第10話 妻 その3
カルロが生まれてすくすくと育つなか、ラウラは体調を崩していった。
「ラウラ、ただいま」
「おかえりなさい」
ティノはこれまでの旅によって資金は十分持っていた為、ジソクの町でラウラの体調が良くなるまで家を借りて住むことにした。
ティノは簡単な回復魔法も使えたのだが、ラウラの体調を回復させる事は出来ず、ラウラの体調を回復させる為に、薬草などを手に入れるため動き回っていた。
「今日も以前本で見た薬草を手に入れたよ」
「……ごめんなさい。体調が良くならなくて……」
「何言ってるんだよ。君が良くなるならこんなこと何て事無いよ」
「アウ~」
「ああ、カルロちょっと待ってなすぐ御飯にするからな」
赤ん坊のカルロは離乳食になっているので、ティノはカルロをおんぶして、薬草探しに行っている。
それまでは、近くに住む赤ん坊を持つ女性に授乳してもらっていた。
ティノはラウラの為に、それからも一生懸命健康に良いと言われる薬草や食材を探したり、手に入れたりしたが、その努力も虚しく、カルロが生まれて1年後息を引き取った。
「ティノ……、ごめんなさい。カルロの事をお願いします」
ラウラの最後の言葉だ。
この言葉を話した後ラウラは目を閉じた。
最後は結婚式でティノが望んだ言葉通り、笑顔で静かに眠るように息を引き取った。
ティノの不老の事は、ダイトウ村に着いたときラウラに告げようと思っていたのだが、結局告げることは出来なかった。
「ラウラ……、安心してお休み。カルロは僕が全力で守るから……」
安らかな顔で眠るラウラに、大粒の涙を流しながらティノは誓った。
「マ~! マ~~!」
カルロもティノが泣いているからか、泣き出してしまった。
「カルロ……、お前も悲しいのか? 今日だけは好きなだけ泣いていいぞ」
その日はただ泣く事しか出来なかった。
翌日教会で葬儀をおこない、ゾンビ化、スケルトン化を防ぐ為、火葬して骨を粉砕し骨壺に入れた。
ラウラの骨は、ずっと行きたがっていたダイトウ村にあるティノの両親のお墓に納骨をすることにした。
それから3年は、カルロが小さい事からそのままジソクの町で過ごした。
3才になったカルロは、とても元気に育ち少し手を焼く程である。
「カルロ、そろそろ母さんを父さんの故郷に連れていこうと思って居るんだけど、付いてこれるかい?」
「うん。だいじょうぶ」
骨壺を魔法の指輪の中に入れて、元気とは言え3才児のカルロの疲労を見つつ、のんびりとダイトウ村を目指すして旅をすることにした。