n回目の入学
ネモ「......だる......疲れた...」
五月上旬の昼下がり。
体育祭の季節だ。旅ネモは朝早くからの練習に出て、寝不足でぐったりしていた。本人自体、体力が少ない。
涼しい春風とは一変、緑が生い茂り始め、授業が本格的になってくる。普段でも眠たかった普通科の授業は始める前から眠い。
ネモ「なぁイト...って、まだ寝てるし」
イトは今日すべての授業を寝て過ごしていた。退化した小さなぬいぐるみのような姿で、机の上で丸まって心地良さそうに寝息をたてていた。い二人とも一番後ろの席でもあるが、人数が少ないため、それもあまり意味をなしていない。
あまりにも平凡で、つまらない。
始めての学校生活に希望を胸に来たのが少し馬鹿馬鹿しくなるほどだと、机に突っ伏して涙が出るほど大きなあくびをする。
静かな教室。
しかしそれをぶち壊してくる奴がいた。
「貴様ら!!!」
雨宮である。扉を勢い良く開け放ち、全員の視線を集めた。彼女は宿題を盛大に忘れ、職員室に呼び出しを食らっていたのだ。
イェン「なんだなんだ、いきなり......?」
雨宮「貴様らよく耳かっぽじって聞け!」
ほむら「やだ」
雨宮「聞いてくださいお願いします」
雨宮「転校生が!来るらしいぞ!」
ia「転校、生?」
黒「へぇ~こんな中途半端な時期に来るんだ」
黒が肘をついてお弁当を食べる手を止めた。
YOU「どういうことです?」
黒「君たち、今までの学校で転入生来なかったの?」
丸「いやー来なかったと言うか」
そもそもほとんどの人が行ったことない、又はいったかもしれないけど記憶がないかのどちらかだ。
黒「普通の学校なら学期始めに合わせて入ってくるのがほとんどなんだよね」
白「よほどの事情があるのかもしれないわねぇ」
雨宮「とにかくっ、この少ないクラスメイトが増えるのだ!」
雨宮は目をキラキラさせて期待が顔に塗りたくられている。
イェン「どんなやつだろうな」
ia「というかどうして雨宮さんが知ってるんですかそんなこと」
雨宮「先生の机盗み見した」
ほむら「(こいつ絶対怒られてたの聞いてなかっただろ...)」
吹雪丸「いつ来るかとかはわからないの?」
雨宮「......しらん!」
黒「ですよねぇ~、じゃくるの夏休み前とかあり得るかなぁ~」
ネモ「(転入生ねぇ......)」
まだ顔も知らないクラスメイト(仮)を想像しては、盛り上がる昼休みの教室だった。
ただその後の授業はほぼ全員寝落ちしました。
ia「(ほぼ授業している意味もないんじゃ...)」