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新天地4

 狩の後、俺達は無線機を使い砦に連絡を入れた。


砦からの答えはそこで出来るだけ待機しろと云うものだった。

"ミャーミャー"

「祐太郎何時までこんな所で待たにゃきゃならないニャ」

"ミャーミャー"

「しょうがないだろスピノザウルスを砦に持って行くため大型重機ここまで入れるのに時間掛かるんだから。」

"ミャーミャー"

「正直言って体中血塗れで洗いたいんだけどニャ」

"ミャーミャー"

「虎二郎その語尾にニャ〜付けるの止めれキモい。」

「嫌、少しでも子猫が落ち着いてくれる様にと思って。」

「そんなんで落ち着かないから。」


俺達が狩ったスピノザウルスは砦に持ち帰って肉は食用、脂は燃料、骨や革も何かしら使うらしい。

お陰で俺達は森の中に待たされている。


"ミャーミャー" "ミャーミャー"

唯一の慰めは子猫ちゃん達が俺になついてペロペロしてくれる所だ。

俺は2匹の子猫ちゃんに名前をつけた。

「お前の名前はオスだこっちの女の子はメスと名づけよう。」

「虎二郎さん色々な意味でやめなさい。それになついてるんじゃ無くて血を嘗めてるだけだから。」

「違います〜祐太郎はなつかれないから妬いてるだけです〜」

"ミャーミャー" "ミャーミャー"



俺達がこんな馬鹿話しをしている間他のメンバーは色々な思いに耽っていた。


蝶野は思い出していた。

私が急に参加させられた輸送任務、

あのときトレーラーの下でガタガタ震えてる私に手を差し伸べてくれた若者、

逆光とパニックでずっと顔を思い出せ無かった・・・やっと思い出した。

彼だ、彼だったんだ!

でもどうして彼は教えてくれなかったんだろう? 嫌、彼にして見れば大したことじゃなかったんだろう。

あれが本物のハンターなんだな、私には無理だ。 砦なら事務仕事もあるらしい2度も助けてもらった命だもう一度やり直して見よう。


武藤さんは心から思った。

ダーリンが見せたかった景色か・・・充分です。

砦なら飲み屋も少なそうだし、お店でもやって見るか。


橋本夫妻は話し合っていた。

「母さん、私の作った武器があんなふうに使われて・・・」

「本当に凄い物ですね。」

「私が作った武器はもう不要だと思っていたよ。でもまだまだ必用として貰えるのかもしれないね。」

「貴方、」

「もう一度頑張って見ようか。」

「はい。」


橋本夫妻から少し離れて娘の愛は思った。

凄い!あれがハンター、あれが虎二郎さんなんだ。

私は最初、虎二郎さんをどっかで馬鹿にしていた、体は大きいが基本的に祐太郎さん任せだし、面倒臭がりでどっかのんびりした人。

悪い人じゃ無いけど頼りにならない人だと思ってた。

私は全然分かってなかったんだ。

虎二郎さんは本物のハンター、ハンターがハンター以外で役にたつはず無かったんだ。

彼は昼間の松明だ、

夜の暗闇が迫って来て初めてその価値が分かる人。

私は虎二郎さんから目が話せなくなっていた。


二日後


我々のグループの人数は三人になっていた。

うん、辞めるなら早い方が良いと言ったけど・・・あの後俺達は無事、砦まで戻ってこれた。

砦では兄ちゃんが直々に全員の聴取をして、俺は頭を殴られた。


散々兄ちゃんに絞られてへろへろになって皆の居るバラックに戻って見れば、皆から感謝の言葉とお別れの言葉を聞かされた。


「虎二郎さん数年前アロサウルスに襲われたトレーラーを救出されましたね。」

"ドキッ"

ばれたうわっ怒られんじゃね。


「あのときお礼も言えず本当にすいませんでした、そして今日もまた命を助けてくれてありがとう。」

ありゃお礼言われちゃった。

「虎二郎さんに2度も助けてもらったこの命を大事にしようと思います。」

はぁさいですか。

「先程の聴取の後、砦の責任者の方にお話をして臨時の事務職員として働かせて貰う事になりました。」

あぁ蝶野さん確かにハンター向きでは無いよな。大体狩に出る度に大型恐竜にぶつかるってどんだけ引きが強いのよ。

「そうですか。おめでとうございます。頑張って下さい。」


俺が蝶野さんとの話に一段落つけると武藤さんが話し掛けて来た。

「虎二郎ちゃんさっきはありがとね。それで〜1つお願いがあるんだけど〜」

こっこれはもしかしてお礼を体で払わせて的な・・・

「砦に来たとき会ったオカマちゃん紹介して欲しいの。ぶっちゃけハンターとか無理だし、アタシはお店で新しいダーリンをハントするわ、ヨロシクね!」

うん、この人らしい。

「分かりました。明日にでも叔父さんに聞いて見ます。」


「虎二郎さん私達もいいですか。」

今度は橋本さん夫婦が言って来た。」

「えっ!橋本さんも叔父さん紹介して欲しいんですか?」

「イヤイヤ違います。私達夫婦で話し合ったのですが虎二郎さんの様に私の作った武器を使って下さる方がいる間はもう少し武器屋を頑張って見ようかと思いまして。」

オォそれは本当に有り難い。

「砦で虎二郎さんのお兄さんにお話をしたらルーキーの為にぜひやってくれと言って頂きまして、場所の提供もしてくださると。」

「そうですか。俺も今の武器が大部がたが来ていたんです。ぜひともメンテナンスをお願いします。」

「ありがとう。喜んでやらせて貰います。」


そうするとハンターとして残るのは俺と祐太郎の二人っきりか、まぁ妥当な所が残った訳だ。

「虎二郎さん祐太郎さんそれじゃあこれからは3人で頑張りましょうね!」

と愛ちゃんが笑顔で言って来ました。

・・・イヤイヤ愛ちゃんは橋本さんご夫妻と一緒でしょ?

「愛!お前何を言ってるんだ。」

「そうだよ愛ちゃんハンターってのは虎二郎さんのような凄い人がなる職業なんだよ!」

「そうよ愛ちゃんも働くならアタシと一緒に働きましょう。」

愛ちゃんは橋本さん蝶野さん武藤さんが皆して説得してるが一向に聞こうとしなかった。


「愛ちゃんも皆も落ち着いて、とにかく今日の所は寝ましょう。話しは明日にしましょう。」

サスガ仕切り屋祐太郎!

皆祐太郎の言葉には何故か従っちゃうんだよな。

俺達は各自に割り当てられた部屋に戻って行った。


真夜中俺は身体にのし掛かる感触で目を覚ました。殺気も無い獣の雰囲気でも無い。いったい何事かと目を開けて見ると其処には裸で抱きついている愛ちゃんがいた。

へっ?ナニ?ナニがナニでドユコト?はい、人生初めての夜這いをするのでは無くされてしまいました。

「あっあの愛ちゃん!こっこれは、いっいったい」

「虎二郎さんは鈍感だからこうしないと分からないでしょ?」

こうされたって分かりませんよ。

「でっでもこうゆう事って順番とかそれにそう!年齢なんかもあるし」

「私は義務教育は出たし、生産系の子は普通相手が要れば皆結婚してるよ。」

何ですと!・・・オノレ生産系め、何て羨ましい俺も生産系に行きたかった。

「とにかく私は虎二郎の子供を産みたいの、虎二郎さんはイヤ?」

「おっ俺初めてで・・・」

「私もだから優しくしてね・・・」


開拓村来て良かった〜!



次の日の朝、俺は橋本さんご夫妻の元に愛ちゃんと一緒に挨拶に行った。

当然ぶん殴られるか最悪ナイフで刺される位は覚悟してたが、橋本さんご夫妻は凄く喜んでくれた。


「そうですか。イヤイヤ私も家内と結婚したのは学校を卒業した15の春でした。この子もそんな年になったんですね。」

「お父さんお母さんあたしお嫁に行きます。」

「おめでとう。幸せになりなさい。」

なんだろうこの早い展開は・・・

俺がついて行けずボウゼンとしているとお助けマンの祐太郎が説明してくれた。

「お前は先祖代々のハンターだから知らんだろうが生産系の家庭は大体こんな者だ。産めよ殖やせよがお国の方針だからな、まっおめでとう。」


そう言って祐太郎は笑顔でその場を去って行ったが、あえて言おう、ありがとうと!


こうして砦に来て数日のうちに俺は結婚する事になった。






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