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59.闘技大会・終

短めです。


そして誤字報告や感想ありがとうございます。




 アナウンスの宣言と共に会場に集まった観客の大歓声が響き渡った。

 その大音量と視界に浮かぶ『Lose』の表示と空を見上げていると、ナインの視界に空に打ち上げられる花火のようなものが不意に視界に入る。


「っはは」


 自分に意固地となって負けた。

 楽しむ為とはいえ、これは反省案件だろう。


 舞台に大の字になりつつそう考えていれば、先程まで斬り結んでいたアリソン(相手)の顔が見え、ナインは苦笑する。


「優勝おめでとう。やっぱり強いね」

「そりゃあな。それと楽しかったぞ、乗ってくれてありがとう」

「どういたしましてと、こちらこそ」


 鎧の隙間から見える表情を破顔させて差し出される彼の手を、ナインは掴み起き上がらせて貰う。

 そして笑い合いながらも、勝つためではなく楽しむ為に戦っていた事がバレて彼女は頬を掻くしかない。


 ナインとしても畑違いの強者と戦えるまたとない機会、逃すわけにもいかずに貴重な対人戦(PvP)の経験を積ませて貰ったという訳だ。

 それによって負けたとしても代わりに彼女が得る物はとても大きかった。


 そして闘技場の武骨な雰囲気を彩る花火が終ると表彰式へと移行し、ベスト8のプレイヤーはそれぞれトロフィーやメダルなどを受け取って行った。



 表彰式が終わると余韻に浸っている暇もなくプレイヤー達は皆、元々居た街へと強制的に帰還させられる。

 その後ナイン達はアルゲンルイムに集まり、例の酒場でささやかな宴会を開いていた。


「闘技大会、お疲れ様っす!」

「お疲れ~」

「お疲れ様です」

「おつかれ」

「みんな、お疲れ様」


 思い思いの飲み物に料理を頼み、音頭はスプークがとり皆で卓を囲む一行。

 それぞれに出場に専念した三人と、出場と共に皆の装備を整えてくれた二人の小さな纏まりは、泡のように離れ繋がりまた離れと組み合わせを変えて歓談が進む。


 丁度アリスとヒューイが話す番になった時、二対のジト目がナインへと向けられた。


「……」

「総長。なんで()()、使わなかったんすか」

「作るの、大変だった」

「……あはは、ごめんごめん」

「ごめんじゃないっすよこのー!」

「……このー」

「わ、ちょ、ごめんって!?」


 じっとりとした目線に睨め付けられ、頬を掻いて苦笑を浮かべる彼女の脇を両サイドから二人は襲い掛かる。

 堪らずに持っていたカップを落さないように悶えながら、ナインは不満そうな二人へと言い訳した。


「いやだってさ、貴賓席あったでしょ?あそこの護衛がマスケット持ってたからさ……不味いかなって?」

「……へーえ?」

「……本音、は?」

「あー思えばこの世界のルールでの近接戦闘における対人戦闘のいい経験になるかなーって思t――痛っ、いたたたたッ」


 勝利よりも好奇心などを優先したナインへは、彼女達の間で思い切り頬を抓られる。

 そして要らぬ苦労をさせられた二人の不満は爆発した。


「総長の――」

「ナイン、の――」

「ちょ、待っ――」

「「ばかぁ!」」


 頬へはスプークのグーパン()が、みぞおちへはマージーの肘がめり込む。

 二人の二撃に白目を剥いたナインは決勝戦でのダメージより深く意識が飛びかけてしまう。

 そんな様子に話をしていたヒューイは呆れ、アリスは空気を察しつつもナインへと肩を貸した。


「だ、大丈夫ですか姉さん……」

「おいおいナイン、なーに怒らせてんの」

「私は悪くねぇ……」

「いや悪いだろ、この空気なら」

「ぐぬぉう……」


 グロッキ―な彼女の様子に満足したのか、スプークとマージーは仲良く卓の食事を摘み始めている。

 そんな微笑ましい様子を横目に、ヒューイと苦笑し合いながらアリスの肩を借りるナインは彼女の耳元で囁く。



「アリス、後でゆっくりと話をしよう」

「え?ああ、夕食の時にですか?」

「いいや、食事の後にゲーム内(こっち)で」

「?……わかりました」


 首を傾げる彼女から離れるナインは、再び卓に戻り食事や料理を楽しみ始める。

 その後ろ姿に安心しながらも、僅かに唇を噛んでアリスは仲間との輪へと戻る事にした。




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