表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/110

1:異世界暮らしのある日

「……しょう、…………ユウ

 ……きないとキスするぞ」


「ぅあ?!」


 キスするぞって言葉におどろいてきたわ。すると、目の前には付き合い始めたばかりの彼氏、ユリシーズさんが立っていた。


 ユリシーズさんに名前で呼ばれるのも呼ばれれてなくて、けいにドキドキしてしまった。


 ユリシーズさんは元々、けんで冒険者として身を立てていたが、ひょんな事から私に魔法使いのとしてりしたんだ。


 その後色々あって、こくはくぶんのないこの国においてこくはくしてくれ、今はお付き合いしている。


 いや、正しく言おう。じっどうせいして(ひと)つきになる。


 じっであるこの家は、日本人転移者であるお父さんのおおしろつよしさん。この世界の人で、お母さんのマーチャさん。妹で、ようじょのサーラちゃん。フェンリルのようじゅう、クーとルー。そしてさっきも言った、ユリシーズさん。お父さんのようじょで、日本人転移者である私、あしおおしろゆう


 以上の五人と二匹でらしている。


 兄もいるが、兄はべっきょしている。ゆとりのある家の長男は、子どもが出来るまで新婚生活をまんきつするりがあり、の兄(ふう)べっきょしているんだ。


「……して、三ヶ月もしきがなかったのはまだ去年だから。しないで…」


 ユリシーズさんはそっと手を伸ばし、私の頭をでながら体をづかってくれる。


「そのならもうだいじょうだよ。

 そうあんげるのに、ちょっとこんめ過ぎたみたいだね。気を付ける」


 去年、集団(スタン)暴走(ピード)めいきゅうまえで食い止めるさい、頭をしょうして三ヶ月()しきがなかったんだ。


 いまだに何かあると、こうしてとてもしんぱいされてしまうんだよね。


 しかし……。頭をでられるのがくさく、うつむいてもごもご答えてしまう。


 ユリシーズさんはこたつのとなりへんとうこしけると、書きかけのもっかんを手にする。


「……糸をめるしょくにん調ちょうこうに……、ニホンゴはあいわらずむずかしい……。ここ、何て書いてあるの?」


 日本語とぶんぽうちがうのか、ぶんしょうを書き終わらないと、こちらのげんほんやくされないんだ。


 ずいぶんまえに日本のしょうめいみたいなライトのかいはつをした。で、ぜんかいとうかいで着るには良い色とされていた色が、今はすたれ始めている色がえている。そのため、今のライトの下でえるや色やデザインがドンドンみ出されている。

 そんなはいけいがあり、そのかんけいの仕事を。


 王家のみなさまが毎日お風呂に入るようになられ、キツイ香りのこうすいたいしゅうさなくて良くなった。代わりに、やわらかなかおりを楽しめるようになられた。

 つまり、貴族やこうしょとくの平民にもそれがりゅうこうをみせ始めている。

 そんな香りを作り出せる仕事も、じゅようが高まっている一つ。


 最後、ユリシーズさんに読めなかったおいらんなどにみられる、教育を受ければ身分のせんも男女も関係なく高い能力をはっする女性がいる事を、どう書こうかとなやんでいたんだ。


 古代ギリシアの有名()アスパシアは、とうこうめいてつがくしゃなどにしょうばれていたとか。スピーチをかたわりしたとか。さま(ざま)えいきょうあたえたともつたわる女性だ。


 おいらんなら、十一代目のたかゆうかな。ひめはんはんしゅさかきばらまさみねそくしつになったんだよ。そくしつになれるくらいのきょうようがあったって事だろう。


 オーストリアのじょてい、マリア・テレジア。ロシアのじょてい、エカテリーナ。フランス王のこうしきあいしょう、ポンパドゥール夫人の三人で作られた"三枚のペチコート作戦"もきょうぶかいよね!


 おおう。ちょっと熱くなっちゃったな。


 そんな女性たちの事を考えながら、この世界の女性のはたらく場のかいほうざいさんを持つけんあんっていたんだが……。いつの間にか、うたたねしてしまったらしい。


「私のは、あっちの世界で外国のかたから世界一(おぼ)えるのがむずかしいげんって言われていたからね」


「カンジだったか?あれは書くのが特にふくざつで、なっとく


 いや、多分ユリシーズさんが思っているのとちょっとちがゆうだと思うよ。


「最後のはまだぜんぜんまとまらないから……。せつめいがね……」


 ちがう意味でも、あまり言いたくないかな。


「そっか。……春になったらパレードの後、西へのこうれい調ちょうに加わる約束もあるから、時間を気にしてるんだろうけどさ」


 ユリシーズさんはそこで言葉を切って、じっと見つめてくる。


「しっかり休んで、しっかり食べるのもわすれないで。もっと太って安心させて」


「太ったらけんこうって事もないんだよ?」


「何回も聞いたけど、太って」


 ごはんはしっかり食べている。ユリシーズさんもそれは知っている。だが、ここではぽっちゃりくらいがけんこうてきというかんがあるので、太ってと良く言われる。


 ぽっちゃりになれるざいりょくがあって、ごはんをちゃんと食べられているなどの意味もあるんだけどさ。


 する前くらいのたいけいにはもどっているし、ほんじゅんでもそこまで細くはないぞ。


 しばらくいつものやりとりをしていたら、ユリシーズさんからばくだんはつげんとうされたっ。


「あの時、くちうつしの食事。

 ……もっと食べさせるんだった」


「はい?!」


 三ヶ月もしきめいで、よくすいじゃくしなかったなと思っていたよ?!


 すいじゃくしなかったのは、まさかの……っ?!


 今のぼせてたおれそうだってば!



 この年の冬は、こうして春を待って過ぎた。いつの間にかクーとルーにはまたか、みたいなまなしをけられるにいたっていたよ。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

☆☆☆☆☆

にて★1から★5で評価して下さいね!


続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


感想や応援メッセージもお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ