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新社会人 1

「虎二郎お前ももう学生じゃ無いんだから社会人の自覚をもって行動しなくちゃならない。」

朝飯をかっ込みながら親父が何か言い始めた。

また朝っぱらから面倒くさい事を押し付け様としてるな。

大体こう言う説教臭い言い方をするときは・・・

「其処でだ今日は組合の定期会議に行って来なさい。」

ハイ!キタ!

「その間暇な親父は何する積もりだ?」

「馬鹿か貴様は!いいか虎二郎、ハンター足るもの道具の手入れから何からやる事は山程在る、そういった事をお前にも一つ一つ覚えて貰わなゃならんのだ!さっさと行ってこい!」


クソッまた丸め込まれた。絶対遊び歩いてるに決まってる。

まぁ組合に行くのは決して嫌ではないけど・・・

この街のハンター組合は中央の官庁街の一角に在る。

ウチの様な外壁に近い家からはけっこう遠く路面電車に乗って小一時間程掛かる。

"ゴトンゴトン ゴトンゴトン"

うん、こうして電車に揺られていると学校に通っていた頃を思い出す。

朝の満員電車に乗るとガタイのよさから寄っ掛かって寝る奴が続出したっけ。

降りますって言うとふざけるなって顔で睨まれて・・・あれ涙で前が見えないや。


そんな悲しい思い出に浸って居ると、

"あっ!虎二郎君"

「虎二郎君久し振り!」

この声は桜子・・・ほんの一月会わなかった間に上田さんは変わっていた、ロングヘアーはバッサリと切られショートに何時も笑っていた暖かな雰囲気は影を潜め少しピリピリとした感じに変わっていた。

「桜子さん久し振り。」

「うわっ!虎二郎君が喋った。」

もうそのネタはいいです。


「桜子さんは学校?」

「そうだよ、ハンター学校で今日も授業、虎二郎君は朝からどこ行くの?」

「組合の定例会議。」

「えっ!ハンターギルドの会議か〜いいな〜私も早く参加したいな〜。」

こう言う所は相変わらずだな。

だったら代わりに行ってくれ、そしたら俺が学生生活をエンジョイしまくってやるから!


"ゴトンゴトン ゴトンゴトン プシュ〜"

「あっ!アタシ此処で降りるね、じゃあまたね!」

「ウム。また。」

"プシュ〜ゴトンゴトン ゴトンゴトン"

女の子は一寸見ない間に変わるもんだな〜髪を切るか・・・さては失恋!

う〜ん聞いて見たいが触れてはいけなそうだし、そんな事をダラダラ考えて居た俺は降りる駅を通りすぎて居る事に全く気づかなかった。


降りる駅を2駅間違えながらも俺は組合にたどり着いた。

ハンター組合事務所は他の幾つかの生産係組合と一緒に合同庁舎に入っている。

え〜とハンター組合は三階だから、おっ!丁度来てるエレベーターに飛び乗ると、

"ピンポーン"

はいはい分かってますよ。

大概のエレベーターは鳴りますね。

先に乗った人々の目が冷たい事。

そして俺がまぁ降りると、

はい!

鳴り止みますね。

差別ですか遺伝子操作に対する差別なんですか? お役所がそういう事してもいいんですか!

何て思ってる間に階段登り終わってたりして。

まぁ体力はソコソコありますしね。


しかし何回か来てもこの両開きのドアの意味が判らないわ?

組合長の趣味らしいがビルの三階に西部劇に出て来そうなドアって・・・ここ役所の中でしょ一応。

これでドア開けたら普通の役所だし。


「あっ!虎二郎君おはよう。」

おっ!長州君だ!今日は朝から良くクラスメイトに合う日だな。

「ウム。おはよう。」

「虎二郎君一人?」

「ウム。長州君は?」

「僕は父さんと一緒、お前もこういう事にも馴れなさいって。」

立派だ!コレが立派な父親と云うもんだ!面倒くさいからって倅に押し付けるのとは全く違う!

「でも虎二郎君は偉いな〜こういう場所に一人でこれて。」

"リキオ〜"

「あっ!父さんが呼んでるからまたね。」

「ウム。」

又も何も同じ定例会議に出るんだけどな。


まぁいい、俺も早く窓口に行こう、実際コレが目当てでわざわざ来たんだし、

「いらっしゃい、虎二郎君久し振り。」

「お久しぶりです!今日子さん!」

「クスッいつも元気ね。今日は月1回の定例会議でいいのかな。」

「はいっ!」

違いま〜す、本当は今日子さんに会いに来たんです!何て言えないけど、はぁ今日さん相変わらずキレイだよな。身長170センチ上から知らないけどボンキュボンだし、チョ〜俺に優しいし、まさに掃き溜めに鶴ってこう言う事を指す言葉だよな〜

「オラァ!ムッツリスケベのクソガキが手続きが終わったらさっさと会議室に行かんかい!」

「お久しぶりです。掃き溜めじゃなくて組合長」

「お前今なんてった、もう1回言ってみ!」

「気のせいです掃き溜め、じゃ会議室に行きます掃き溜め。失礼します掃き溜め。」

「このクソガキ戻ってこい、今日子君止めるな!今日こそあのデカブツの頭に我がレーザーブレイドを叩き込んでやる!は〜な〜せ〜!」


気の短い年寄りだ。

今年中にポックリ行くなあれは。

さて会議室に入ると、むっさ苦しいオッサン達がウジャウジャ。


「オウ!風間さん所のボウズか父ちゃんどうした!」

「サボりです。」

「仕様がねぇなぁあの人も」

「もっと言ってやって下さい。出来れば本人の前で強めに。」

「ムチャ言うなよ、ボウズ、今はだいぶ丸くなったが昔はメチャメチャ怖かったんだぞお前の父ちゃん。」

「そんな事を言わないで是非ボッコボッコにしてやって下さい。皆の心を1つに合わせて戦えばきっと悪は滅びます。何なら俺が毒の1つも盛りましょう。」

「ボウズ落ち着け!なっ!取りあえず座れって、なっ!」


"ハァハァハァ"

いけないいけない、ついつい魅力的な提案をされて興奮してしまった。クールだクール、深呼吸ヒッヒッフーヒッヒッフー。


"ガチャ!"

「此より定例会議を始める!騒ぐな馬鹿共」

まぁ会議っていってもただ話聞くだけだし。

「先月の会議で議題に出たはぐれ兜竜の件だが、風間ん所が捕獲した。」

"ザワザワ討伐じゃなくて捕獲かよ"

"流石に風間さんだな"

"煩い!騒ぐでない。"

"次に隣の街に出たアロサウルスだが"国軍が出て追い払った。"

"ザワザワ チョット待ってくれ、組合長!それって!"

"騒ぐな!"

「手負いが出たと言う事だ!」

うわっ!最悪じゃん!手負いの大型肉食竜何て・・・

「本来なら一々言う事でも無いが注意せい。以上」

此じゃ殆どのハンターは街へ逃げ込める範囲でしか狩りしないぞ・・・

「最後に今年も新人ハンターが入ってきた、まぁ知っとる奴ばかりだろうが、一応挨拶せい!

"あの長州リキオです。武器はハンティングボウをメインで使ってます。よろしくお願いします。"

うんうん長州君は初々しくてイイね!

"虎二郎〜虎二郎〜コリャ虎二郎返事せんか!"

うん?あぁ俺もか!

"ども風間虎二郎です。年中嫁募集中です。よろしく"

「お前は長州君をちっとは見習え〜!」

「ウス。」


"ハァハァハァ今月の会議はここまで"


あ〜やっと終ったさて今日子さんの顔でも見に行くかな。


「おい虎二郎お前はこの後暇か?」

「暇っちゃ暇です。」

ウソです今日子さんとイチャイチャ予定です。妄想の中でだけど

「そっか新人歓迎会やって遣るからこい。」

「おごりッスカ。」

「そうだ!来るか?」

「ゴチになりま〜す。」

そうだ!

「あぁ長州君も行くでしょ?」

「う〜ん、皆で行くのって飲み屋さんでしょ、僕はお酒はまだ早いって父さんが・・・」

「フーン一寸待ってな。」

「長州の叔父さん、」

「なんだい虎二郎君。」

「リキオ君が飲み屋行けないの叔父さんが飲んで裸踊りするからじゃ無いよね。」

「シー!何を言い出すの!」

「新人歓迎会だしリキオ君来ても良いよね。」

「グッ、リキオ折角の皆さんのご好意だから行って来なさい。」

「いいの父さん?」

「あぁ父さんは一寸用事が在るので先に帰るが遅くならない様に帰って来なさい。」

「はいっ!父さん。」

大変だね〜いい父親やるのも、しかし!やらないよりは大変ヨロシイ!

さて、ただ酒をゴチになりますか。



「で何処で飲むんですか?」

「あぁこのメンツだとスナック純子かな、リキオ君は行った事無いよね。」

「虎二郎君は在るの?」

「うん、まぁハンターのツケが効く飲み屋はアソコ位だからね。」

純子ママは昔は夫婦でハンターをしてたらしい。ただ御主人を狩りで亡くされてからは引退してハンターに優しいスナックをしている。

因みに今日子さんと一二を争う美人さんだ!

そして子供心にお嫁さんになって貰いたかったのは秘密だ!




「ママ、彼奴が逝ってもう五年お互い一人の生活が続いちまったね、此処等でお互い身を固めるってのはどうだろうか?」

「風間さん飲みすぎよ。」

"ママ"


"カランカラン"

「ママさん皆で来ちゃいました・・・コラッ何してんだ親父!」

「虎二郎お前こそ会議はどうした!」

「どうしたもこうしたもあるか!普通に終ったわ!」

「だったら帰って寝なさい!何時だと思ってんだ!」

「お昼過ぎだろ。」

「早寝しないと明日の狩に響くぞ。」

「響かねぇよド阿呆!」

「誰がド阿呆だ!」

「朝っぱらから会議すっぽかしてママさんに迷惑掛けてる奴の事だよ。」

「コラッ虎二郎チートばっかり調子に乗ってるみたいだな!久々にパパが教育的指導って奴を殺ってやろうか!」

安心しろ親父、教育的指導は別の人がして下さるから


「ホーウ教育的指導を誰が殺るって!」

"ヒィ組合長"

「昼間っから会議すっぽかして女口説くた〜いいご身分だな〜おいっ!」

さて馬鹿親父はほっといて

「あっ!ママ紹介しますね。コチラ長州さんの息子でリキオ君、クラスメイトだったんですよ。」

「長州リキオです。」

「まぁ長州さんのヨロシクね。」

"我がレーザーブレイドを食らえ〜"

"ギャ〜死ぬ〜"

"組合長を止めろ〜!"


まぁ外野が少々騒がしいが今日は美味しいお酒が頂けそうだ。







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