ソウゾウのカタチ2
→エレベーター1号内
黒髪に左目に覆う形で青いメッシュの入った少女、雨宮ぐらむはじっと階数のボタンを眺めていた、。このエレベーターは最大大人40名も収納するほどの広い空間であり、車イスの利用者も快適に乗り降りできるように低い位置に階数のボタンがあったり、手すりがあるエレベーターだ。10人ほどの集団を運ぶことぐらい造作もない。
「(11階まであるんだ、へぇ......)」
ツキガセ先輩とやらが押したのは6階だ。自分達の創造科は7階にあることは知っているから、その一つ下。壁に貼ってある案内をみるとM科と表示されている。
「俺らの学校が創造のキャンパスだって呼ばれてるのは知ってるか?」
「...っは、あ、うっす」
急に話しかけられたせいか、変な返事をしてしまった。
「C科がなにするかは知らねぇけど科は機械を使った創造をするんだ」
「ツッキー多分私たちの創造と、こっちの創造は訳が違うと思うわよ......」
「そーなのか?せんせー」
「え、えーっと...どうだったっけ......」
「新人の先生に他科と比べろって、鬼畜かお前はぁ」
「いやぁつい......」
「今まであったこの学校の科目はすべて世界でたったひとつの無機物の作品を作ることしかできなかった。この世界にありふれる、ポスター、家具、絵画、工芸品...ネジだってそう。」
ヨネクラが続けて少し早口で説明を続ける。
「従来と何が違うって、噂で聞いた程度だけど人外...?とか異世界を保有する生徒が集まるって話。生命を扱う科目って私は理解してるけど」
「俺らがキャラ作るようなもんなのか?」
「ツッキーは早く小説の新作出して♪」
「あーしまったー言うんじゃなかった...へいへい、インスピが上がったら書くよ......」
「小説かいてるんですか?」
YOUが後ろから顔を出して覗き込む。
「一部を除いて大体の人はなにかしらやってるんじゃないかしら。私だってよく絵描いてるし。」
「この前ヨネに挿し絵書いてもらってその短編を部活で売ったんだ~」
「小説がかける部活がある......」
そうこう話し込んでいると、「6階です」という無機質な音声と共に扉がガランガラン、と音を立てて大きく開いた。独特な臭いが仄かに臭い、苦手な人は頭がいたくなってしまうだろう。
「なにこの臭い...」
鼻が敏感なイトは自分の鼻頭を押さえて籠った声だ。
「油の臭い、別の違う臭いもするけど。」
ネモが少しネックをつまんでスンスンと呼吸すると、すぐ答えを出した。
「せーかい。よくわかったじゃん。あとピカールの臭いもあるぞ」
「もう慣れちゃったけどね、私も入学したてはきつかったわ...」
「何処から臭ってんだこれ、この階に作業場が?」
ほむらが眉をしかめつつ前に出てくる。
「工場自体は地下にあるんだけど...多分作業服と教室だなぁ...」
「なぜ教室が...」
「たまにいるんだよ授業参加してるけど、教科書に隠れて金属磨いてたりとか削ったりしてるやつ。俺だけど」
「それは草」
ツキガセはそういいつつ歩き始める。特に後ろの新入生を気にせずにマイペースだ。
「科は科ごとに特徴がある。俺らM科は脳筋で変わり者ばかりだし、V科はセンスの塊だし、P科は服が奇抜だけど頭がいい。ここだって普通科の授業はあるからな。」
「えーやだーめんでぃー...」
「赤点とっても休んでいないならあまり問題ないから...ちょっと課題やればいいからさ」
「先輩とったことあるんすか...」
ツキガセとヨネクラが並んでいたところをそのまま振り替えって
「数学は常に赤点常習犯!」
「テスト?やる気ねぇっす!燃えろ!」
「(ダメだこの先輩たち!!)」
ほっとした生徒と、少しこわばった生徒といたが、まぁ彼らが中間テストでどのような点数をとるのかは、また別のお話で。
台詞の前にM.K(黒の場合)などで分かりやすくした方がいいのかなと考えているのですがどうでしょう意見を聞かせてください。