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出張業務

新キャラ登場しますた

 研修が終わり研修生が全員元の場所に戻った六月中旬。

 今日も今日とて淡々と書類を積み上げていたところ、電話が鳴り出したので作業を止めずに出る。


「はいもしもし」

『緊急指令だ。ヒーローでもない君に頼むのはお門違いだが、条件の内だと納得してもらい至急捕まえてほしいデリャージャがいる』

「……仕事の最中なんですが」

『研修事業が終わったのだから貴臣君がいるだろ。彼に任せて行ってくれないか』


 そういえばあったなそんな条件と思った俺は、ため息をついて「どこへ行けばいいんですか?」と質問する。


『中国広島』

「出張手当でるんですか?」

『予算配分の査定には入るだろ』

「……はぁ。まぁ行きますから捕まえたい人の情報をスマホに送ってください」

『すまないな。君以外に頼れない状況になったらしい』

「……ん?」


 どういう事かと首を傾げる。が、ここで聞いたら仕事に支障をきたしそうなので「昼ごろになったら現場に行きますね」と言って電話を切り、仕事に集中することにした。


 ……全く覚えてなかったそんな条件。さっさと貴臣さんに事情説明すっか。




「つぅわけでちょっくら広島行ってくる」

「……はぁ。ちなみにどのくらいかかります?」

「分からん。早く終わらせて帰る予定だが」

「なるべく早く帰ってきてくださいね! 私一人じゃ辛いんです!!」

「…ああ」


 ものすごい必死に言われたので気圧されながら返事をすると「麗夏さんの妹さんにもちゃんと言っておいた方が良いですよ」と言われたので思い出した俺は「ああ」と返事した。


 とはいったものの実際のところ電話するかどうか悩む。

 なぜならば最近家に帰っていないから。その上連絡も取ってないし。

 何かあって忙しいんだろうなと思いながら連絡をどうするか考えた俺は、普通にメールを打って報告することにした。



「――そういう訳なんで、俺広島行ってきますわ」

『…大丈夫? 忘れ物とか』

「いや在りませんから。ただ服とお金持っていけばいいんですから」

『大丈夫? もしも怪我とかしたら』

「しませんから。そんな心配しなくていいですって」

『でも心配なのよ』


 電話越しでもシュンとしているのが分かる。だが俺は明るく答えた。


「大丈夫ですって。ある程度の危険なら問題在りませんから」

『でも……』

「ま、条件なんで仕方ないです。そんじゃ、これで」

『あっ……』


 何時までも話していては埒が明かないと思ったのでこちらで切る。

 切ってから随分心配性だなと思った俺は、宿泊室に置いてある自分の荷物を持っていこうと決め、宿泊室へ向かった。




「これで荷物は持ったな」


 何日か分からないので三日分の服と財布を持つ。

 何故かというと三日あれば大体着回しで一週間はいけるからだ。洗濯などを考慮すれば妥当な分だと思う。

 キャリーバックにその荷物を詰め、財布をポケットに入れた俺はスマホに送られてきた捕縛対象の外見情報を見ながら駅に向かうことにした。






 通行手段は今も昔も変わらない。電車やバス、それに車や飛行機だ。

 転送系の能力者はいるが、交通手段として使われることはない。故に今も残っている。

 俺は免許を持ってないので必然的に公共機関を使うことになる。今度免許とろうかと思ったが、今後必要になるかと思うと首を傾げる位だったので保留としている。


 ともかく。新幹線に乗らないと広島に行け……なくはないが、どうにも飛行機に乗ったことがない身としてはあんまり使う気になれない。

 まぁ使おうにも当日あるかどうかわからないし。それなら新幹線でもいいかなと思い現在調べているんだが……。


「出てこないってか……」


 スマホで調べてみたが、どうにも出てこない。駅まで行くタクシーの中で。

 一体どういう事になっているのだろうか。まさか……今回の事情に関わっているのか? そうだとすると……なんだか面倒なことになりそうな予感がする。


 こりゃ出ないわと思った俺は諦めて素直に航空状況を調べていると、「そういえば広島って一部地域非常事態宣言出てるせいで新幹線と飛行機でないんですよねー」と運転手が言った。


「そうなんすか?」

「何やら必死に呟きながら広島へ行く方法を探してるみたいなんで聞いてみましたが、どうやらそのようで。その一部地域だけがいけないわけじゃなくてその県自体を孤立させてるみたいなんですって」

「……」


 その話が本当だったら俺はどうやって行くべきなのだろうか。何も言わなかった本部の奴に対し頭を抱えていると、「どうやら行かなくちゃいけない用があるんですよね? でしたら私が連れて行きますよ」と言ってくれた。


 タクシー代もバカにならないからできるだけ節約したいんだがなと思いながらも背に腹は代えられないので「よろしくお願いします」と言うと「そんじゃお客さん。掴まってください」とルームミラーでちらっと俺を見た運転手は被っていた帽子を深くかぶり直し、思いっきりアクセルを踏んだのか急加速した。


「うおっ!」


 危なく前のシートにぶつかりそうになった俺はシートを抑える。


「さぁ久し振りに腕が鳴ります、よ!!」

「うおぉぉぉ!!」


 文句も言う暇なく、タクシーはスポーツカーのような速度で行先を変えた。


 ……交通違反とか見つかったら即逮捕だな。特権使って見逃してもらうしかないけど。

 楽しそうにアクセル、ブレーキ、ハンドルを使い分ける運転手を見ながら速度になれた俺は欠伸をしつつそう思った。



「もう一段階加速しますよ」

「う、おぉぉぉぉ!!」


 ……改造しすぎじゃね、これよ。

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