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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第3章
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第37話 お約束

 ソーツの町に来てしばらくたち、この日ティノはマルコを連れて冒険者ギルドに向かった。


「ティノしゃま、きょうはなにを……」


 今までギルドに来たことが無かったマルコは、内心嬉しそうにティノに手を引かれてやって来た。


「倒してたまった魔石を買い取ってもらおうと思ってな……」


 マルコの訓練で倒した魔物の魔石が結構たまった為、ギルドに売りに来たのである。


「お前にもギルドがどういう所か見せておこうと思ってな……」


「そうでしゅか!」


 マルコにはよく絵本などを読んであげるのだが、そういった本の主役は大抵冒険者である為、憧れのような気持ちがあるのだろう。

 その冒険者が集まるギルドに来れてワクワクしているのか、先ほどからギルド内をキョロキョロと見回している。


「こんにちは」


 ギルドの買い取りコーナーに行き、職員に声をかけた。


「こんにちは、どのような商品を買い取りますか?」


「こちらを買い取って頂けますか?」


“ジャラ”“ジャラ”


 ティノは魔法の指輪から、結構な数の魔石を受付に出した。


「結構な数ですね……」


 あまり大きな魔石ではないが、その数に職員は思わず呟いた。


「鑑定と値段の計算をしますので、少々お待ちください」


「分かりました」


 職員に待つように言われたので、ティノとマルコは近くの椅子に座って待つことにした。


「いいかマルコ、ギルドには……」


「何でここにガキがいるんだ?」


 ティノがマルコに、ギルドでの注意点を教えようとしていたところ、子供のマルコを連れているティノに男が絡んできた。


「ふぇ?」


 なぜ絡まれているのか分からないマルコは、身を縮こませてティノにしがみついた。


「マルコ、ちょっと待ってろ……」


「おい! 聞いてんのかてめえ!」


 男を無視してマルコの相手をしていたティノに、男はティノの胸ぐらを掴みに来た。


“ドンッ!”


「うげっ……」


 掴みに来た男の手を交わしたティノは、そのまま男の懐に入りボディーブローをかました。

 不意の一撃に、絡んできた男は腹を抑えてうずくまった。


「こういった輩がいるから気を付けろよ!」


 この男を教訓にしながら、ティノはマルコにギルドでの注意点を告げた。


「ぐっ……、てめえ、俺をAランククランのエローエのメンバーだと知っててやってんのか!?」


 冒険者同士が作るチームの事をクランと呼ばれ、クランランクが存在する。

 クランの最高位がSランクなので、Aランククランといえばかなり有力なクランである。


「…………そんなの知らん」


“ボカッ!”


 男の言葉を無視してティノは、男に拳骨を落として気を失わせた。

 すると、


「すいません! うちのクランの者が申し訳ありません!」


突如気を失った男のクランの仲間らしき男性が現れ、男を連れていった。


「……まあ、絡まれないように気を付けろよって事だ」


「はい……」


 冒険者に憧れを持っていたマルコだったが、イメージが崩れたのか少し落ち込んでいた。

 しばらくして、ティノ達は魔石の精算をしてギルドを後にした。


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