第33話 大陸
この日もティノとマルコは、魔物を倒しに草原へとやって来た。
「ティノしゃま!」
ティノが指示を出す前に、マルコは発見した魔物を倒し、笑顔で魔石をひろって駆け寄ってきた。
マルコは最近、弱小魔物相手に余裕が生まれてきていた。
「良くやったマルコ!」
ティノは、寄ってきたマルコの頭を撫でて誉めた。
『そろそろ他の魔物と戦う訓練にした方が良いかな?』
マルコの頭を撫でながらティノは、心の中で考えていた。
このままここで戦っていても、マルコの訓練にならなくなってきたので、そろそろ他の町へ移動する時期だと考えた。
「マルコ! ここの魔物は相手にならなくなってきたから、そろそろ他の町に移動するか?」
「ほかのまち? たのしみでしゅ!」
マルコは旅行気分なのか、ワクワクした様子で喜んでいた。
「それじゃあ、今日は帰ってお世話になった人に挨拶に行くか?」
「はいっ!」
いつもより少し早い時間だが、今日はセービの町に戻って旅の支度をする事にした。
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夜セービの町の宿屋でマルコを寝かせた後、ティノは地図を広げて次に移動する町を探していた。
『……ん~、どこにするかのが一番なのかな?』
ティノはハンソー王国内で良い町を探しているのだが、マルコの訓練に適している町はあるのだが、西の方にあるのでいつ他国が攻めてくるか分からない今、安心して訓練する事が出来ない。
かといって東側は弱い魔物しかいない為、ティノはどうするか頭を悩ませていた。
『いっそ、他の大陸に移るか?』
この世界には4つの大陸があり、この西の大陸はケトウ大陸と呼ばれている。
この大陸の北東にモーホク大陸、南東にカケナ大陸があり、その2つの大陸の東にセイケ大陸がある。
このケトウ大陸は人族主義の考えの国が多く、モーホク大陸は一番小さいながら様々な種族が平和に暮らしていて、カケナ大陸は獣人族、セイケ大陸は魔人族が支配している。
『やっぱり、モーホク大陸かな?』
カケナもセイケも別に人族を排除しようと言う訳ではなく、出世が難しいというだけの事である。
その為、別にカケナやセイケでも構わないが、ティノが世界を回って一番居心地が良かったのがモーホク大陸だったので、選択肢的にモーホクになってくる。
『よしっ! モーホクに行くか!』
これからこの大陸は戦争があちこちで起こり、巻き込まれたくはないのでティノはマルコを連れてモーホク大陸に行くことに決めた。




