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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第38話 揉め事

「チクショウ! あの野郎! ぶち殺してやる!」


 ギルド内でティノに打ちのめされた男が、クラン専用の宿舎でティノにやられた怒りを口にしていた。


「何言ってんだよ。お前が悪いんだろうが。あんな子供に突っかかって……」


 倒された男を担いできた男が、正論を述べる。


「うるせーよヤコボ! お前はムカつかねーのかよ!? 俺達のクランを舐めやがったんだぞ!」


「別に……、て言うかあの父親の奴タダ者じゃねぇぞ」


 やられた男と違い冷静にティノの動きを見ていたヤコボは、ティノが自分より上だと強さをしっかりと見極めていた。


「おいっ! アイツぶちのめすぞ!」


「……いや、勝手にやれよ。大体ミスったらリーダーに殺されるぞ!」


「ミスらなけりゃ大丈夫だろ! ビビってんじゃねぇよ!」


「……うざっ! 聞かなかったことにしてやるから止めとけよ!」


 そう言って、ヤコボは宿舎から出ていった。


「クソッ!」


“ドガッ!”


 1人残された男は怒りが収まらず、そばにあった机を叩き壊した。





――――――――――――――――――――


 ギルドで揉めてから1週間、ティノ達は町近くの場所でマルコの訓練に魔物退治をしていた。


「ゲコッ!」


“ボウッ!”


「水壁!」


“ジュッ!”


 火吹き蛙が吹いた火を、マルコが水魔法の壁で防いだ。


「ターッ!」


“ザクッ!”


 火を防いだ後、マルコはそのまま火を吹いた蛙に近付き剣で切り裂いた。


「良いぞ! そろそろ次の訓練に移るか?」


 ティノの当初の予定通り、マルコは魔法と剣術を合わせた戦闘が出来るようになってきた。


「ほんとうでしゅか?」


 ティノに誉められ嬉しそうなマルコをよそに、次の訓練地を探さないといけなくなったティノは、頭を悩ませ始めた。


「取り敢えず今日は宿に帰るか……?」


「はいっ!」


 ティノは次の訓練地をゆっくり探す為、マルコと一緒に宿屋に帰ることにした。





――――――――――――――――――――


“コンッ!”“コンッ!”


 宿屋に帰り、次の目的地を探して地図を見ていたティノに来訪者が来た。


「はいっ?」


 部屋の扉をノックされたティノは、すぐに扉を開けた。


「すいません! 私クラン、エローエの者ですが……、先日うちのメンバーがご迷惑をお掛けした方が、ここにいらっしゃると聞いて来たのですが……?」


「えっ……? あぁ、あの時の……」


 最初クラン名を聞いても分からなかったが、迷惑と聞いて思い出した。


「すいません……、その事でクランリーダーが謝罪がしたいと仰って……」


「いや、気にしてないので……」


 そう言ってティノは、話を打ち切ろうと扉を閉めようとした。


「ちょ、ちょっと待って下さい! すいませんがリーダーに会って頂けますか?」


「ん~……、仕方ない。じゃあ行きますか?」


 面倒くさいが、さっさと終わらせようと、ティノは客の男に付いていくことにした。


「マルコ! ちょっと出てくる。大人しく待ってろよ!」


「はいっ!」


 ティノは宿屋の部屋に、マルコを置いて迎えに来た男に付いて出て行った。



「へへっ……」

 

ティノと男が宿屋から出て行くのを、隠れた場所から見ていた男がほくそ笑んだ。






――――――――――――――――――――


“コンッ!”“コンッ!”


「はいっ……」


 宿屋の部屋で、一人でいたマルコは扉をノックされた事で、思わず扉を開けてしまった。


「ようっ!」


 マルコが開けた扉の先には、以前ギルドで絡んできた冒険者が立っていた。


「!?」


 その男の顔を見たマルコは、思わず直ぐ様扉を閉めようとした。


“ガッ!”


「そう慌てんなよ……!」


 そう言って男は足を扉の間に挟み、マルコが閉める扉を無理やり止めのだった。


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