独立そして新天地 1
10代でホームレスになってしまった俺に世間の皆様は冷たかった。
俺が道に座り込んでいると云うのに皆目を反らし足早に歩き去って行く。
まるで透明人間になったようだ。
目の前を歩くお姉いちゃんのパンツを除き混んでも気づかれない様な気もするが止めておこう。
さて座り込んでいても仕様が無い事は良く分かったので俺は立ち上がりハンター組合を目指した。
「という訳何ですよ〜今日子さん。」
「そっか、それは大変だったのね。」
「なので助けて下さい。出来れば今日子さんの家に泊めて貰ったりするのがベストです。」
「う〜ん残念だけど一寸無理かな、それに新人ハンターの相談は隣の受付で聞いてくれるからそっちに行ってね。」
俺が隣の受付を見ると、
「さっさとコッチに来んか!」
組合長が俺を見て手招きをしていた。
「全く虎男の奴も何を考えておるのやら?
まぁ今はお前さんの身の振り方だが実家を継げんとなるとハンター試験を受けにゃならんな。」
マジか!ハンター試験て何をやるのよ!テスト何て中学生の期末テスト以来何ですけど!俺が頭の中でパニクって居ると、
「しかしお前さんには組合員として依頼を処理してきた実績も在る。まぁワシの方から新規免許証を申請してやろう。感謝せい!」
"ハハァ〜組合長おありがとうございます。"
「フム、お前さんに感謝されるのはそれはそれで気持ち悪いの!」
んも〜どうすりゃいいのよ?
「んでお前さん住む所も無いんじゃろ。新人ハンターの寮に空きがある。まっ住む所が決まるまで其処に居れ!」
"オォ〜マジ組合長、神ですわ。今まで糞煩い爺だとか思っててマジすいません。"
"だ〜れ〜が糞爺だ!もう勘弁ならん!今日こそ我がレーザブレイドの錆びにしてくれる〜!"
爺が何か騒いで居るが無視をして話を進める。
「所で寮何てあったんですか。」
「ハァハァハァ全く、色々な事情により個人ハンターになる奴は其なりに居るのじゃ。しかしいきなりソロで狩に行けばただの自殺じゃ、其処で寮に入れて其なりに仲間を作って貰おうと云うわけじゃ。」
ふ〜んまぁ良く分からんが住まいはゲット出来たから良としよう。
俺は組合長から教えて貰った住所を頼りに寮とやらにやって来た。
最初の印象はボロい。これ以外の感想が思い浮かばなかった。
築何年建ってるか検討もつかんボロアパートに申し訳程度にハンター寮の看板がぶら下がっていた。
俺の部屋は103号室と言われて来たが本当に此処に住めんのか不安になってきた。・・・床抜けそう。
それでも床板を踏み抜かぬ様にそうっと歩いて部屋に向かって居ると、廊下を掃除している見馴れた馴染みの顔が居た。
「何をやってるんだ祐太郎。」
「それはコッチの台詞だ虎二郎。」
俺達はお互いを見詰めながらどデカいタメ息を漏らすのだった。
・・・「つまり親父さんが選挙に落ちたと。」
「そうだ。とても俺の就職の斡旋何てしてられんとよ。」
・・・「なんとまぁ桜子が義理の母親か?」
「お陰様で家を追い出された。」
俺達はこれまでに起きた事を話し合った。
"ハァ〜"
結果出てきたのはタメ息をだけだったが。
「それで祐太郎はハンターになるのか?」
「それ以外に就ける仕事が無い。虎二郎頼む、俺とチームを組んでくれ!」
まぁ知らない中じゃ無し性格も分かってる祐太郎なら問題無いか?
「じゃあ出来そうな依頼が有るか組合にでも聞きに行くか?」
「そうか!分かった直ぐに仕度する。」
"皆、経験者が来た。急げ〜!"
ナニを思ったのか祐太郎はアパート中に響き渡る声を張り上げた。
"ドタドタドタドタ バンッ!"
廊下を走る足音と共にドアが思いっきり開けられ部屋の中に老若男女大勢が雪崩れ込んで来た。
「オォ彼ですか!」 「はい!前に話した事の在る知り合いのハンターです。」 「良かった、此れで一家心中せずに済む。」 「貴方!父ちゃん!」
「ハーイ、ヨロシクね、何ならサービスしちゃうから、ネ!」
何なんだこのカオスな状況は?
いかん!俺の灰色の脳ミソは残念ながらこれ程大量のデータを処理出来るぼど出来が良くない。
俺が訳がわからず固まって居ると、祐太郎が助け船を出してくれた。
"皆さんそんなに一遍に喋ったってコイツには理解出来ませんよ、落ち着いて下さい。"
"オォ馬鹿なのか" "そうか、それは失礼をした"
"あのお兄ちゃん馬鹿なの?" "シッ言っちゃいけません" "大丈夫ヨ、男は財力"
馬鹿では無い!そして今俺を馬鹿って言った奴、後でブッ飛ばす。
「虎二郎済まんな驚かせて!」
そう言って祐太郎はこの状況の説明を始めた。
「まず最初に言っておくとこの人達はこのアパートに居る、新人ハンターだ。」
そうはとても見えないが、俺がそう口に出す前に祐太郎が喋り始めた。
「お前から見たら全員そうは見えないだろう。だがそうなんだ。皆それぞれの事情を抱えてハンターになった。だから先ずソコは理解しろ!分からなくても判れ!」
祐太郎は親父さん仕込みの説得力で俺をねじ伏せた。
「わっ分かった。」
「善し!問題は此処にいる虎二郎を除く全員がペーパーハンターと云う所だ」
「ペッペーパーハンターって何?」
「虎二郎の様に親の稼業を引き継いでハンターになった奴は知らないだろうが、ハンター試験は基本的にペーパーテストで合否が決まる。ただし本気で外の世界でハンターをやろうと思ってる奴等はハンター高校を卒業する。お前も試験官として参加したあれだ。しかしそうじゃ無くハンター資格を取る人達もいるんだ。」
へー知らんかった。
「例えばこちらの蝶野さん会社が某大手警備会社の為、事務職で入社したにも拘わらず強制的に免許を取らされた。」
「こんにちは蝶野です。会社から強制的に試験受けさせられた揚げ句、ハンターがストライキ起こしたら、急遽臨時ハンターに仕立てられて輸送業務に付かされるは大型恐竜に襲われるは、同僚は食べられちゃうし、もう会社にウンザリしちゃいましてね、会社の金、使い込みまして、まぁ当然バレてクビになりました。」
うん重い、そして微妙に思い当たる。
「それから此方にいる橋本さんご夫妻と娘さん、某武器製造卸業の下請けをされていたが昨今のレーザ兵器に推されて倒産された。」
「橋本です。私は剣や槍、斧何かの製造を代々やって来たんですが、今は鋼の武器を使われる方が少なくなってしまって・・・オォ失礼ながら虎二郎さんの武器は、大型のバトルアックス!これ私が作った奴です。確かハンター組合の忘年会の景品用に頼まれて、まさかこれ使える人がいたなんて。」
糞親父!忘年会の景品を俺に使わせてたのか!
「祐太郎それであの人は?」
俺が指差した先には明らかにハンター試験を受けなさそうなエッチな雰囲気プンプンのお姉様が下着姿で立っていた。
「あぁ此方は・・・」
「ハ〜イ、こんにちはアタシの名前は武藤敬子、ヨロシクね。」
「ゴホン、武藤さんはハンター免許を譲渡されたんだ。普通は親から子供にが一般的なんだが、たま〜に夫から妻に譲渡される場合も在る。武藤さんのがその例だ。」
成る程、そういう事も在るのか。
「ダーリンと結婚して此れからって時に死なれちゃってね。」
「それはお気の毒に、ご主人は狩の事故で?」
「いいえ、老衰でした。」
"・・・はぁ?"
「そうしたら前妻と子供達が出てきて裁判になって殆ど持ってかれちゃって、残ったのがハンター免許だったんです。ウヮーン!アタシの宝石〜!」
「とまぁこんな感じで皆ペーパーハンターな訳だ。それでも喰っていかにゃならん!その為には経験者の力がいる。俺は本当はこの後お前の家に行って助けて貰おうと思っていた。それがまさかソッチから来てくれるとはな。」
「正に棚からぼた餅だな。」
"全くだ!"
「帰ります。お世話になりました。」
"全員で捕まえろ!逃がすな!"
"は〜な〜せ〜や〜め〜ろ〜!"
「諦めろ虎二郎、お前はもうコッチ側の人間だ。」
"む〜り〜!む〜り〜だ〜か〜ら〜"
「無理でも何でも遣るしか無いんだ。第一、今のお前に帰る所なんて無い。」
"何とかなりますから〜離〜し〜て〜"
"捕まえろ!決して離すな!"
え〜い野郎だけなら力業でぶっ飛ばせば済むものを女性陣にしがみ付かれては振りほどけない、橋本さんの娘さんは可愛いし、特に敬子さんは色っぽく変なとこ触んないで〜!イヤ〜皆の前ではらめ〜!
「分かった!分かったから離して!取り合えず話し合おう。」
"ヨシッ!皆放せ。"
祐太郎の一言で皆が一斉に手を離した。
この野郎良く仕込んでるな〜特に俺が女に弱い事を見越して抱きつかせたな・・・
俺達は組合に行き、先程の出来事の内一部分が大っきくなった事以外全部、組合長に伝えた。
「コイツ等に回せる仕事ある?」
「ある!」
"うそっ!"
「新人ハンターの仕事場所は大体一緒だ、需要は常に在る。」
そう言うと組合長は何やら胡散臭そうに説明を始めた。
「虎二郎お前、街の側で新人ハンター見た事有るか?」
そう言われれば親がハンターの子供以外無い?
「この街周辺の縄張りは既にベテランハンターが押さえてる。新人の入り込む余地はない。なら新人は何処で仕事をしてるか?」
"ゴクッ"誰かの飲んだ唾の音が妙に緊張感をマシマシにした。
「此処から西に100キロほど行った所に大規模な湖を中心とした森林が在る。其処に新たな街を造る計画が在ってな、皆其処に出稼ぎに行っとる。」
知らなかった。確かに国は新たな街を造る事を奨励してるけど、うちの街でも遣ってたんだ。
「日本人がこの星に来て200年。最初の100年で一億人居た人口が半分まで減った、そっから持ち直しては来とるがまだまだ足りん。なんせ人の生存圏は未だ大陸東部の一角のみ、多産を奨励し街を増やし人間の生存圏を拡げる、其がこの星に飛ばされた日本国が最初に決めた、方針じゃな。」
マジか!知らんかった。
「初めて聞いた。」
「虎二郎、学校で教わったろ。」
祐太郎が何か言ってるが其処はスルーして話を進める。
「なので仕事は在る。安心せい。」
今まで聞いて居た蝶野さんが不安そうに質問を始めた。
「そうすると新人はその街とアパートを行ったり来たりする事になるのか?」
"100キロも離れてる所を行き来するって"
"うちの子は義務教育終ったとは云えまだ15才ですよ"
「長距離移動が嫌で開発に関わっている者が住み着いて既に村が生まれとる。其処なら生産系の仕事も在る。」
""本当に!""
「ある!圧倒的に生産系の人々が足りん。よってお前さん達の様な問題抱えてる者でも受け入れる。ただし街と違って開発村は危険と隣り合わせじゃ。
だから問題の在る奴や若くて可能性に掛けてる人間を送るんじゃよ。」
其が国の街の方針か・・・
「何にせよ仕事は在る!」
「後は覚悟の問題か?」
祐太郎の言葉に真っ先に橋本さんが反応した。
「開発村なら私の技術もまだまだ生かせるかも知れません。私は行きます。」
「貴方着いて行きます。」「父ちゃん。」
「私の様な使い込みに仕事が在るとは思えませんが、可能性が在るなら新天地、行きます。」
「アタシはダーリンが話してくれた景色を見てから後の事は考える。行きます。」
「で、祐太郎はどうするのさ?」
俺がそう聞くと、祐太郎は一言、
「皆が行くんだ。俺が行かないでどうする。」
そんな男前な台詞をさらりと言いやがった。
「そっか、じゃあ皆頑張れよ!」
俺が爽やかな笑顔でそう言うと、全員が満面の笑みでしがみついて来た。
"は〜な〜せ〜変なとこは特に放して〜らめ〜"
講して俺の開発村行が決まった。
開発村か〜面倒臭いでゴザル