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56.闘技大会・本選③

最近投稿間隔などが乱れに乱れていて申し訳ありません。

その為だけではありませんが、さっくりと短めです。



「お疲れ様っすよぃ」

「おっす、お疲れさん」


 ナインが試合を終えて観客席へと戻ると、ヒューイとスプークが彼女を出迎えた。

 それに笑みを返し席に座ろうとして、ふと彼等で見えなかった影でマージーを膝に乗せ抱いているアリスが眼に入る。

 その様子に首を傾げれば、マージーから助けを求める様な視線を送られた為……アリスから彼女を引き剥がす事にした。


「あっ、あぁ……」

「ああ。じゃないよアリス」

「あぅ……」

「まったく……」


 解放されたマージーを逃がしてしまえば、行き場の無くなったアリスの手が空を掴む。

 それがナインに向けられたので、ぺしと撃墜すれば彼女の顔も俯いた。

 仕方なく聞き分けの無い妹の頭を少々乱暴に撫で回しながらナインは言葉を続ける。


「済んだことを気にしても、仕方無いでしょ?あれが今のアリスの実力と運。そう言う事なんだから」

「でも……」

「でももなにもないよ。後は……次はこうならないように、頑張るしかないね」

「……はい」


 綺麗な薄金の髪を揉みくちゃにしても文句を言う気力もない様子に、これ以上は気が引けて撫でるのを止めて席へと戻る。



 そうしている間にも時間は過ぎ、第三試合が始まるようで会場はアナウンスの声に誘われて再び歓声に満たされた。

 両隣をヒューイとアリス、後ろにマージーとスプークが詰めて座ると、後ろから肩にもたれかかりつつの質問がナインにかけられる。

 その言葉に少し考えているとアリスが膝の上に倒れ込んできたので、猫にそうするように撫でながら正直な感想を口にした。


「総長総長。次の試合、どっちが勝つと思いますかねぃ?」

「ん、どっちでもいいかな。重城さんかヒューイに勝てそうだと思えないし」

「辛辣っすねぃ……」

「そこで俺、って言ってくれねえのが辛いじゃないの……」


 目の前では盗賊系の職であって素早さを活かすjakku444(ジャック)と、それを追って弓を構え矢を放つtsukune-Y(ツクネ)の試合が繰り広げられている。

 しかし試合を観るナインの目は先程までの獰猛さは無く、他人事のように観戦していた。

 その上、口から漏れ出した言葉にヒューイは項垂れる。


「アリスが負けたように、何が有るか判らないからね」

「そー言って。ホントのとこどれ位だと思ってんの」

「ヒューイが3、相手が7」

「ひでぇや……」

「だって相性悪いでしょ……?」

「そらそうだけどよ……」


 ちなみに重城ことAlis0n-6(アリソン)の職である重騎士は、その名の通り重装備の騎士。

 物理魔法共に高い防御力を備える盾役(タンク)であるが為に、剣に弓に魔法と多芸でも一撃の軽い軽戦士のヒューイには辛い相手となる。

 故にナイン達の一行では、ヒューイが一番勝率に恵まれていないだろう。

 そして一撃が重く本人の耐久力も高いマージーが、一番勝算が見込めるとナインは思っている。


「でもヒューイ以外なら、釘付けのするほどに攻めれば勝ち目はあるだろうからね。特にマージーなら」

「……ん」

「まあ、マージーちゃんならなあ」

「そういう、ナインは、どう……?」

「そうそ、総長こそあの重戦車みたいなのに勝てるんすか?」

「んー……30分じゃ削り切れないかな、多分」

「うっわぁ……」


 重騎士の相手と言われて、ナインの脳裏に浮かんだのはワーズ墓所のボスだ。

 あれと同じとは言わないまでも攻撃の通らない相手への搦め手は、今ではいくらでも手が有る。

 なので本選の30分では削り切れないとは思うが、決勝の一時間有ればなんとかなると彼女は踏んでいた。


 そうこうしていると、一際大きな歓声が上がったので皆の視線が試合へと向き直れば、丁度試合に決着がついた所だった。

 懐に入ったジャックがツクネの苦し紛れに放たれた矢を掴みその矢を喉へ、自前のナイフを胸元に突き立てている。


「ん、そろそろヒューイの番だね」

「おう、お前の予想が当てにならない所を示してやろうじゃないの!」

「ふぁいとっすよー」

「「……」」

「頑張って逝ってきてね」

「おいその行くって字、絶対違う意味で言ってないか!?」


 観客席から控え室へ向かおうとするヒューイを見送り――若干二名ほどは手を振っただけだが――四人は顔を見合わせた。



「じゃ、本人が居なくなったから言うけれど……勝てると思う?」

「無理っすねぃ、PSもゲームへの熟練度も足りないっすよ

「ヒューイさん、RPG全般に強くても……『StOn』の経験は皆横並びですから……」

「どう、足掻くのか……その予想、のほうが……?」

「……辛辣なの、私だけじゃないじゃない」


 横に振られる首と共に、三者三様の言葉を聞けば呆れた風にナインも首を振る。


 その皆の予想どおり、ヒューイはアリソンに対し有効打を与えられず、逆にカウンターを幾つか貰った事による判定負けを喫した。




ごめんなヒューイ。

でもダイスを振り直し5回も試合展開を変えても全敗する君が悪いのだよ……。


気分が乗ったら、一行で済ませていた部分を加筆するかもしれません。

それで許せ、ヒューイよ……。

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