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クソシステム!!

 彼女は女神のような笑顔を浮かべて、そのまま去っていった。

 ……おい、今の見たか? 脳内の俺Aが「全米が泣いたハッピーエンドだ」とスタンディングオベーションを送り、俺Bが「いや、これから慰謝料請求される前振りの可能性もあるぞ」と冷静に現実を突きつけてくる。

……はぁ。助けてくれてありがとう、か。女神の笑顔ってのは、心臓に悪いなんてレベルじゃないな。毒だ。それも、俺みたいな日陰者に耐性があるはずもない、猛毒だ

 そもそも、俺が彼女を助けたのは高潔な騎士道精神からではない。ただ、あの時の俺には『適切な言葉』を検索するだけの心の余裕がなかった。自分の言葉で喋れば…いやなんでもない俺は嘘を吐くだけどいいんだ

 結局、俺は釈然としない気持ちのまま、重い足取りで教室へと戻った。

 だが、俺の平穏は教室のドアを開けた瞬間に、粉々に粉砕されることになる。

「あ、渚史さん。……おかえりなさい」

 ……なんで俺の席の隣で、相模美冬が待機しているんだ?

 しかも、その手には何やら丁寧な包装が施された小箱。

 クラスメイトたちの視線が、昨日にも増して鋭利な刃物となって俺の背中に突き刺さる。

 助けてくれ。こういう時こそ、俺の意思を奪う『クソゲー・システム』の出番だろ。


{[ 「待たせたな、俺の相棒」と不敵に笑う ]}

{[ 「今、全財産を失ったから何も受け取れない」と逃げる ]}

{[ 「ありがとう」とだけ言って受け取る ]}


「……おい。真面目にやれよ。せめて『普通に挨拶する』っていう、人間としての最低限の権利を寄越せ」

 俺は視界に浮かぶふざけた三択を睨みつけ、心の中で毒を吐きながら、最悪の決定ボタンを押すしかなかった。


さてどれを押す真面目にやらないシステムは初めてだ嘘ついたさっきもやったなこのクソシステム

というか美冬さんやい、いつその梱包されたものを用意したんだい用意時間俺が思考停止してたせいぜい5分だろ


{[時間切れです]}


!?


何も選んでないのに彼の体は動き始めるそして選択されたのは地獄だった

「今、全財産を失ったから何も受け取れない」


…は?ふざけんなこのクソシステム!時間制限!?そんなもの今までなかっただろうが!ほら見てみろ美冬さんブチギレてるってそして周りの視線がM4レベルでやばい

彼女が突然走り出し廊下に出ていく

ほら見ろ!このクソシステムお前のせいで俺の人生おしまいだ!追いかけなきゃ!


俺は自分の人生のため彼女のためなんかではない陰の者ができる最大限の全力で周りの目を気にせず彼女を追いかける…人生を守るために


「美冬さん!ごめん」

彼女の入って行った空き教室に俺は何も気にせずに入ったそこで俺は信じられないものを見た

「くふっ……あはははは!」

今まで見たことがないそう彼女は子供のようにその綺麗な白銀の髪を気にせず大笑いしていたのだ信じられない完璧が完璧じゃない様子を見てるのだ


{[デコピンをする]}

{[見なかったことにする]}

{[一緒に大笑いする]}


は?ここで選択肢!?意外とまともなのがあるなそれにしよう

{[時間切れです]}

早くなーい?ねぇ、今までの100倍早くなーい?なんでー?もはやいじめだよね?クソシステムくん


{[一緒に大笑いする]}


流石にデコピンじゃなくてよかった…

「……っ、ふふ、あはは! ごめんなさい……っ。だって、渚史さん、『全財産を失った』って……! 断るにしても、もっと他に言いようがあったでしょう?」

涙を指先で拭いながら、尚人をじっと見つめて

「……おかしい人。私、そんなふうに言われたの、生まれて初めてです。みんな、私を腫れ物みたいに扱うか、機嫌を取るようなことしか言わないのに。……渚史さんって、本当に面白いんですね」

この人かなりズレてる完璧なあの姿はどこへ?というかそのクッキーいつ用意したの!?


 彼女は目尻に浮かんだ涙を指先で拭うと、手に持っていた小箱を差し出してきた。

「はい、これ。お礼のクッキーです。……毒なんて入ってませんから、安心して食べてください」

 差し出された箱を受け取ると、ほんのりと温かい。……ん? 温かい?

 今の時間は二時間目の休み時間。登校してから一時間以上経っている。手作りなら冷めていて当然だし、購買で買ったにしては、この丁寧なラッピングは不自然だ。

 それに、さっきの廊下での出来事からまだ五分も経っていない。いつ、どこからこれを取り出した? まるで、『誰かに助けられることを予見して、最初から用意していた』みたいじゃないか。

「……相模さん。これ、いつ用意したんだ?」

「えっ? ……あ、ええと、それは……秘密、です」

 彼女の笑顔が一瞬だけ、仮面のように固まった気がした。

 だが、すぐにその表情はいつもの「完璧な美少女」のものに上書きされる。

「渚史さんが、私を助けてくれた。だから私は、お礼を渡す。……それでいいじゃないですか」

 ……よくない。全然よくない。

 この違和感、どこかで覚えがある。そうだ、俺の視界でバグり散らかしているこの『システム』と同じだ。完璧すぎて、どこか機械的で、血が通っていないような――。


{[ クッキーを一枚食べる ]}

{[ 箱ごとゴミ箱に捨てる ]}

{[ 彼女の口にクッキーをいれる]}


……っ。おい、ここで三択かよ。空気読め

 俺は心の中で毒づきながら、一番『マシ』な選択肢を、いや、選ばされた運命を飲み込むことにした。


「なら一緒に食べようぜ」

俺は全身全霊でシステムに対抗したつもりだっただが気づいたら俺は彼女の小さな口にクッキーを一枚ねじ込んでいた


ーーークソシステムが

俺は心の中で毒を吐いた

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