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共犯者  作者: 皐月 誘
3/11

2,歓喜の過去。憂鬱な未来。

他人を気にしてたら幸せになりたいって、そんなことはわかってた。

それでも戸惑ったのは自分の中の無意識の道徳。

それでも諦めきれないのは自分の中の無意識の本能。

その頃の私は、まだ幼くて中途半端ということの苦しみを知らない。



共犯者―歓喜の過去。憂鬱な未来。



あれから、毎日一樹と一緒に帰っていた。

久しぶりに話してみると予想外に話題がつきる事もなかった。

罪悪感?無いに決まっている。友達と帰っているだけなのだから。


そんな時、

「ねぇ、高井君と綾ちゃんって別れたらしいよ」

そんな噂を聞いた。

「えー。あの2人が別れたの!?お似合いなのに…。」

「ってか、何年付き合ってたの?」

「えーっと…何年だっけ?舞子。」

ボーっと聞いていた私は、その言葉でハッと我に返った。

そしてその時初めて罪悪感というものを意識した。

「確か…4年目じゃないかな?」

与えられた質問に答えて、また思考を戻す。

いや…私が原因かどうかなんてわからないし…。


「ねぇ、綾と別れたって本当?」

夜7時半。今日も一樹と一緒に帰っていた。

「は?何それ…」

「違うの?噂になってるよ。」

「ふーん。んで、舞子は?何でそんな事聞くの?俺のこと好きにでもなった?」

一樹が少し挑発的に笑って言った。

一緒に帰るようになってから一樹は私の事を昔みたいに

「舞子」と呼ぶ。これも私の罪悪感の原因。

そして、あんな質問をしてしまった理由もきっと罪悪感。

2人が別れた原因が私では無いことをハッキリさせて、この罪悪感から逃れたかったのだ。

「まさか。少し自惚れすぎだよ。」

余裕の笑顔で答えてあげる。

全ては罪悪感を無くす為。

「そっか。それは残念だな。そう言えば、小学生の頃、俺は舞子の事好きだったなぁ。」

正直言うと、胸が高鳴ったと言う表現方法以外は思い浮かばなかった。

突然何を言い出すんだろう?

でも…ここで怯んだら私の負けだ。

「…両思いだよ。私もその頃一樹の事…好きだったんだよ。」

「知ってるよ。舞子はホントにわかりやすいからな。」

反則だ。そんな顔するなんて…私、今絶対に真っ赤だ。

一樹に見られないようにうつ向く私に、彼は続けた。

「それから今もな。舞子…本当に単純だな。俺…綾とは別れてないよ。じゃあ、今日はここで帰るな。」

何が…起こったのだろう…?


今初めまして自覚した。

私は一樹が好きなんだ。

自覚する前にフラれるなんて…。


一樹の背中が涙で滲んでよく見えない。

一樹を好きになったって叶わないのはわかっていた。

わかっていたけど、今の私には認める事しか出来ない。

この涙も、悲しみも全てを含めて恋なのだと。

この痛い気持ちは恋心なのだと。



【久しぶりだね。結婚するなんて…あまりにも早すぎる気がしてビックリした。だって私達まだ大学生だしさ。

あのハガキなんだけど、ごめんって何のことかわからないんだけど。今更会う必要も無いと思うけど、あのゴメンってやつだけ気になってさ。 江本 舞子】

我ながら強がりだなっと笑いが漏れた。

そして、迷いながらもゆっくり送信のボタンを押した。



諦める事は時間がさせてくれるのだろうか?

あの人が私の中でどのくらい大きくなっているのか…私にはハカるすべもない。

共犯者の続きでした。

読んで下さってありがとうございます。

まだ終わりではありません。過去も現在もここからが本番なので、暖かく見守って下さい。

感想やアドバイス大募集です。よろしくお願いします。

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