第12話 ドラーゴ
ティノは、村の若い男性達が戦っていると聞いた方向へ急いだ。
「くそっ! 倒しても切りがない!」
わらわらと森から溢れてくる魔物を相手に、村の若者達は奮戦していた。
“ズドンッ!”
突如、若者達の前にいた魔物達に強力な火の玉が飛んできた。
「!!?」
突然の事に若者達も驚いた。
“ザッ!”
「皆さん! 無事ですか!?」
火の玉を放ったティノが到着した。
「あんた先日来た旅人の……、確かティノだったか?」
ティノの事に気付いた男性がいた。
「あなたは村長の……」
ティノも男性の事に気付いた。
その男性は村長の息子で、若者達の先頭に立ち魔物と戦っていた。
そのせいか、細かい切り傷を他の仲間より多く負っていた。
「確かジョルジョさんでしたね? これを傷を負った人達に……」
そう言って、ティノは魔法の指輪から回復薬を数本だし、ジョルジョに渡した。
「あぁ、ありがとう! しかし、良いのか?」
「大丈夫です! 自分用はまだあります!」
そう言って、ティノは魔法の指輪をした手を軽く振った。
「皆さん! 回復が終わったらDランク以下の魔物の相手をして下さい! Cランク以上の魔物は僕が相手をします!」
“バッ!”
そう言ってティノは魔法の指輪から剣を取り出し、火が収まり溢れ出して来た魔物に向かって行った。
ティノが参戦した事により戦場は安定した。
Cランクの魔物が多く、それ以下の魔物は村人達が相手をしているので、ティノの今のレベルなら危なげなく退治できた。
しかしティノは、倒しても切りがない状況と、弱小魔物が逃げていかない事に違和感を感じた。
『何かおかしい……、考えられるのは……』
魔物を倒しつつティノは考えを巡らせる。
「ジョルジョさん! もしかして最近地震がありませんでしたか?」
ティノは1つの考えが浮かんだので、村長の息子のジョルジョに質問をした。
「あぁ、確か2週間前に強めの地震があったが、それがどうかしたのか?」
ティノは、ジョルジョの答えを聞いて答えが浮かんだ。
「恐らくですが、地震によって森のどこかで魔素が湧く場所が出来てしまったのでしょう」
「何だと? どうすりゃ良いんだ?」
「魔素が湧くのが治まるまで倒し続けるしかありません!」
2週間前からだとけっこうな数の魔物が発生しているだろう。
しかし、かなりの数の魔物を倒した。
「かなりの数の魔物を倒したのでそろそろ治まると思います! それまで頑張って下さい!」
ティノが思っていた通り、少しずつ魔物は減り出した。
「治まって来ました! もう少しです!」
数が減り出した事により、ティノと村人達は余裕のようなものが出来て来た。
しかし、その時
“ズガーーーン!!!”
「ガーーーーー!!!!!」
「!!? なっ、何だと……?」
雑魚魔物達を踏みつけながら、ドラーゴがティノ達の前に現れた。
ドラーゴはイタリア語でドラゴンです。この作品は何となく、登場人物や魔物の名前をイタリア語で統一しています。ただの気まぐれなので深い意味はありません。