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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第40話 詰問

 チリアーコと別れたモレーノは、ティノを閉じ込めた家屋の方に向かっていた。


「ナルチーゾの奴遅ーな……」


 モレーノは、ティノを閉じ込めた男のナルチーゾが待ち合わせの場所に来ない為、仕方なく様子を見に向かった。

 向かっている途中に、前方から歩いてくるナルチーゾを見つけた。


「ん? ナルチーゾ遅いじゃねえか! 仕方ねぇから来ちまっぜ!」


「…………」


 モレーノがナルチーゾに声をかけるが、ナルチーゾはうつ向いたままで返事を返さなかった。


「おいっ! ナルチー……」


“ドサッ!”


 モレーノが返事を返さないナルチーゾに近付いて行くと、ナルチーゾはその場に、糸が切れた人形ように倒れた。


「おいっ! ナルチーゾ! どうした!?」


 急に倒れたナルチーゾに向かって、モレーノは急いで駆け寄った。


“ザシュ!”“ザシュ!”


“ドサッ!”


 しかし、ナルチーゾに近付いていた途中でモレーノは、両足の膝から下が切り離されて前のめりに倒れた。


「……へっ?」


 何が起きたか分からず、上半身を起こして自分の足を見ると、あるべき場所に足が無く、大量の血が吹き出しているのと、自分の両足遠くに転がっているのを見つけた。


「ぐあーーーーーーーー!!!!!!!!」


 自分の状態に気付いたモレーノは、痛みから絶叫しのたうちまわった。


“ザッ!”


「単細胞だな……、脳に伝達するまでずいぶん経ってるぞ?」


 絶叫するモレーノのすぐそばに、剣を持ったティノが現れた。


「て、てめぇ……、な、何で……?」


 結界に閉じ込めたはずのティノが、目の前に現れた事にモレーノは目を見開き驚いた。


「何でって……、結界から出たからだよ」


 訳が分からない様子のモレーノに、ティノはしれっと答えた。

 ナルチーゾによって閉じ込められたティノは、扉に向かって練り上げた強力な魔力を放ち、扉に仕掛けられた魔道具を破壊して外に出たのだった。

 ティノが出てきたことに驚くナルチーゾを、直ぐ様気を失わせ、闇魔法で操りモレーノをおびき寄せたのだった。


「バ、バカな!? あ、あの結界から出るなんて……」


「バカはお前だ! 結構強力な魔道具使いやがって、出るのに疲れただろうが!」


 言葉ではそう言いつつ、ティノは大した事無さそうに呟いた。

 実際結界に使用された魔道具は、大昔ティノが戦ったドラーゴ程度の魔物ならば、何をしても絶対に出てこれない程の強力な魔道具だった。


「グッ……! て、てめぇが俺の足を……!?」


「あぁ、切った!」


 モレーノとのやりとりが面倒くさくなり、ティノは端的に答えた。


「て、てめぇ……、こんな事してガキがどうなっても良いのか!?」


「!? 何だ? マルコにも手を出したのか?」


“ニヤリッ!”


 ティノの言葉を聞いて、モレーノは口の端を上げて笑った。


「へ、へへっ……、あのガキがどうなっても……」


“ザシュ!”


 モレーノが話している途中で、ティノはモレーノの左手を切り落とした。


「ぐあーーーーー!!!!!」


 肘から先が切り落とされたモレーノは、また大声を上げて叫んだ。


「ぐだぐだうるせぇな! マルコをどうした?」


 面倒なやりとりに飽きたティノは、苛立ちながら剣をモレーノの目の前に突きつけた。


「ガ、ガキは奴隷商に売り付けた! ちょ、ちょっと前に隣町に売りに出た。」


「本当か?」


 モレーノの言葉が本当か確める為、ティノは剣をモレーノの首に沿わせた。


「ほ、本当だ! だ、だから勘弁してくれ!」


「…………」


“ドガッ!”


 ティノは無言で以前同様モレーノに拳骨を落とし、気を失わせた。

 その後、気を失っているモレーノの手足を魔法でくっ付け、モレーノとナルチーゾを魔法の指輪から出した紐で縛り、ギルドに引きずり届けて報告した後、ティノはマルコを追いかける為、ギルドから飛び出していった。


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