2,歓喜の過去。憂鬱な未来。
他人を気にしてたら幸せになりたいって、そんなことはわかってた。
それでも戸惑ったのは自分の中の無意識の道徳。
それでも諦めきれないのは自分の中の無意識の本能。
その頃の私は、まだ幼くて中途半端ということの苦しみを知らない。
共犯者―歓喜の過去。憂鬱な未来。
あれから、毎日一樹と一緒に帰っていた。
久しぶりに話してみると予想外に話題がつきる事もなかった。
罪悪感?無いに決まっている。友達と帰っているだけなのだから。
そんな時、
「ねぇ、高井君と綾ちゃんって別れたらしいよ」
そんな噂を聞いた。
「えー。あの2人が別れたの!?お似合いなのに…。」
「ってか、何年付き合ってたの?」
「えーっと…何年だっけ?舞子。」
ボーっと聞いていた私は、その言葉でハッと我に返った。
そしてその時初めて罪悪感というものを意識した。
「確か…4年目じゃないかな?」
与えられた質問に答えて、また思考を戻す。
いや…私が原因かどうかなんてわからないし…。
「ねぇ、綾と別れたって本当?」
夜7時半。今日も一樹と一緒に帰っていた。
「は?何それ…」
「違うの?噂になってるよ。」
「ふーん。んで、舞子は?何でそんな事聞くの?俺のこと好きにでもなった?」
一樹が少し挑発的に笑って言った。
一緒に帰るようになってから一樹は私の事を昔みたいに
「舞子」と呼ぶ。これも私の罪悪感の原因。
そして、あんな質問をしてしまった理由もきっと罪悪感。
2人が別れた原因が私では無いことをハッキリさせて、この罪悪感から逃れたかったのだ。
「まさか。少し自惚れすぎだよ。」
余裕の笑顔で答えてあげる。
全ては罪悪感を無くす為。
「そっか。それは残念だな。そう言えば、小学生の頃、俺は舞子の事好きだったなぁ。」
正直言うと、胸が高鳴ったと言う表現方法以外は思い浮かばなかった。
突然何を言い出すんだろう?
でも…ここで怯んだら私の負けだ。
「…両思いだよ。私もその頃一樹の事…好きだったんだよ。」
「知ってるよ。舞子はホントにわかりやすいからな。」
反則だ。そんな顔するなんて…私、今絶対に真っ赤だ。
一樹に見られないようにうつ向く私に、彼は続けた。
「それから今もな。舞子…本当に単純だな。俺…綾とは別れてないよ。じゃあ、今日はここで帰るな。」
何が…起こったのだろう…?
今初めまして自覚した。
私は一樹が好きなんだ。
自覚する前にフラれるなんて…。
一樹の背中が涙で滲んでよく見えない。
一樹を好きになったって叶わないのはわかっていた。
わかっていたけど、今の私には認める事しか出来ない。
この涙も、悲しみも全てを含めて恋なのだと。
この痛い気持ちは恋心なのだと。
【久しぶりだね。結婚するなんて…あまりにも早すぎる気がしてビックリした。だって私達まだ大学生だしさ。
あのハガキなんだけど、ごめんって何のことかわからないんだけど。今更会う必要も無いと思うけど、あのゴメンってやつだけ気になってさ。 江本 舞子】
我ながら強がりだなっと笑いが漏れた。
そして、迷いながらもゆっくり送信のボタンを押した。
諦める事は時間がさせてくれるのだろうか?
あの人が私の中でどのくらい大きくなっているのか…私にはハカるすべもない。
共犯者の続きでした。
読んで下さってありがとうございます。
まだ終わりではありません。過去も現在もここからが本番なので、暖かく見守って下さい。
感想やアドバイス大募集です。よろしくお願いします。




