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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第44話 解除

 マルコに言われたので、ティノはとりあえず馬車の中に入り、檻の中を覗き込んだ。

 そして、その檻の中には1人の獣人男性が入っていた。


「ティノしゃま! このかたでしゅ!」


 この獣人が、どうやらマルコが言っていた男性のようだ。


「はじめまして、家のがお世話になったそうで……」


 そう言って、ティノは獣人に頭を下げた。

 獣人の男は、戦闘音の後に突如現れたティノに驚いたが、マルコがどうやら救出されたのだと理解し、安心した。


「いや……、俺は特に何もしてないので……」


 ティノがマルコの親だと思った獣人は、素直な気持ちでそう言った。


「ティノしゃま! しばられていたぼくのなわをといてくれたでしゅ!」


 マルコは、獣人にしてもらった事をティノに説明した。


「本当にありがとうございました!」


 ティノは、もう一度獣人に向かって深く頭を下げた。


「いや、本当に気にしないでくれ……、ボウズ! 助かって良かったな?」


 獣人の男性は、優しい笑顔でマルコに話しかけた。


「おじちゃん! おじちゃんも一緒に行こう!」


「……確かに出て行きたいが、俺はこの通り奴隷の首輪をしてるから無理なんだ」


 マルコの言葉に獣人は首輪を指差し、出て行けない理由を告げた。

 奴隷の首輪があるので檻から出て行ったとしても、契約者のチリアーコと首輪に魔力の糸が繋がっているので、居場所はすぐにばれてしまう。

 そしたら、また連れ戻されるので今逃げても意味がない。


「……首輪を取りましょうか?」


「……えっ!?」


 獣人は、自分はいいから早くここから離れるように言おうとしたが、ティノがしれっと言った言葉に反応した。


「あんた奴隷契約を解除出来るんかい?」


「はい」


 奴隷契約は闇魔法の一種なので、現在のティノならば解除するのは大した事ではない。

 契約解除をするには、闇の反対である光魔法によって解除出来る。

 奴隷商人は、ほとんどが奴隷契約の闇魔法が使えるが、解除用の光魔法は使えない事が多い。

 ちゃんとした奴隷商人でも同様で、通常解除するには教会に奴隷とその契約者が一緒に行き、解除してもらうのが普通である。


「ティノしゃまはすごいんでしゅ!」


 獣人を安心させるため、マルコが胸を張って答えた。


「……頼む。首輪をとってくれ……」


 自信満々のマルコの顔を見て、獣人はティノに契約解除をお願いした。


「分かりました。……まさか犯罪奴隷じゃないですよね?」


 解除をする事になったが、重要なことを思い出しティノは質問した。


「あぁ、俺は借金奴隷だ」


 獣人は、嘘のない真剣な目でティノに答えた。

 その目を見たティノは、右手を獣人の首輪に向けた。


「分かりました。では……」


“ポウッ!”


 ティノの手が一瞬光ると、獣人の首輪が輝き出した。


“パキンッ!”


 少しの間輝いた首輪が、音を立てて壊れた。


「むんっ!」


“グニャ!”


 ティノが力をいれて、獣人が出れるように檻の棒を曲げた。


「!!?」


 あまり強そうに見えないティノが、あっさり棒を曲げた事に獣人は驚いた。


「では行きましょうか?」


 そう言ってティノは、馬車の中から出ていった。


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