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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第8章
234/260

第234話 ギルド参戦

今年最後の投稿です。

皆さん良いお年をお迎えください。

「フ~……、ようやく倒せたか」


 帝国の奴隷兵の中で、一際王国兵たちが手を焼いた高ランク冒険者パーティーを倒すことに成功し、指揮を執っているベルナルドは一息を付いた。

 これまで何度も奴隷兵に手こずらされてきたが、この最終戦に向けて帝国も手を用意していたようだ。

 まさか、冒険者に手を出すなんて思ってもいなかったというのが本音だ。

 しかし、これでベルナルドの中である考えが導き出された。


「伝達兵! マルコ様へ報告を頼む!」


「かしこまりました!」


 その考えを伝えるため、伝達兵を王であるマルコの下へと向かわせた。






「何!? 帝国が自国内の冒険者ギルドを潰した?」


「本当か!?」


 ベルナルドの指示を受けた伝達兵がマルコの下へと辿り着き、その内容が伝わった。

 その内容に、マルコのみならず宰相のアドリアーノも驚きを隠せない。


「あれだけの冒険者が奴隷にされたということはそういうことだと思われます」


 Aランクの冒険者パーティーを奴隷にするなんてただ事ではない。

 そもそも冒険者ギルドとは、戦争時にどこの国にも加担しないからこそ世界中に支部を持っているのだ。

 傭兵として雇われて加担する者もいるが、それは大体が低ランクの冒険者であり、高ランクの冒険者が加担することはない。

 何故なら、高ランク冒険者の規定として、禁止されているからだ。

 その規定を破れば、他の高ランク冒険者による報復が待っている。

 それを考えれば、誰も加担しないのは当然のことだ。

 しかし、AもしくはSランクの冒険者によって構成されているAランクパーティーが、奴隷として帝国側に参加していた。

 規定があるのだから、自ら参加をするとは思えない。

 そうなると、彼らを無理やり奴隷化したということになる。


「そんなことしたら全世界を敵に回すだろ?」


 そんな暴挙を、冒険者たちをまとめているギルドが許すはずがない。

 世界中のネットワークを駆使し、帝国へ攻撃をしかけてくる可能性がある。

 それが分からないほど、皇帝のヴィーゴは馬鹿ではない。

 何か考えがあるのかもしれない。


「……もしかしたら、それでも大丈夫だと思っているのではないでしょうか?」


「そうか! 帝国がこの大陸を手に入れれば、いくら冒険者ギルドが総力を挙げて攻め込もうにも、上陸することすらできない。つまり今だからこそギルドに喧嘩を売ることができるということか!」


 アドリアーノの呟きにマルコが反応する。

 この西大陸で残る国は、このルディチ王国だけ。

 もしもこの戦いで帝国が勝利した場合、他の大陸からギルドの要請を受けた者が攻め込んで来ようにも、海から上陸を目指すしかない。

 だが、大陸全土が帝国の物だからどこからも進入することができない。

 空からの上陸手段はないことはないが、少数による上陸しか不可能だ。

 それでは仲間を待つ間に捕まって終わりだ。

 その状態になれば、ヴィーゴからしたらギルドなんて恐れるに足りない存在になるのだろう。


「……しかし、チャンスではないか?」


「と言いますと?」


 帝国が冒険者を使った理由は分かった。

 しかし、それならそれでマルコにはあることが思い浮かぶ。


「これでこの国の冒険者ギルドは戦う理由ができたと言うもの」


「なるほど!すぐに使いのものを送ります」


 たしかに、帝国が自国の冒険者ギルドを潰したのかもしれないが、元々帝国は多くの冒険者から不興を買っていた。

 その不人気から、もうだいぶ前から冒険者たちの流出が起こっていた。

 中には入手素材が帝国内にしかないから、止む終えず出国していなかった者たちもいただろうが、高ランクの冒険者は少ない。

 だから、奴隷化できた高ランクの冒険者パーティーが2組くらいしかいなかったのだろう。

 逆に、この王国には数組の高ランク冒険者パーティーが存在している。

 戦争に関わらないように他の大陸に避難した者もいるだろうが、残っている者もいるはず。

 それらが今なら協力を得られるのではないかということだ。


「失礼します!」


「何事だ?」


 ギルドに参加の要請を行かせようとした所に、1人の兵がマルコの下へ現れた。

 その慌てように、アドリアーノが問いかける。


「マルコ! 条件ができた。これから冒険者たちも参戦する!」


「ブルーノ! 助かる」


 まだ許可を出していないというのに、冒険者ギルドのルディチ王国支部のマスターであるブルーノが、マルコの下に現れた。

 元々王国びいきのブルーノは、何かしら参戦できる条件がないか待ち望んでいた。

 そのため、帝国が冒険者パーティーを奴隷化したという情報が入り、慌ててマルコの下へ参じたのだ。


「これで奴隷兵どころか帝国兵も出て来ざるを得ないだろう?」


「えぇ!」


 これまでは奴隷兵の数に苦戦をしてきたが、それも冒険者の参戦によって数の有利は亡くなるだろう。

 それどころか、戦闘経験の乏しい村人奴隷ばかりの帝国よりも、冒険者たちの方が荒事は得意と言ってもいい。

 帝国兵を引きずり出せる所まで来たのだから、かなり勝利へ前進したことになる。

 ただ、帝国兵も粒ぞろい。

 冒険者でもどれだけ立ち回れるか分からない。

 そのため、まだ有利と言える段階ではない。


「改めて気を引き締めて行こう!」


「はい!」


 帝国兵が出て来てからの勝負に持ってこれたが、そこからが再スタートになると言ってもいい。

 そのことに気付いたマルコは、もう一度気合いを入れなおしたのだった。



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