふぁ、……いいにおいでしゅ。」


 匂いにつられたのか、眠っていたマルコが目を覚ました。


「マルコ、起きたか? エヴァンドロさんがスープを作ってくれたぞ。食うか?」


「……!! たべるでしゅ!」


 寝ぼけていたマルコだが、お腹が空いていたのか食事と聞いて目が覚めたようである。


「ハフ、ハフ、おいしいでしゅ!」


 スープの野菜をスプーンですくい、マルコは嬉しそうに食べた。


「うん、旨い! エヴァンドロさんすごいですね!」


 お世辞ではなく、出来たスープはとても美味しかった。

 長い事生きているティノだが、高めの料理店でしかこれほどの料理は味わったことがない。


「いや~、喜んでもらえて嬉しいぜ!」


 ティノに誉められたエヴァンドロは、照れながら嬉しそうに笑った。


「おじちゃん、すごいでしゅ!」


「あぁ、これならすぐにでも店が開けるんじゃないか?」


 マルコとティノは、嬉しそうにエヴァンドロと一緒に料理を楽しんだのだった。


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