第13話 誘導
「ガーーーーー!!!!!」
“バクッ!!”
「!!?」
現れたドラーゴは、自分が踏みつけて殺した魔物達を食べ始めた。
『今の内に……』
ドラーゴが魔物達を食べている内に村人達を逃がそうと思い、ティノは村人達の方を振り返った。
「!?」
しかし村人達を見ると、目を見開き、体を震わせ、とても逃げ出せる状態ではなかった。
「グルルルル……」
『まずい!!』
魔物達を食べ終えたドラーゴが、村人達の方に目を向けた。
その為、ティノはドラーゴの後方に移動した。
「|スパーダ・ディ・アックア《水の刀》!」
ティノは、ドラーゴの尻尾に向かって魔法を唱えた。
“ズバッ!”
「ガーーー!!!」
ティノの魔法は、ドラーゴの皮膚に少しだけ傷を付けた。
傷を付けられたドラーゴは、痛みに腹をたてたのか、ティノを睨み付けた。
「ガーーー!!!」
“ボンッ!”
ドラーゴは、いきなり口から巨大な魔力の球をティノへ向かって吐き出した。
「!!? クッ!」
“ガガガガガッ……! ズドンッ!”
ティノは魔力の球をかろうじて躱した。
躱した魔力の球は、森の木々をなぎ倒して飛んで行き、岩にぶつかり大爆発を起こし、クレーターを作り出した。
「ハハッ……、何て威力だよ……」
「ガーーーーー!!!!!」
『ここじゃ皆を巻き込む』
「付いて来い! トカゲ野郎!」
ティノはドラーゴを挑発して招きつつ、森の奥へ誘導して行った。。
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ティノは、村人達を巻き込まないように森の奥へドラーゴを連れて行った。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
「ガーーーーー!!!!!」
森の奥へ来たので、戦うため足を止めたティノに、ドラーゴは間髪入れず前足の爪で攻撃してきた。
「クッ!」
ティノは危なげなく攻撃を躱したが、起きた風圧で軽く飛ばされる。
「一撃でも喰らったら終わりだな……」
ティノは取りあえず、攻撃を躱しつつ様子を見ることにした。
『まずは種類は地竜、大きさ的には小さいので幼竜だろう』
ティノは、ドラーゴの爪や尻尾による攻撃を躱しつつ、考えをまとめていく。
『幼竜とは言え、恐らくSランクの魔物だ。こっちの攻撃は効くのか?』
ある程度相手の攻撃は読めてきた。
しかし、さっき放った水の魔法は少し傷を付けただけだった。
『1番得意な水魔法がどこまで通じるか……、他の魔法も試してみるか?』
ある程度考えがまとまり、今度はティノの攻撃が開始された。