55:海遊び!
「皆、大丈夫かな?」
はーい!と元気なのは子どもたち。大人たちはグロッキーに近いかも。
海へ行くなら、子どもたちも連れて行ってあげようと思いたったのだ。
バーベキューの時、集まっていた方たちに、海へ行きたい方は一緒に行きませんかと尋ねてみたんだ。そしたら、子どもたちは殆どが海遊びに参加するって。
子どもの人数がニ十一人と多いので、教会の方ニ名、村の大人ニ名。引率に、大人四名も付いて来て下さった。
移動はもちろん、ブルビィに運んでもらう方法だ。
ブルビィに運んでもらったって事はだよ?窓から外を見た大人たちは、デジレさんたちと同じ様になっちゃったんだ。
ぎゅうぎゅうに詰めれば、何とか一度で移動できそうだったので、それも良くなかったんだろうな…。反省。
グロッキーになっている方たちは、一先ずコンテナハウスで休んで頂く。
元気な子どもたちと私たちは、早速海遊びだ。
小さな子をメインに、砂浜で潮干狩りをするグループ。波打ち際で、釣りをするグループに別れる。お昼ご飯の確保だね。
スコップや熊手、ザルを手に貝を探す子。砂遊びに走っちゃう子。一生懸命、釣りに励む子。どの子もみんな楽しそうだ。
「貝も魚も、沢山とれなくても大丈夫だからね。遊びながらとって」
「優先生、遊びながらで良いの?」
「良いの?」
「うん。遊びながらで良いよー」
海が初めての子どもたちは、何度も確認してやっと娯楽として海を楽しみ始めた。
しばらくすると潮干狩り組に、回復した方から順に合流して子どもたちを見て下さるようになったので、潮干狩り組はお任せだ。
私はもちろん釣り!岩場で泳ぐ!泳ぐのは、皆には見えない所でするのがユリシーズさんとの約束だ。
釣り組が竿に慣れたのを見計らい、釣り組を村の方にお願いする。
「じゃあお願いします」
「ちゃんと見てるよ。任せな!」
釣り組をお任せすると、私とユリシーズさんはちょっと離れた場所にある岩場に移動した。
「よーし!潜るぞー!」
腕以外の露出は禁止。これはユリシーズさんは譲れないって…。
まあ、男性のユリシーズさんがハーフパンツを嫌うのだ。女性の私が、ハーフパンツにキャミはアウトと理解した。
よって、今日は紐で縛ってピッチリにする半Tと、ストレートタイプのロングパンツを用意した。
ユリシーズさんと話し合い、お互いに妥協出来たのがこの服装なんだよね。
泳ぎ難くて仕方ないが、服が纏わりついて溺れないようにしようと思う。
羽織っていたシャツと、重ね履きしていたワイドパンツを脱ぐ。そして、海に浸かるとユリシーズさんを呼ぶ。
「ユリシーズさーん!良いよー!」
「ああ」
衝立代わりにしていた岩の向こうから、ユリシーズさんが恐る恐るやって来た。
「ユリシーズさん、泳ぐ練習する?」
「いや、俺は辞めておく。ここで優が採った貝や魚を受け取ったり、大きな魔物が近づかないか見張っているよ」
ユリシーズさんは目を合わせないようにして、そう告げる。
この世界には娯楽として泳ぐ習慣も、水着もないからね…。
地球では、私の家族は海で泳ぐのが夏の恒例だった。だからここでも、地球の家族と過ごしていた様に過ごしたい気持ちを、ユリシーズさんは理解してくれたんだ。
それで充分。こちらで楽しめるように楽しむ。
「じゃあちょっとだけ。潜って来るね」
ユリシーズさんに見送られ、海へ潜る。
サザエ、鮑、ムール貝っぽい貝類。聖魔法で食べれると判断できた、この世界の見知らぬ貝類。
そんなのが沢山、岩に貼り付いている。
手でとれる物や、銛で抉ってとれる物。時々近づいて来る、大きな魚も銛で突いて捕る。
小一時間くらいかな?そのくらいの時間で、大きな桶二つ分の貝が色々。魚も五匹捕れた。
「ぷはーっ!これで最後にするよ」
「ああ」
魔物が出なかった事にも、もう海から上がる事にもなのだろうか?ユリシーズさんがとてもほっとしたのが分かった。
漁師さんなら兎も角。一般人が泳ぐ事がないので、溺れたりとか凄く心配していたのかも知れない。
来年からは、潮干狩りと海釣りだけにしよう。今日、こうして思う存分、海へ潜って遊べたんだ。それで良いや。
◇
「今日は海鮮バーベキューだよ」
簡単に水浴びを済ませたら、お待ちかねの海鮮バーベキューだ。
子どもたちのとった貝に、釣り上げた魚がたっぷりある。港町で買ったり、頂いた魚介類もあるしね。
魚の内臓を取り、網に並べつつ、他の料理も用意する。
シーフードパスタ。ゆで卵バージョンと、厚焼き玉子バージョンのたまごサンド。自家製ツナの、ツナサンド。フォカッチャ。ライ麦パン。
マヨネーズがあれば食べ慣れない魚介類でも、子どもたちが食べやすいかな?そう思って、マヨネーズを無限収納から取り出す。
タルタルソースやガーリックマヨネーズなんかも揃えた。
パセリソースも良いかもと、パセリソースも出してみる。
「お魚、おーいし〜っ!」
「変わったマヨネーズも美味しい!」
「ツナ?さんど?これが良いよ!」
「いやーあ、ショウユ垂らした物も美味いよ!」
「それにちょっとパセリソース付けても美味い!」
子どもたちと大人で、好みが分かれたよ。ま、でも、パクパク食べてくれて嬉しいな。
魚はユリシーズさんもミラさんも捌けるので、三人で捌きつつ網に次々魚を乗せていく。
「優先生、もうツナのサンドはないの?」
「魚や貝は?もう食べないの?」
「食べるけど、ツナも食べたい!」
「フィリも、ツナのパンとたまごのパン食べる」
こっちでも、ツナは子どもに人気なのか。マグロも五本買って、そのうち一本をツナにしてあるから。ツナはまだまだある。
「すぐ作るよ。待ってて」
ゆで卵バージョンのたまごサンドは時間が掛かる。厚焼き玉子バージョンのたまごサンドを作り、ツナサンドも沢山作る。
どっちも、出来た端からなくなってしまった。子どもたちには海鮮バーベキューより、こっちが人気だった。
ちなみに今回も、タドリィ親方は飲むのにも食べるのにも忙しい。
タドリィ親方の弟子セーマルくんと、統括ギルドの職員アベラさんは、静かに魚介類を貪っている。
「ロブスター、そろそろ食べちゃって。焦げるよーっ」
魚の合間に網に乗せたロブスターも、ザリガニとは違う味で美味しいと、皆喜んで食べてくれた。
皆お腹一杯になるまで海鮮バーベキューを食べ、その後一眠り。
起きたら砂遊びや、波打ち際で水遊びをして過ごす。
私も、ユリシーズさんと水掛けしたりして遊んだ。クーとルーがひらひら舞う波を追いかけて遊ぶので、びしょ濡れになりながらだ。
楽しい時間は過ぎるのが早く、もうすぐ夕方になる。
「シャワーして、そろそろ帰ろうか」
「えー?もうー?」
「まだ遊びたいよーっ」
名残惜しそうな子どもたちに、帰ったらお昼とは違う海の幸を使ったご飯を作る約束をし、体を洗う。
「四十度って念じて、シャワー使って」
水の魔石。常温とか、決まった温度の水しか出ないのかと思っていたんだけど。
なんと!冷水も、微温湯も、温湯も熱湯も出る優れものだった。
冷水と温湯と熱湯は、ランクの高い物しか出ない事も分かった。
それが分かった時、じゃあホースがなくても良いとなり作った、シャワーヘッドだけのシャワー。それで全身の海水を洗い流す。
「前に教えた髪の洗い方、覚えてるかな?」
そんなに傷んでいる感じもしないし、大丈夫だと思うけど。
「髪は梳かしておく!濡れた髪を擦ると傷むから、髪は洗わない。洗うのは頭皮。毛と反対へ、指の腹や掌で揉み洗い!
この洗い方、ちゃんとしてるよ!」
「頭の痒いの、なくなったよ!それにね、髪もきれいになった!」
「良く覚えてたね。このシャワーだから出来る、シャワーヘッドで頭ポンポンってすると、もっと汚れが落ちるから、やってみて」
男性の方は、ユリシーズさんたちが教えてくれている筈。
一緒に生活しているカーニバルの皆さんも、ユリシーズさんのご家族もこの洗髪を覚えておられる。
シャワーと洗濯を終えて合流すると、男の子たちも身奇麗になっている。男子は、ユリシーズさんたちがちゃんと面倒を見てくれたみたいだ。
「ユリシーズさん、皆さん。ありがとうございました」
「いや、礼を言うのはこっちだ!」
「本当だぜ!面倒臭くてしてなかったが、教わったやり方で頭を洗うと、物凄くすっきりしたよ!」
「父ちゃん!優先生の言う事、ちゃんと聞かないからだぜ!」
どっと笑いが起こり、一頻り笑うと村へ戻る。
そして、子どもたちとの約束。昼とは違う料理を作る。
タコ焼き。シーフードの薄焼きピザ。シーフードサラダ。シーフードのアヒージョ。他にも色々。
こうして、真っ黒になるまで遊んだ、夏の思い出が出来た一日となった。
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