第1話 誕生日
思いつきで書き始めました。次いつ投稿出来るか分かりませんが読んで頂けると光栄です。
リンカン王国の北東部にある農村の外れに、1人の青年がひっそりと暮らしていた。
青年の名前はティノ、この国では金髪や茶髪が多い中、ちょっと珍しい黒髪黒目で中肉中背の村人である。
今日も庭の畑で作業をして1日を過ごし、夕方自宅に戻って来ていた。
「ただいま、父さん」
ティノは部屋の1角の棚に飾られた短刀に手を合わせた。
その短刀は、ティノの父が愛用していた形見の品である。
ティノの父は、ティノが12才の時病にかかり亡くなった、それ以来彼は1人で12年この何もない場所に暮らしている。
彼はいつものように農作業で汚れた体を風呂場で洗い流し、夕食の準備を始めた。
風呂はこの世界では裕福な家にしか普通は無いのだが、ティノは風呂好きだった為、父が亡くなってから自分でコツコツと作成した自信作である。
「いただきます」
料理を作り上げ1人で黙々と食べるティノ、料理はパンにコーンスープと今日収穫した野菜のサラダと、いつもと変わらない食事である。
「ご馳走さまでした」
食器を片付けそろそろ眠りにつこうかと思った時ティノはあることに気づいた。
「あっ、今日誕生日だった」
今日はティノの25才の誕生日である。
「ステータスの確認しないと……」
そう言ってティノは、引き出しの中から一枚のカードを取りだし自分の血を1滴カードに垂らした。
この世界は魔法も有れば魔物などのモンスターも存在する世界である。
人間の1人1人にステータスが存在していて、鑑定のスキルもしくは生まれた子供に国から支給されるステータスカードで確認出来る。
この世界では色々な人間が色々なスキルを持っている。
ユニークスキルと呼ばれる特殊なスキル以外は大抵が訓練などで獲得出来るが、ユニークスキルの取得方法は生まれた時持っている場合以外は解明されていない。
スキルは生きて行くにはとても重要で、自分のスキルを知っているのは当然の事である。
この村は平和で、魔物も弱いのがたまに出るくらいであるため、ステータス確認は年に1度、誕生日に確認するようにティノは父に言われていた。
カードにティノのステータスが文字や数字で表示された。
〈名前〉ティノ
〈種族〉人族
〈性別〉男
〈能力〉Lv 1
HP 10/10
MP 4/4
攻撃力 6
守備力 5
力 6
素早さ 3
賢さ 7
耐久 5
〈スキル〉 農業(Lv 3/10)
〈特殊スキル〉 不老
〈称号〉 村人
「……えっ?」
〈特殊スキル〉 不老
「…………えっ??」
何度見ても“不老”の2文字がカードに記されている。
「…………なんで?」
何が何だか分からず、ティノはしばらく固まっていた。