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101/110

101:私のお土産は心臓に悪いらしい

「まあ!てきなおみや

 でも、こんなにこうな物、本当にもらっても良いの?」


「はい、どうぞ。さむいのも冷えるのも、つらいですから」


「そうなのよね。……ありがとう。たいせつにするわね」


「……足元があたたかい。体もあたたかい……!いや、本当に良い物をありがとう」


 デジレさんとミラさんは、ダウンせいひんのおみやをとてもよろこんで下さった。


 デジレさんはミラさんと話をしている間に、ネックウォーマーとレッグウォーマーをしていらっしゃる。


 がくしゃさんたちのための、ちゃんとした宿しゅくしゃはあるんだけど……。その宿しゅくしゃとこのコンテナハウスを行き来するのがめんどうくさかたが、ぜんとこちらにかたまってしまってね。


 それこう、私のコンテナハウスに土魔法でこうどうと、カプセルハウスをせつしたたてものを作っている。土魔法で作ったこうどうにもヒーターはあるが、コンテナハウスとくらべると冷える。


 一時間に一度のかんを、てっていしてしていただいている。だから、部屋があたたまりつづける事もないんだわ。


 それでも、つうたてものより中はあたたかいんだけど。冷えるものは冷える。


わしらにまで、こんなみやを……!」


「まさか、綿めんの上下!?かわまえけにくらべてすずしいっていう、でもちょうな物だよね!?」


 タドリィおやかたとセーマルくんには、まだきゅうしていない、あつ綿めんの上下をおみやに買って来た。


あさのとかのもあるみたいだけど、火を使うかたには、やっぱり綿めんざいが良いから」


 現代の日本に、いま綿めんぎょうがあるのは、それだけ火をあつかう仕事のかたてきしたざいだからだ。たいせいもあり、つうせいも良い。


じょうちゃんよ……。みやは、もうちいとしんぞうに悪くないモンにしてくれんかの……」


「こ、これ……。こんな良い物、使えないよ……」


「ユリシーズさんのじょげんで、これでも上下(かく)(ちゃく)らしたんですよ」


「洗いえもって、三(ちゃく)買おうとしていたんだ。色々(せつ)めいして、一(ちゃく)にさせたから……」


「お、おう。そうなンか?全く……。おくり物のかぷせるはうすといい、じょうちゃんのおくり物にはたまげるわい……」


「あれ……!!おやかたの家のあれって、ユウさまからのおくり物だったんですか?!

 おやかた、元はすごかたなだったそうだから、おやかたが買ったんだって思ってた!」


「いいや。あれはじょうちゃんのおくり物じゃよ。ある日、いきなり家にせっしてくれたわい」


「そうだったんだ!はじめて知った!」


「そんな事もありましたねー」


「そんな事……。ふう……。

 ユリシーズ、これからもお前さんが、しっかりっとれよ?わしが長生きするためにのう」


「そうする」


「え、ひどくない?!」


ひどくなぞないわい!……。みや、ありがとうの」


ユウさま。俺にまですごいおみや、ありがとうございます」


ユウのおみやって、しんぞうに悪そうだね……」


「そうね……。ユリシーズ、もしまたかいがあったら、しんぞうに悪くないおみやになるように、私からもお願いするわ……」


「デジレさんとミラさんまで?!」


「当たり前ですよ。それに!(いっ)しょに行っていた私にもおみやがあるって、どういう事なんでしょうか……?」


「それは色々おになっているから、そのおれいだよ」


 アデラさんには、せんたくや料理を作って下さっている女性たちと同じ物に、ちょっとプラスしておくった。


 明日(みんな)おくるのは、フエルトみたいなせいほうに、あたたかいこうのされたネックウォーマーとレッグウォーマー。


 首をあたためるだけで、ずいぶん冷えがかんされるからね。それに、足首も冷える部位だから。


 この行軍中、何かあっても動きやすいように、女性たちもパンツスタイルになっている。私が穿いている、ちょうワイドパンツだ。

 スカートより動きやすいが、寒さはスカートとそこまで変わらない。


 それで、首をあたためるネックウォーマーと、足首をあたためるレッグウォーマーをおみやえらんだ。


 アデラさんにはそれにプラスして、あたたかいこうのされた、おおばんのショールをおくった。


せんぱいたちもおどろかれていましたけど、こんなこうおくり物……っ」


「ちょーっ?!たおれる?!え、何で?」


「……。だから、もっとほど(ほど)の物をって言っただろ……」


ほど(ほど)にしたよ?!ダウンせいひんは王族のかたたちとか、本当にお金持ちの貴族やごうしょうかたでないと買えないんだよね?

 だからダウンせいひんあきらめて、あたたかいこうのショールにしたよ?」


「……。それでも、つうらしをしている者が、おいそれと買えるようなしなじゃない……。

 そこそこかせぎのある冒険者やようへいでもないと、一生手にする事のない物だ」


「ええー……」


 そこまでなのー?!


 ミラさんにかいほうされ、アデラさんは直ぐに気が付いた。


「こんな……、こんな……こうなおれい……」


 しきもどったんだけど、まだどうようしているみたいだわ。


「それくらいしても足りないくらい、アデラさんにはおになっています。同行して下さって、本当にありがとうございます」


「ユ、ユウさま〜……!」


 アデラさんは、ちょっとだけおっちょこちょいだ。それがげんいんの一つで、とてもこうていかんひくい。


 だが、めいてきなミスはしないし、(いっ)しょうけんめいで周りが見えなくなってしちゃう、かわいおっちょこちょいだ。


 それでこうていかん下げちゃうなんて、もったいない!


 そんな気持ちが伝わると良いな。そんな願いもめたプレゼントは、アデラさんのお気に入りになったようだ。

 身に付けてくれているのを、行軍中の寒い、何度もけた。


ユーー?フィリにはないの?フィリね、ふくもうれしいけど、リュカたちにあげたのと同じおもちゃほしいの」


み木だね。フィリベールくんのもあるよ。ごはんが終わったら、出してあげるね」


「ほんと?!フィリにもあるー!」


 フィリベールくん、ちょっとはしゃぎ過ぎてミラさんにちゅうされちゃった。つう、おもちゃなんて買ってもらえる物じゃないから。はしゃいでもかたない。


 アデラさんがたおれたり、フィリベールくんがちゅうされたり。おみやこうしんぞうに悪いと言われたり……。


 そんな夜はけて行った。


 ◇


「まあ?!おみやって……」


「ジテンシャって、こうしなものだろう?」


 一夜明け、今日はエグランティーヌさんのおたくにおじゃしている。


「あ、はは……。おおくりして、よろこんでいただけそうなしなにしただけです」


 いつかしいって話していらっしゃったから、自転車にしたんだけど。たしかに、まだ安くはない。


ユウきんせんかんかくしいから……。気にせず、受け取ってやって。よろこぶから……」


 そうせつめいするユリシーズさんも、なんだかぐったりしている?!


うれしいのはもちろんよ!ただ、受け取るには、ちょっとしんぞうに……」


やさしくない、かな……」


 エグランティーヌさんたちにも言われた!!


「そうよ。私たちにまでこうなおみやを買って来てくれていて、おどろいたわ……」


 エグランティーヌさんの家へ来られていたカーニバルのみなさんにも、ここでおみやをおわたししたんだけどさ?


「ど、どうが……」


「これ、なかなか手に入らないヤツでしょ!?」


 あ。めっに見られない、エブリンさんのひょうもんはだいた。


「お、おどろいたぁ……」


 ゾーイさんは言葉とうらはらに、何だか目がらん(らん)としちゃっている。


 そんなおみやはねー。


「はい、れんせいウールこうです。アダマンタイトじゃないですから」


 ウールこうは、とくていいきからごくわずかしかさいくつできない、メタだ。

 そんなウールこうの地で打たれ、有名になったのがアダマンタイトだよ。


 こちらではウールこうねらい、ウールこうさんは、何度もしんりゃくきょうさらされたそうだ。


 さいしゅうてきにウールこうさんしんりゃくされ、ウールこうしきを持つかたたちもえてしまったれきがあるそうだ。


 その後、ちょう寿じゅしゅぞくかたたちへの聞きみが行われ、れんきんじゅつさんたちによる、ウールこうさいげんけんきゅうが重ねられた。そしてどうにか、れんせいウールこうが出来たのだそうだ。


 ただ、せいしつの物ではあっても、アダマンタイトとはくらべ物にならないらしいけど。


 そんなれんせいウールこうのおみやは、「まさかおみやといって、ぽんっとわたされる日が来るなんて……」と、カーニバルのみなさんに言われてしまった。


 そして、「しんぞうに悪いおみやだわ……」とも…………。


 その後、軍の台所へおじゃして、そこでもしんぞうに悪いおみやだと言われた。


 さすへこむんだけど……。


 にしておられたしょうぐんさまにはさらよくじつえいほうこくと共に、おみやをおわたししたよ。


 そしたら……「これがみなが言っておった、心のぞうに悪いみやか……。たしかに、おどろくようなこうしなだ」と……。


「次があれば、夏の時のような、もっと気楽なみやにせよ」とげんめいされてしまったよ……。


 私は二日(ほど)、ユリシーズさんになぐさめてもらってどうにか立ち直ったくらい、ひどく落ちんだ。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなど、お気楽に下の

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