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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第1章
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第15話 勝利の果て

 ティノの魔法によって、ドラーゴは弱っていく。


『流石にしぶといな、しかし幼竜で知能が低くて良かった』


 戦い始めてからドラーゴは、攻撃のパターンが同じで、ちゃんと距離を取っていれば脅威ではない。


「ガーーーーー!!!!!」


 ティノの魔法攻撃は効いているが、やや浅いのか、体が穴だらけになりつつも、なかなか倒れないでいた。

 しかし、時間が過ぎる毎にじわじわと動きは鈍ってきていた。

 浅いが、開いた傷から血が流れドラーゴは血まみれになっていた。


 その為、ティノは勝利を確信して油断をした。


「ガーーーーー!!!!!」


 ドラーゴは、これまで同様魔力の球を放った。


“タンッ!”


 そして、ティノもこれまで同様これを躱した。


「!!?」


 しかし、躱したティノの目前に大木が飛んで来ていた。


「クッ!」


 飛んで来ていた大木を、ティノは辛うじて躱した。


“バクッ!!”


 躱した方向にいたのは、口を開いて待ち受けていたドラーゴだった。

 ティノはその事に気付いた瞬間、左足の膝から下を喰い千切られた。

 ドラーゴは魔力の球を放つと同時に、ティノが避ける方向にこの戦闘中倒れた大木を尻尾で弾いて、逃げる方向を誘導したのだ。



「フグゥー……」


 無くした足から大量に血が吹き出し、ティノは痛みに苦痛の声をあげた。


「グッ!」


 痛みを耐えつつ、ティノは回復魔法によって傷を塞いだ。

 四肢欠損を瞬時に回復させる魔法を、ティノは使えない。

 この世界でそれができる人間は、国に1人か2人しかいない。

 光魔法だけを徹底的に訓練した天才位しか、欠損回復させる事は出来ない。

 そして、その魔法を使える人間は、国によって厚待遇で召し抱えられている。


「グッ! これ直すのにどんだけの時間と金がかかると思ってんだ?」


 瞬時に再生させる事は出来ないが、時間をかけて少しずつ回復させる事は可能だが、毎回大金を支払わなくてはならない。


「グルルルル……」


 ティノの足を喰い終えたドラーゴは、片足になりこれまでのようにティノが動き回れない事を確信しているのか、ゆっくりとティノの方に振り返った。


「参ったな……」


 左手に持った剣を杖がわりにして、冷たい汗をかきながらティノは片足で立つ。

 呟いた言葉の通り片足でドラーゴの攻撃を躱しきることは出来そうにない。


「ここまでか……?」


 元々普通の人間だったならば、すでに寿命を迎えていただろう。

 それほど長い人生を送ってきた。

 25才で何故か得た不老のスキルによって、この田舎の村から出て、たくさんの体験が出来た。

 このスキルを得なかったら、この村でひっそりと暮らしていただろう。

 ラウラに会うことも、カルロが生まれることも無かっただろう。


「カルロ……、ラウラ……」


 今にも飛び掛かろうとするドラーゴを前に、息子の顔と妻の顔がティノの頭に思い浮かんだ。


『カルロの事をお願いします』


 すると突然、ラウラが最後に言った言葉が頭に浮かんだ。


“ギリッ!”


 その言葉が浮かんだ瞬間、何に対してなのか怒りが込み上げてきたティノは、きつく歯を食いしばった。


「負けられない!! ここの村にはラウラが眠っているんだ!! それにカルロも帰りを待っているんだ!!」


 ここで死ぬ訳にはいかないという思いが沸き上がり、ティノは魔法を放とうとドラーゴに向かって右手をかざした。


「ガーーーーー!!!!!」


「!!?」


 しかしドラーゴは、ティノが魔法を放つ前に、接近し噛みついてきた。


“バクッ!”


 左手の剣と右足で地を弾き躱そうとしたが、前に出していた右手を喰い千切られた。


“ニヤッ!”


 右手を喰い千切られたティノだったが、次の瞬間片方の口の端をつり上げた。


「ゥオオオオーーー!!!」


“グシャ!”


 ティノは有りっ丈の力を左手に込めて、ドラーゴの右目に向かって剣を突き刺した。


「グガーーー!!!!!」


 目を潰されたドラーゴは、痛みで暴れだした。


「グッ! 放すかよ!」


 突き刺した剣を離さずにいる為、ティノは振り回される。


「表面は固くても、体内ってのは鍛えられないだろ?」


 振り回されつつ、ティノは突き刺さした剣先に魔力を集めた。


「リッチョ《針ネズミ》」


“ズバッ!!!!”


 ティノが放った魔法によって、ドラーゴの体中から無数の氷の針が突き出した。


「グガーーーーー!!!!!」


“ドスンッ!”


 体の中から突き出た氷の針を生やしたドラーゴは、悲鳴をあげて崩れ落ちた。


「うわっ!」


 ドラーゴが倒れた勢いによって、剣から手が離れたティノは放り出された。

 そして放り出されたティノは、直ぐ様右手の傷を回復魔法で塞いだ。


「グッ……、やった……、倒せた。」


“ビキビキ……”


「!!?」


 ドラーゴを倒せ、座って一息ついていたティノの下の地面にヒビが入り出した。


“ガコッ!”


「えっ!!?」


 地面に穴が空きティノは落下していった。


“ドボンッ!”


「ガハッ!」


 落ちた先は川が流れていて、そこに落ちたティノは抵抗虚しく流されていった。

 そしてその川の先は滝になっていて、ティノは片手、片足では何もできずそのまま滝から落ちて消えていった。


――ステータス――

〈名前〉ティノ

〈種族〉人族

〈性別〉男

〈能力〉Lv  107

    HP  23/283

    MP  41/407

    攻撃力 118

    守備力 109

    力   87

    素早さ 91

    賢さ  227

    耐久  82

〈スキル〉

農業  (Lv 4/10)

火魔法 (Lv 5/10)

水魔法 (Lv 6/10)

風魔法 (Lv 3/10)

土魔法 (Lv 3/10)

雷魔法 (Lv 2/10)

闇魔法 (Lv 2/10)

光魔法 (Lv 2/10)

無詠唱 (Lv 7/10)

剣術  (Lv 4/10)

武術  (Lv 3/10)

〈特殊スキル〉 不老

〈称号〉 浮浪者


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