新天地2
バスに揺られて、はや二日、やって来ました開拓村。
あぁ着いてしまった。
周りを見れば、砦を中心に数十のバラックが建っているそしてその外周を電気を流した有刺鉄線、
うん壁が無い。
そんな見通しの良い景色を俺達が堪能していると、
「虎二郎ちゃん!」
俺を指差しながら満面の笑みで近づいて来るオカマが居た。
" 叔父さん!"
其処に居るのは俺の知っている地味で物静かな遠山さんは無くパツキンミニスカのオカマちゃんだった。
「もう叔父さんはヤ・メ・テ!私の事はゴローちゃんと呼んで、ね!」
「叔父さん名前、金五郎じゃなかったっけ?」
「も〜う、金は取っちゃったの!」
"oh〜"
俺は何て言っていいか分からずフリーズしていると、
「虎二郎ちゃん砦に着いたらまず隊長さんに挨拶しないと、早く会って来なさい、驚くから!」
遠山の叔父さんはそう言ってウインクをした。
叔父さんもう十分驚いていますからこれ以上驚くと心がもたない様な気がするんですけど、
俺はそんな事を思いながら重い足取りで砦に向かった。
皆で砦に行って到着の旨を伝えると砦の責任者の部屋に通された。
"コンコン 失礼します。ハンター組合からやって来ました。"
祐太郎が代表して挨拶をすると、砦の責任者とおもわしき軍人が俺を見ながらでっかい声で話しかけて来た。
「虎二郎大きくなったな!」
其処には見るからに軍人さんな兄ちゃんが待って居た。
「兄ちゃんなの?」
「そうだ!久しぶりにだな!虎二郎。」
そう言うと兄ちゃんは俺の頭をなぜ回しながら聞いて来た。
「しかし虎二郎は家を継ぐとばかり思っていたのだがどうしてここに来たんだ。」
優しそうな眼差しで質問してきた兄ちゃんにこれ迄の事を説明すると、優しげだった兄ちゃんの表情が段々くもり始めやがてこめかみに血管が浮き出た。
「あの糞ムシが〜やはり無理矢理でも俺が士官学校に行く時に虎二郎を拉致するべきだった!オ〜ノ〜レ〜」
兄ちゃんが殺気全開で独り言を言ってる側で見ていた俺達はどうしていいか分からずにただオロオロするしかなかった。
「隊長、皆さんが怯えてますよ、落ち着いて下さい。」
兄ちゃんの後ろに居た女の人が諭すように注意してくれた。
"ウォッホン、ンン"
「あ〜済まなかった。少々興奮してしまったようだ。」
そう言って誤魔化すと兄は皆に向かって話し始めた。
「皆さん良く来てくれました。ここに来た皆さんは個々に色々な事情を抱えている事でしょう。
しかしこの砦においては過去の事は一切問いません。我々はあらゆる職種の人材が不足してます。
いったんはハンターとしてここに着でもその後、別の職に変更されても一向に構いません。ただ建前上1度は狩に出向いて貰います。」
兄の言葉の後を継いで先程の女の人が話し始めた。
「此処までで何か質問は在りますか?無ければこれから指定した部屋にて休憩をとって貰います。宜しいですか。」
「では解散!あぁ虎二郎さんは残って下さい、隊長と積もる話しも在るでしょう。」
兄ちゃんの後ろに居た女の人が気を聞かせてくれたようだが、正直話すこと無いです。出来れば部屋で寝ていたいです。
そんな思いも虚しく俺は兄貴の部屋に取り残された。
「兄ちゃん」
「何だ?」
「今の私気遣い出来ます的な女の人誰、兄ちゃんの彼女?」
「違う、あれは副官の長与曹長だ。」
「曹長って偉いの?」
「あ〜虎二郎は軍隊の階級とか知らないか?」
「知らない。」
「因みに兄ちゃんは大尉って階級だ。」
「ふ〜ん、それって偉いの?」
「う〜ん、正直微妙だ、しかし兄ちゃんはこんな所で終わる積りはない。」
「こんな所って兄ちゃんの生まれ故郷っすよ。」
"ウォッホン!"
「あっ誤魔化した。」
「それよりな、虎二郎お前と一緒に来た人達の事を聞かせてくれないか?」
まぁせっかく会えた兄ちゃんを困らせるのも何なので兄ちゃんの話しに乗ってみた。
「俺の右側に居たのが幼馴染みの祐太郎、兄ちゃん覚えてない。」
「政治家の石原さん家の子か!」
「そう、この度めでたく親父さんが落選致しましてここに来る破目になったの。でも彼奴はハンター高校出てるだけましかな。後の橋本さん夫婦と娘さんも蝶野さん武藤さんもペーパーハンターだって。」
「ふ〜む、そうか」
そう言うと兄ちゃんは少しだけ考えこんだ。
「あのな虎二郎今回のプロジェクトはこの砦から西に10キロほど行った所に在る湖に港を造るのが最終目標なんだ。ただその為には湖を囲む様に在る大森林を伐採して進まなきゃならない。判るか。」
スゲ〜面倒臭そうな事は伝わってます。
「森を伐採しながら西に進む過程に於て色々なトラブルが発生する。特に厄介なのが大型恐竜だ!小型の恐竜は大型重機を見て逃げるが大型恐竜は縄張りを荒らされたと思い襲って来る。これを未然に防ぐ為にお前達ハンターに森に入って狩をして貰うわけだ。」
詰まり新人ハンターの相手は大型恐竜ですか、そうですか、そりゃ人手が幾らあっても足らんはずだわ。
「もしヤバイと思ったら無理をせずに引き返せ、いいな!」
兄ちゃんは真剣な顔で俺に忠告してくれた。
だったらやらせんなよ兄ちゃん!
思わずツッコミを入れそうになったがその真剣な眼差しに圧され頷く事しか出来なかった。
俺はあてがわれたバラックに入りそこで休憩をしてる皆と合流してさっきの話を聞かせた。
「と云うわけで最初の狩りはしょうがないとしてもそれ以降の身の振り方を考えといた方が良いと思うよ。」
俺は暗くならないように軽めの口調で忠告をしたが何故か雰囲気はお通夜の様になってしまった。
俺はやっちまった空気に耐えられなくて早々に寝床についた。