3,優しい嘘。残酷な真実。
本音で伝えたい。
でも本音が
「わからない」時、あなたはどこまで私を理解してくれますか?
共犯者―優しい嘘。残酷な真実。
「お疲れ様!!」
あれから一樹とは一言も喋らないまま文化祭が終わった。
「ねぇ、舞子。打ち上げ行く?」
「あぁ、うん。もちろん!」
打ち上げとは言うものの、中学校だからお酒は一切無しのご飯を食べるだけの集まり。
それでも中学校だからこそ、そんなに夜遅くまで遊べる事なんてない。
一樹も来るんだろうなぁ。なんて思ったけど…やっぱり行かないわけには行かない。
あっという間に時間は過ぎた。
結局、一樹とは一言も喋らないまま…。
そのまま終われとも思ったし、このままじゃいけないとも思った。
だから、クラスの男の子が、
「男子は同じ方向に帰る女子を送って行くこと。」
なんて自慢気に言った事を恨めばいいのか、お礼を言えば良いのか…私は決めかねている。
そう、同じ方向に帰る男の子なんて一樹しかいない。
「江本。帰ろうか?」
あっ、名字で呼んだ…。って言うよりも、一樹はどうやら真面目に送ってくれるつもりらしい。
「大丈夫。1人で帰れるよ。」
「…怪しまれるだろう。ほら、行くぞ。」
そう言った一樹は、なんだか本当に焦っていて、納得してしまった。
「なんか…気まずいんですけど。」
どこかで聞いたのと同じセリフだった。
「別に…かまわないよ。どうせフラれてるしね。」
わざと笑顔で言ってやる。私に許されたのは強がる事だけ。
「…。なぁ舞子。お前、小学校の頃俺のこと好きだったって言ったよな?それっていつまで?俺はずっと好きだった。でも、舞子は本当にわかりやすくて…高学年になってからは、他のやつが好きなんだってわかった。だから、綾が告白してくれた時、付き合う事にした。」
一樹が何を言っているのか…理解出来ない。
少しの無言の時間をあけて、一樹が続けた。
「なんで…なんで今更なんだよ!」
一樹の唇が頬に当たる。
頬だったあたりが、一樹の心遣いなのかと思うとおかしかったが、その時はそんな事を考えてる余裕もなくて…。
ただ、その場に立ち尽くしたんだ。
メールの返事は直ぐに来た。
内容は簡単。
綾との結婚が今流行りの出来ちゃった婚だと言うこと。
謝りたいのは中学時代の事であること。
そんなのは建て前で…ただ会いたいという事。
私も…ただ会いたいと思っている事。
与えられる優しさに、小さな小さなその優しさに、ただ甘える事しか出来ないのは、私が弱すぎたから。
プロローグも入れて4話目でした。
毎度読んでくれてる皆様、ありがとうございます。
やっと話が少し進みました。
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