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共犯者  作者: 皐月 誘
9/11

8,甘い誘惑。苦い決断。

例えば、その時

「yes」と答えていれば…今の私にはどんな未来が待っていたのか。

どちらを選んでも後悔したであろう…苦しい決断。



共犯者―甘い誘惑。苦い決断。



私がその噂を聞いたのは自分でもビックリするくらいすぐだった。

「綾ちゃんが一樹君に謝ったんだって。私の勘違いだったって言って…。」

「じゃあ、あの2人遂にやり直すんだ。良かった!」

体を包むのは達成感と絶望感。

一瞬の甘い夢の代償は私の生活そのものだった。


これで全て終わった。

達成感ばかりを意識するようにする。

これで一樹や綾の事で悩む事は無くなるんだ。

私の懺悔は報われたんだ。

そんな事ばかりを考えて歩く帰り道、私はふっと上げた視線の先に彼を見つけた。

一瞬、幻だと思った…。

ここしばらくの間、彼を視界に入れないように意識し続けて…ただ一人よがりに想い続けた相手。


「今回の事…何て謝ったらいいか、全然わからなくて…。」

一歩先を歩きながら一樹が言った。

「なんで謝るの?私が悪かったんだよ。」

強がる声が涙に震える。

「違う。舞子じゃないんだ…俺が全部悪いんだよ。今日、綾が謝って来たよ…やり直そうって。」

目の前が暗くなる。

わかってた事なのに…。

そんな私の様子を知ってか知らずか、一樹は続ける。

「俺…ずっと考えてたんだ。舞子がどんな方法で綾を納得させたかも…ずっと見てた。迷う事なんて何も無かったのに、答え見つけるのにこんなに時間かかって…本当にごめん。俺達、今から初められないか?俺、やっぱり舞子がいいんだ。」

甘い感覚が体を包む。

夢を見てるのカモしれない。

涙が溢れて止まらない。


「ごめ…やっぱり…無理だよ。」

なんで、そんな答えに辿り着いたのか詳しくは覚えていない。

ただ再び迫ってくる罪悪感。綾の事。一樹の為。

そして何よりも…私と付き合った一樹が浮気をしないか…一樹を信じられない自分がいる。

「…そっか。そうだよな。」

「そう…だよ。せっかく苦労して綾とやり直せるようにしたのに。次は浮気するなよ。」

笑顔を作る。

長いことしていないし、涙が溢れてるし、どんな顔か自分では分からないけど、しっかりと笑顔で言う。


これが私の決断。

弱虫な…強がりな私の精一杯の決断。



「あの時、舞子がなんて言っても、俺がしっかり舞子だけを思っていれば良かったんだ。なんでいつも後になって後悔するんだろうな。」

「やめてよ。マリッジブルーとか言うつもり?なら、勝手に一人でやって。私…不倫までする程一樹の事思えないから。」

嘘…と言うより、そんなの自分でもわからなかった。

「不倫なんてさせるつもりない。ただもう一度舞子に会いたいって…思ったんだ。これ以上後悔しないように。」


あの時の決断…私はいまも後悔してますか?

あと2話くらいで終わると思います。

更新ペースが非常にのんびりで申し訳ないです!


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