感動、綺麗、しっとり
「ひこう、き? なんだそれ。それに乗ったら、ホントにどこにでも行けちゃうのか⁉︎」
「これが、祭……。初めて見る……。想像してたよりずっと、ずっと楽しそうだ!」
「このプリン、うっまー! なんじゃこりゃ、この濃厚で甘くて最高でカラメルの苦味も丁度よくて、最高のハーモニーを奏でているこの食べ物は! 信じられない、こんなにうまいプリンは初めて食べた……」
「お嬢様、この季節になると、わたくし思い出すのです。貴方がまだ幼かった頃を。花を摘んできては、嬉しそうにわたくしの手に渡してくださるんです。そのお姿は天使そのもので……。ああ、それがもうご成人とは……感無量でございます」
「あ、聞こえた」
暫く前から午後の、この時間になると誰かが歌っているのが風に乗って聞こえてくる。私はその声が好きだ。静かな森の中に響く優しい歌声は、まるで森が歌っているようで……。
姿も見えない貴方に想いを馳せ、毎日、この時を楽しみにしている。
何をするでもなく二人、原っぱに座ってただ星を眺めた。
紺碧の空に煌めく無数の星。それはそれはとても綺麗で、偶然にも、二人の吐いた息が重なってしまう程だった。永遠にも一瞬にも感じられるその空間の中で、ぼくは星に願った。
「明日も――」
遠山の薄青が今日も「朝だよ」と静かに告げる。鳥の声聞き、風に揺られて……私は生きるを知っていく。
褐色の肌にブルーの瞳。君はとても綺麗な人だった。今でもはっきりと覚えている。あの日、僕は全てを思い出したんだ。そして、決めた。僕は、僕のために生きようと。
ゴツゴツした手の筈なのに、添えられた手は驚くくらい優しくて。手って、こんなにあったかいものだったんだな……。
お月さまって、いつもはっきりと輝いているものだと思っていたけど、空がぼんやりしているとお月さまも輪郭がぼんやりなるものなのね。知らなかったなぁ。
磨りガラスを通したみたいにぼんやりと光る月はどこか頼りなくて、寂しくて。秋の終わりの夜を一人歩くわたしの心は共鳴した。寂しいけれどやはり美しく、どこか安心する月の光は、私がこの先も歩いていく為の優しい道導になるのでしょう。
鋭く高い音だけれど、不思議と嫌ではない。そんな鈴の音がした。氷の矢のようでありながら、どこまでも清々しい青空のような。あの日の君の声のような。




