第23話 豆粒
前回は遅くなってすいませんでした。投稿の実行を押し忘れていたようで、朝になって気付きました。
「師匠! 申し訳ありませんでした」
城の門の前で、アルミロがティノに向かって頭を下げた。
「やめて下さい王子! 王族が簡単に頭を下げてはいけません」
頭を下げられたティノも恐縮してしまった。
「しかし……」
「こう言っては何ですが、こうなる事も予想しておりました」
「……すいません」
助けてもらい、護衛をしてもらい、更には魔法を教わったティノに、約束を破ってしまった事をアルミロは何度も謝罪してきた。
「すいません。少ないのですが、せめてこちらをお持ち下さい」
そう言ってアルミロは、金貨が入った小さな袋を渡してきた。
「……分かりました。ありがたく頂きます」
その中身はここまでの旅費位の額しか入っていなかったのだが、これ以上はアルミロの立場的に無理だろうと思い、ティノは素直に受け取った。
「……では」
一言挨拶してティノは場外へ出ていった。
「師匠! このご恩はいつか必ずお返しします!」
“バタンッ!”
門が閉まる直前に、アルミロは泣きそうな顔で叫んでいた。
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「……帰るか」
無駄骨に終わった旅だったが、他国の王族に恩を売れただけでも良しとして、ティノはまた来た道を帰ることにした。
「やっぱり自分で治すか……」
最初の考え通り、ティノは自分の魔法で地道に直すことにした。
「カルロ元気にしてるかな……?」
帰ることを考えたら、息子のカルロの事が気になってきた。
「早く帰ろ……」
そう呟いて、王都から港町セービに向かって歩き出した。
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1週間後、セービの宿屋に着いたティノは、最近始めた再生魔法を行っていた。
「ハッ!」
“フッ!”
「……やっぱり才能無いなあ~」
その日回復したのは、足に全魔力をほぼ注ぎ込んで、豆粒1つ分位の面積しか生えていない。
この燃費で結果がこれなので、自分の才能の無さに改めて愚痴るティノだった。




