表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/63

63.イベント後の方針会議



 二人がアルゲンルイムに帰ったのは程々に夜も更けてきた頃合いになってしまった。

 なので色々とこれから話は明日にするという事で各自一度ログアウトし、各々の日常へと戻っていく。

 次の日、思い思いに過ごしていたナイン達一行は決まり事の様に酒場へと集まっていた。


 ナインとヒューイはゲーム外ウィンドウから狩場やイベントなどの下調べ。

 スプークとマージーは生産物の素材の仕入れと生産の予定立て。

 アリスは何故か大きなアザラシのぬいぐるみを抱いてのんびりしていた。


「……ねえ、さっきから気になったんだけれど、そのぬいぐるみ……」

「あ、コレですか?プレイヤーメイクの物らしいので、つい」

「インベントリ圧迫しそうじゃないの」

「そうですね、でも三枠だけですよ?」

「「そんなに埋まるんかい」」


 片手間に問うナインとヒューイに返された言葉に、二人は呆れながらも仕方ないといった表情で彼女を見守る。

 そうしているとふと、纏まっていた戦闘組三人に生産組二人がナインを見て呟く。


「そういえば、総長……どう勝ったんすか?」

「……気になる」

「ん、そこを聞くんだ」

「私は負け犬ですもん……」

「ほらアリス、拗ねない」


 予想とは少々違う問いかけに苦笑しながらも、ぬいぐるみに顔を埋めて拗ねるアリスの頭を撫でながらナインは少し考え――


「秘密」

「……無粋?」

「あんまりっす」


 アリスの名誉の為に黙っている事にした。

 細かく言う所でもなければ、隠し札として取っておくのも良いと思った故の事。

 それよりも、ナインとしては各々の活動方針の確認の方が重要だった。



「そんな事よりも、これからどうする?」

「どうするってーと?」

「方針っすか?」

「……?」

「私はしばらく自分を鍛えまーす……」

「おう、じゃあ俺もそうすっかな」


 軽食を注文しながら話題を切り出せば、早速戦闘組二人は自主トレなどを行うという。

 なんでも今回はベスト4やその上を狙ってたらしく、悔しい結果だったようだ。

 それに反してナインは特に思う事無く挑んでいた為に肩を竦める他ない。


 そして注文して運ばれてきた軽食を手に、半分以上は生産をしている二人を見れば多少の言葉を交わした後でナインの方を向く。


「うちらもこの辺か古都に居ようと思ってるんすよねぃ」

「金属、毛皮、薬草……良い素材、多いから」

「なるほどね」


 チキンカツが挟まれたサンドイッチを口にしていれば、聞かされる言葉になるほどと頷く。

 口の中に溢れる鶏の肉汁と合わさるマスタードの効いた濃厚なソースの味を水で洗い流しながら、ナインの頭にこの世界の世界地図が思い浮かぶ。

 この『Stranger Online』では現状大陸が一つしかなく、そして三つの国が古都を中心に三分している形となっている。



 一つはナイン達一行の居るヘリジャ連邦。

 大陸北方の大半を領土として保有する都市国家の連なりでの国。

 亜人や獣人が多い為に生産組二人が過ごしやすいというのもある他、物的資源では三国の中ではトップである。

 その代わり古都からの道を始め、若干到達し辛い地域では有ったが……今ではもう関係がない。


 他二国の内の一つがフェイル帝国。

 大陸の北東から南東までを支配し帝政を敷いている国家だ。

 こちらは純粋な国家で、規模は連邦より小さい物の魔術や機械技術など、技術が発展している国と言える。

 人種は人間が多くを占めるものの、実力主義の風潮が強いために偏見はないそうだ。


 そして最後はミルムルド王国。

 大陸中央から西、南方の広い範囲を収める封建国家となっている。

 帝国とは対照的に、剣と魔法が発達して居る他、一大農地としての一面が強いらしい。

 ただ一部の亜人を除き亜人や獣人などは異端扱いのようで、ナイン達には中々に暮らしにくそうな国だ。



 そんな三国がある中で、五人の過半数を超える四人が残るという。

 ならば――


「いっそクランでも立ててホームを連邦(こっち)に立てる?」

「「「「寒いから嫌」だな」っす」です」

「えぇ……」

「でもどこにするにせよ、ホームは欲しいよね」

「そうっすねぃ……生産するプレイヤーとしては是非とも欲しいっすね」


 提案を一蹴されるナインは苦笑するしかないが、それでも彼女としては提案を下ろすつもりは無かった。

 なので言葉を次げば、生産組は首を縦に振る。

 モンスターや資源を素材とする二人としては、ここは良い環境なのだろう。


「なら、古都の北エリアで物件でも探すしかないかなぁ……」

「そうなるとお値段高そうっすよねぃ」

「それが、ね」

「ヒューイと姉さんと私、三人で何とか稼げるかと思いますが?」

「端の方なら、どうにかできるかも……?」

「スプークとマージー嬢ちゃんにも手伝ってもらえりゃ、案外いけんじゃないの」


 次善策という事で、アルゲンルイムにアクセスしやすい古都という事で、この場の総意は大体纏まって行った。

 問題は立地や資金が問題となるが……そちらはゆくゆく解決していけばいい事だろう。

 そもそもの問題、ホームにと考える建物以前にクランそのものを作っていないのだから。



 一行がそんな話を交えながら摘んでいた軽食が無くなれば、思い思いに飲み物を求めながら会話は続く。

 ナインとヒューイはソーダ、アリスとマージーはベリージュース、スプークはアップルジュースに手を付けていた。

 他愛ない話題が続いた後、ふと話の切れ間にナインは切り込む。


「そうだ、次のイベントが来るとしたら……どっちだと思う?」


 最初は古都での防衛戦、次に王国の闘技場での闘技大会。

 そうなれば自然と次のイベントは帝国か連邦のどちらかではないかと予想は出来る。

 故に気になったのだ。


「多分だけどよ、戦闘戦闘って続いたから次は生産イベじゃねーの?」

「ですよね。問題はどちらか、ですか……」

「帝国だと資材集めてなんか建設しそうっすよねぃ」

「……もしくは、なんらかの、コンテスト……?」

「まさかだけれど、また戦闘系じゃあないよね」


 それぞれの考えが出されるも、一同ピンとくるものが無く首を傾げてしまう。

 しかし、おそらく生産系のイベントであろう事にヤマを張って、素材の収集に力を入れる事に結論は至って行った。


「じゃ、変わらずこの北の地と古都を行き来で決まりだね」

「そうですね、大まかにはそんな感じになるかと?」

「単純でいいじゃないの」

「っすねぃ」

「……ん」

「じゃ、明日からも平常運航でいこっか、皆」



 のんびりとした空気の中で一時的に沸いた熱狂の荒熱も霧散し、それぞれ日常の様に好き勝手して夜は更けていった。




はい、という事で二章が終わって一句切りとなります。


三章からなのですが少々忙しくなることに加え、ここ最近筆が乗らず更新がまばらだった事を鑑みて、ある程度書き溜めしていくスタイルを試してみようと思います。

ですので長くて一月ほど、こちらの更新は止めさせて頂きたいと思っています事をお知らせいたします。


そう言った事情ですので、気長にお待ちください。

その分現状で改善できそうな問題点なども、徐々に解決して良いモノにしていきたいと思っていますのでお楽しみあれ、なんて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もし気に入って貰えたようでしたらブックマーク評価感想を頂けると励みになります。

小説家になろう 勝手にランキング

小説家になろうSNSシェアツール
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ