6,ぬるい罪悪感。冷たい同情。
どうすれば軽るすぎない?
どうすれば重くならない?
あなたにとってのピッタリなんて、私はまだ知らないから…。
共犯者―ぬるい罪悪感。冷たい同情。
えっ…?
昨日泣きすぎたせいで、少し腫れた目を見開いた。
そう、一樹に別れを告げたのはほんの昨日の事だ。
「今、何て言ったの?」
「ちょっと、舞子。真面目に聞いてた?高井君と綾ちゃんが別れたんだって!今度こそ本当だよ。」
別れた…?
一樹と綾が…?
でも…
「なんで?」
「私も詳しくは知らないけど…綾ちゃんからフッたらしいよ。」
友達はそう言って首をすくめる。
綾からフッた…。
心当たりはありすぎるくらいある。
吐き気が私を襲った。
そして、私の予感は的中する。
綾は友達に頼んで私を呼び出した。
綾の友人の表情を見ると…私の考えは間違っていないと確信が深まった。
なぜ、今更なのだろう…。
なぜ、一樹と別れた今でないといけなかったのだろう…。
綾を待ちながら、色々考えていた。
私は吐き気を通り越し、なぜか冷静だった。
綾が怒っていたら…ひたすらに怒りが過ぎるのを待とう。
綾が殴るなら…大人しく殴られよう。
でももし綾が泣いたら…私には何が出来るだろう。
その日の綾の事を私は一生忘れられないと思う。
綾はなんで?と怒り、なんで?と泣いた。
綾が泣くなら…私は悪役になろう。
心置きなく怒れるように。
心置きなく泣けるように。
そんな私の態度に綾は怒りを膨らませ、最後にその手のひらで私の頬を力いっぱい叩いた。
痛いと思うより先に、綾の右手が痛そうだと思った。
これは罪悪感か同情か…どちらにしろ、私は悪役でしかないのだが…。
その日の帰り、私を待っていたのは一樹だった。
今日一番会いたくない人物の登場に私は顔を歪め、けれど断る理由も見つからずに一樹の自転車の後ろにまたがった。
場所なんてどこでもよかった。ただ2人でいれる所であれば。
一樹は…どう思ってるんだろう。
何があっても一樹の1番は綾なんだ。
それはよくわかってる。
あぁ、一樹悲しい思いをさしてしまったんだ…。
「俺…、舞子が悪いなんて思ってないけどさ、今回の事はショックだった。」
その言葉の意味を理解するまでに時間がかかった。
一樹は私が綾に言ったと思っている…?
ショックで目の前が暗くなる。
そして…それでもいいじゃないかと言う気持ちが生まれてくる。
誰が認めなくても、一樹が信じてくれなくても、私は一樹が好き。
人を愛するってこういう気持ち。初めて知った。
「ごめん…。私が絶対に何とかするから!」
「何とかって…?」
自分の事を信じてくれない一樹を好きな自分は馬鹿だと思う。
I'm crazy for you.
あなたが大好きですと言う英文は【crazy】狂っているという単語を使う。
私はあなたに狂っています…と。
「何とかは何とかだよ。大丈夫。一樹は待っててくれれば良いから。」
まだ15歳で、世の中の上手な渡り方なんて知らないから…私に出来る事は1つだけ。
「ホットコーヒーを。」
メニューも見ずにウェイトレスに頼む。
普通に…普通に…と言う焦りが私を包み込んで行くのがわかる。
「大学生なのにパパなんて大変だね。」
焦ると人間って言う生き物は少なからず饒舌になるものだ。
「あぁ。卒業するまでは親に頭を下げるしかないさ。まぁ、10年も付き合った相手だし、親もそんなに文句をつけて来ないよ。こんなに早く孫に会えるとは思ってなかったみたいだけどな。」
一樹は無駄に目の前のコーヒーをスプーンでかき混ぜながら言う。
あっ、一樹も焦ってるんだ。
そう思うとつい笑ってしまう。
「何笑ってるんだよ。俺さ…今でも時々思うよ。あの時、舞子と付き合っていたらってさ…。」
今の私はどんな表情で一樹の言葉を受け止めているだろう。
私は【あなたを失う】か【周りの人を失う】かの2択だと思ってました。
でも本当は【あなたを失う】か【全てを失う】かの2択だったんですね。
今、私は1人で【全てを失う】決心をしました。
本当は…すごく怖いです。
危ないです…。
回想より先に現在が終わってしまいそうです…。
いや…ネタを膨らましますよ。元々ほぼ実話なので、どこまで話を足していいのか検討中なんです。
お気軽に感想や誤字を教えて下さい。
よろしくお願いします。




