第1章1話《MYTHOSPHERE》
1話
20xx年xx月xx日
アヴァロン
副マスター ニャンコム
我ら【アヴァロン】は、初心者を含む多数のプレイヤーに害をなすレッドプレイヤーに対し、レッドプレイヤー《赤鼻の死神》の討伐へと向かう。
以上
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「お兄ちゃんおっきろ〜! どーん!」
そんな元気な声とともに、腹部に強い衝撃が落ちてきた。
妹が俺の身体の上に乗っかってきて、俺は目を覚ました。
「今日からリリースだよ!《MYTHOSPHER》の!」
「わかったわかった、起きるから……でもまだ十時じゃん。リリースは十五時からだろ?」
「わかってないなお兄ちゃんは! 人気ゲームなんだよ? ピッタリの時間に行ったら、サーバーの人数がどうこうで入れないに決まってるでしょ! だから! こうして早起きの必要があるのです!」
「いや……早すぎね?」
「いいから早く」
有無を言わせない声でそう言われ、妹に手を引かれる。そのまま洗面所まで連れてこられた。
「ほら! 顔洗って! 歯磨いて!」
しぶしぶ言う通りに済ませ、
朝食という名の昼食を取らされる。
それでも、まだ四時間半もあるにも関わらず、俺は《DIVE CORE》を装着させられていた。
「……妹、まだ早いんじゃないか?」
「いいからいいから!」
ため息をつきたくなる。けれど、そんなことで妹を悲しませるのも気が引けた。
ここは、大人しく待つとしよう。
「お兄ちゃん!」
少しして、また声が飛んできた。
「どうした?」
「さすがに早すぎるから、別のゲームしよ!」
「……はいはい。で、何をするんだ?」
「んー、やっぱ猛獣の地かな! 村の開拓、手伝って!」
「いいだろう」
そうして始めた別のゲームに没頭しているうちに、気づけば時間はあっという間に過ぎていた。
「妹よ、そろそろ時間…」
「はいはい。わかった、今いいところだから」
それから、さらに時間が経ち
「……妹」
「なに! お兄ちゃん! 今、大根が上がり値なんだから待って!」
「《MYTHOSPHERE》のリリースから、もう二時間経ってるぞ」
「あっ……そう。って、はあぁぁぁぁ!?早く言ってよ!!」
「いや言ったよ、」
我が妹ながら、理不尽である。
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※《DIVE CORE》
完全神経接続型フルダイブ装置。一般家庭にも普及している。
※《MYTHOSPHERE》
《DIVE CORE》が出て始めてのVRMMO。
本作の舞台となるVRMMO。




