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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第2章
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第24話 決心

 結局ティノが、カルロがいるトウダイ村に帰ったのは、別れてから4年の月日がたってからだ。

 と言うのも、セービの街から船に乗ったら、行き先が違う船に乗ってしまい、隣の大陸に行ってしまった。

 着いた港で、乗り間違えによる過料を支払わなければならなくなり、セービへ戻る料金が足りなくなり、資金を稼いだり、手足を治したり、事件に巻き込まれたりしていたら、4年の月日がたっていた。


「……どうしよう? 俺死んだ事になってる」


 夕方にトウダイ村に着いたティノは、まず両親とラウラが眠るお墓を見に行った。

 そして、ラウラの名前の隣に自分の名前も彫られているのを見て、思わず呟いた。


「そりゃ、そうか……」


 ティノは少しの間考えたら納得した。


「ドラーゴを倒して姿が消えて、4年たってるんだもんなぁ、しかも……」


 ティノのお墓の近くには立て札があり、何か英雄扱いの文が書いてあり、沢山の花が飾られている。


「村人に見つかったら面倒そうだな……、見つからないようにカルロを探すか?」


 自分は英雄なんて柄じゃない。

 あの時はこのお墓と、カルロの為に戦ったに過ぎない。

 その為、ティノは遠くからカルロの様子を見ることにした。






――――――――――――――――――――


「……おっ? いた」


 ティノは村を密かに動き回り、少ししてカルロを見つけた。


「元気そうだ……」


 現在9才のカルロは、初等部に通っているのだろう。

 この村には学校はないので、昔からこの村の子供達は、隣のナイホソの街にある学校に通っている。

 そして昔から、この村の初等部に通っている子供達は、村が用意した馬車で朝出掛け、学校で授業を受けたら、また村の馬車で帰ってくるようになっている。 

 初等部に通っている他の子供達と一緒に、馬車で帰ってきたカルロは笑顔だった。

 そしてどうやらカルロは、村長の家にお世話になっているようだ。


「どうやら心配いらないみたいだな……」


 4年の月日で背丈も伸び、元気に育っているカルロを見て、ティノは村から離れていった。


 ティノは、不老のスキルをカルロに伝えるべきかどうか、ずっと悩んでいた。

 そして、カルロが村で元気に育っている姿を見て、決心がついた。

 ティノが死んだと思い、それでもしっかりと生きているカルロを、フラフラとあちこち浮浪する生き方をしている自分の側に置いておかない方が、カルロの為には良いと思った。


 それからティノは、月に数回カルロの様子を遠くから見守り、カルロが貴族になるまでを見届けた。





――――――――――――――――――――


 ティノがドラーゴと戦った翌日、村の男達によってドラーゴの死体が発見された。

 ドラーゴの死体には、ティノが持っていた剣が刺さっており、ドラーゴの死体同様男達によって村に運ばれた。

 ドラーゴの死体の周りには、ティノの物と思わしい大量の血痕が残っていた為、ティノはドラーゴと相討ちになり、亡くなったと思われた。

 このスタンピートの事件解決によって、ティノは英雄として村人達に祀られた。

 祖先(実際は両親とラウラ)の墓に、ティノの名が刻まれた。


「父ちゃん……」


 英雄となった父の名が刻まれた墓を、目に涙を溜めてカルロは呟いた。


「俺、父ちゃんの名に恥じない男になるよ!」


 墓に誓ったカルロは、このあと村人達に世話になり、初等部、高等部と学園に通い卒業した後、冒険者になった。

 父と違い武の才能があったカルロは、ギルドの最高ランクSSS(トリプル)ランクの冒険者になった。

 その功績により国から騎士爵を得て、トウダイ村を領地として与えられた。

 トウダイ村の村人達は、英雄の子の帰還に喜んだ。

 その後、領主となったカルロは村人達と協力して少しずつ発展させる事に尽力した。

 37才になった時、同じ騎士爵家の次女のカテリーナと結婚し、息子を1人授かった。

 そして73才で病によってこの世から去った。



 一気に飛んだ感じになってしまいました。4年間を更に細かく書いていたら、全く先に進まないので飛ばしました。

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