クソゲーは何が欠けてもクソゲーである
地獄のような初日は終わり夜は平和だ一人暮らしという俺の聖域がある
「ただいまーって俺しかいないがな」
俺は明日から普通の陰の者でいられるのだろうか
「たぶん…無理だろうな」
俺は陰の者代表として絶望するしかなかったラブコメの陰の者は真の陰の者ではないオタクに優しいギャルなんていないのだこれだけは地球ができるずっと前から決まっていた
「なに考えてんだ俺、もう寝ようきっと明日システムがどうにかしてくれる」
俺はクソシステムに期待をして、逃げるように眠りについた
翌日教室のドアを開ける。その瞬間、俺の脳内OSは「敵対生物、未確認」という、なんとも緊張感のないアラートを鳴らした。
視界の端。いつもならそこにあるはずの、網膜を焼くような白銀のストレートロングヘアがない。
「……休み、か」
ホームルームで、担任のやる気のない声が「相模は風邪だ」と告げる。その瞬間、教室のあちこちから「えぇーっ」という、絶滅危惧種が死に際に上げるような悲鳴が上がった。
ったく、これだから青春(笑)に毒された連中は。一人が休んだくらいで、地球が滅びたような顔をするんじゃない。
だが、あいにく俺も人のことは言えなかった。
授業中、ふとした拍子にウィンドウが視界を侵食してくる。
「……おい。クソシステム。ターゲットがいねーだろ。誰もいない空間に向かって何を発動させてるんだ。今の俺、完全にヤバい奴じゃねーか」
というか今更気づいたが相模さんの印象が強すぎて俺クラスの他のやつ知らないなあたりを見渡してももうグループできてやがる
俺はめんどくさそうに呟く
「こりゃ今年もぼっち確定だな…」
{[大人しそうな男子に話しかける]}
{[ナポリに行く]}
{[寝る]}
…久しぶりに意外とまともな選択肢が出たなただナポリに行くってなんだよ…ぼっちを回避するこれは俺に利点がある相模さんを回避する口実になるのだだから
{[大人しそうな男子に話しかける]}
「な、なあ」
俺は普通に友達を作ろうとしたそう、普通にだだがそんな普通の学校生活を見過ごすシステムではないまあさっきまともな選択肢が出たから大丈夫なはず
{[殴る]}
{[今持ってる貨幣を渡す]}
うーんはっきり言ってシステムアホやんさっきだけかよまともだったの
当たり前だが
{[今持ってる貨幣を渡す]}を選択だ
俺の身体は勝手に動き出し、全財産の小銭をジャラジャラと彼の机に積み上げ始めた。
「……これ、取っとけよ。友情の証だ」
俺は震える声で血の涙を流しながら全財産を渡した
「えっ……!? 渚史くん、僕、お金で買われるような関係はちょっと……!」
俺はその後金で友達を作るヤバいやつ扱いされて結局できたのは相模目的の友人と言えないような奴らだけだ
うん、俺だから何も起きなかった俺じゃなかったらどっかの闇落ち系と思わせて闇落ちじゃない系主人公みたいなことをするところだ
俺は相模がいないうちに友達作って陰の者生活を堪能するというのを失敗し、放課後暇なので屋上で夕陽を見ようとしたが今の時代そんなことできないので仕方なく教室で寝正月ならぬ寝放課後をしていた
「さてと帰るとしますか腹減ったからラーメンでも行こ」
「ただいま、ねーちゃんご飯食べてきたからいらない」
ものすごい足音が響くうん、工事かな?
「そういうことはさっさと連絡しろ!」
俺は見事にゲンコツをくらったそうゲンコツの主は俺の姉渚史笠名おっと読み方はかさなだ…うん地味に痛いそんなねーちゃんの一撃をくらいながら俺は部屋に行く
「相模…元気かな…ん?ておい、待てよなんでねーちゃんが俺の家に!?」
俺はねーちゃんを問い詰めるために爆速でリビングに向かう
「あんた、今日学校で『友情を金で買おうとしたヤバい奴』として有名になってるらしいじゃない。……渚史家の恥ね」
姉貴はニヤニヤしながら尚人を見る。その目が何を知っているのか、尚人には分からない。なぜ学校での出来事がここまで早く姉に伝わるのか、姉の情報網に恐怖を感じる。
「……なんでそれを知ってるんだよ。情報網がCIAか何かか?それとなんで俺がリビングに来るタイミングもわかった」
「あんたのクラスに私の元後輩がいるのよ。あーあ、相模さんっていう美少女にまで見限られたら、あんたの人生、一生ボッチ確定ね」
相模。その名前を出された瞬間、尚人の心臓が一回だけ、不自然なリズムで跳ねた。図星を突かれたような、居心地の悪い感覚。
うんこれはきっと心臓病だ新しい、決して俺が頭で浮かんだ言葉ではない
「別に……あいつは関係ないだろ。あいつ、今日休みだったし」
思わず早口になる尚人。その動揺を姉は見逃さない。
「あら、休みだって知ってるんだ。……ふーん?」
姉貴のニヤニヤした視線が突き刺さる。尚人はこの状況から一刻も早く逃れたいと思う。
「それとほらあんたの分のご飯」
姉貴がテーブルに置いたのは、明らかにどこかのコンビニで投げ売りされていたであろう値引きシール付きの弁当だった。その油でテカテカ光る唐揚げを見るだけで胃がもたれそうになる。
「……ねーちゃん、俺さっきラーメン食べてきたって言ったよな?」
「育ち盛りの弟がラーメン一杯で足りるわけないでしょ。ほら、食え。残したら……分かってるわね?」
バキバキと指の関節を鳴らす姉貴。その威圧感は、学校のどんなヤンキーよりも恐ろしい。渚史家の食物連鎖の頂点に君臨する彼女には逆らえない。
尚人は内心でため息をつく。ここで素直に「ごめんなさい食べます」と言えればどれだけ楽か。しかし、なぜか素直になれない自分がいる。あるいは、素直になろうとする思考を阻害する何かが働いているような気がする。
……おい。どれを選んでも胃もたれするだろ。俺の胃袋は、姉貴の料理とシステムの悪意、どっちに破壊される運命なんだ?
我は気分更新の民である




