表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

額縁の向こう側 【月夜譚No.10】

作者: 夏月七葉

 絵画を見て回っていると、様々な物語を覗き見しているような心地になる。静穏な館内では余計なことを考えなくて良いから、ついつい想像力が羽を広げてしまう。

 あの簡素なドレスを着た婦人は、きっと恋人からの手紙を読んでいるのだろう。これから彼に会いに行く算段をするに違いない。あちらの飛び交う妖精達は、森の主を讃えて踊っているのだと思う。その歌声はこの世のものとは思えない程美しい響きを持つだろう。

 一つの作品の前で足を止めてはそんなことを考えて、一頻り楽しむとまた次の絵画に目を向ける。夢中になってそれを繰り返してふと気がつくと、いつの間にやら日が暮れてしまったらしい。誰もいない回廊の窓から差し込む橙の光を見遣って目を細める。

 さて帰ろうかと踵を返したその時、何かが視界の端を掠めた。それを追って首を振り返らせると、透明な羽をはばたかせた小さな人影が回廊の曲がり角に消えていくのが見えた。

 私は微笑を零すと、そのまま出口へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  絵画の持つ力というのは、時として空恐ろしくなるほどに、凄まじいものですよね……。  その姿は、絵画が見せた幻想か、或いは……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ