8,甘い誘惑。苦い決断。
例えば、その時
「yes」と答えていれば…今の私にはどんな未来が待っていたのか。
どちらを選んでも後悔したであろう…苦しい決断。
共犯者―甘い誘惑。苦い決断。
私がその噂を聞いたのは自分でもビックリするくらいすぐだった。
「綾ちゃんが一樹君に謝ったんだって。私の勘違いだったって言って…。」
「じゃあ、あの2人遂にやり直すんだ。良かった!」
体を包むのは達成感と絶望感。
一瞬の甘い夢の代償は私の生活そのものだった。
これで全て終わった。
達成感ばかりを意識するようにする。
これで一樹や綾の事で悩む事は無くなるんだ。
私の懺悔は報われたんだ。
そんな事ばかりを考えて歩く帰り道、私はふっと上げた視線の先に彼を見つけた。
一瞬、幻だと思った…。
ここしばらくの間、彼を視界に入れないように意識し続けて…ただ一人よがりに想い続けた相手。
「今回の事…何て謝ったらいいか、全然わからなくて…。」
一歩先を歩きながら一樹が言った。
「なんで謝るの?私が悪かったんだよ。」
強がる声が涙に震える。
「違う。舞子じゃないんだ…俺が全部悪いんだよ。今日、綾が謝って来たよ…やり直そうって。」
目の前が暗くなる。
わかってた事なのに…。
そんな私の様子を知ってか知らずか、一樹は続ける。
「俺…ずっと考えてたんだ。舞子がどんな方法で綾を納得させたかも…ずっと見てた。迷う事なんて何も無かったのに、答え見つけるのにこんなに時間かかって…本当にごめん。俺達、今から初められないか?俺、やっぱり舞子がいいんだ。」
甘い感覚が体を包む。
夢を見てるのカモしれない。
涙が溢れて止まらない。
「ごめ…やっぱり…無理だよ。」
なんで、そんな答えに辿り着いたのか詳しくは覚えていない。
ただ再び迫ってくる罪悪感。綾の事。一樹の為。
そして何よりも…私と付き合った一樹が浮気をしないか…一樹を信じられない自分がいる。
「…そっか。そうだよな。」
「そう…だよ。せっかく苦労して綾とやり直せるようにしたのに。次は浮気するなよ。」
笑顔を作る。
長いことしていないし、涙が溢れてるし、どんな顔か自分では分からないけど、しっかりと笑顔で言う。
これが私の決断。
弱虫な…強がりな私の精一杯の決断。
「あの時、舞子がなんて言っても、俺がしっかり舞子だけを思っていれば良かったんだ。なんでいつも後になって後悔するんだろうな。」
「やめてよ。マリッジブルーとか言うつもり?なら、勝手に一人でやって。私…不倫までする程一樹の事思えないから。」
嘘…と言うより、そんなの自分でもわからなかった。
「不倫なんてさせるつもりない。ただもう一度舞子に会いたいって…思ったんだ。これ以上後悔しないように。」
あの時の決断…私はいまも後悔してますか?
あと2話くらいで終わると思います。
更新ペースが非常にのんびりで申し訳ないです!




