52.闘技大会・予選②
一件の脱字を修正させて頂きました、報告ありがとうございます。
あっと言う間に時間は過ぎ去っていき、闘技大会の予選時刻が終了に近付いていた頃。
ナインは予選が始まる前に仲間と会話していた一角で、ウィンドウを開き目を通していた。
見ているのは自分の試合。他人の試合の録画は出来ない様で、中継なども無い為に実際に観戦しないといけない事は判っていた。
故に早く試合を終わらせた後、他ブロックの試合を観戦した後に自分の戦いを見直していた所となる。
そうやって彼女は自主的な反省会と時間潰しをしていると、悪友と妹が姿を見せた。
「居た居た。お疲れさまじゃないの」
「おつかれさまです、姉さん」
「ああ。お帰り、二人とも。お疲れ様」
上機嫌なヒューイと上気し興奮している様子のアリスを迎えては、軽いハイタッチを二人が求めるので仕方なく両手でそれに応じる。
小さな歓声を上げると幾つかの奇異の視線が向けられたが、仕方がない事だろう。
「それで、どんな感じだった?二人は」
「楽しかったです!腕のいい弓使いの人と当たっていい勉強になりました」
「うわぁ、妹ちゃんえげつねぇ……ま、こっちは当然って感じだな」
「それは良かった。私も程々に楽しんで調子の確認をしてきたよ」
「……遊ばれた相手が可哀想です」
「同感。きっとコイツのことだから、挑発しまくりなんだろうな」
「……そんな事無いよ?」
見抜かれているようで、流石妹と悪友といったものだろう。
などと談話をしていれば沈んだ様子の残りの二人が返ってきた。
「……ん。マージ、スプーク?」
「ぉぉぉぉん……」
「……」
目に留まった二人を見れば、陽気なスプークは意気消沈し耳も尻尾も垂れている。
マージーの方は愛想のない無表情は変わらないものの、イラ付いたようなぴりぴりした空気を纏っていた。
その様子に黒星でも貰ってしまったか、などと考えてしまう。
「総長ぉ……勝ち負け半々だったっすぅ」
「おおよしよし。タイマンで魔法使いではよくやった……のかな?」
「ええ、元々後衛が基本ですからね」
「それでも半分行けたのか、凄いじゃないの。なあ?」
泣きじゃくる彼女を受け止めては、宥めるようにナインの手が撫で回す。
そしてアリスとヒューイの二人がフォローすれば、次第に泣き声が収まっていく。
ならば、とマージーの方をナインが見るがどうやら不機嫌の理由は負けだけではなさそうと感じる。
「マージー。君も?」
「はい」
「……そこまで苛立つ相手に当たったのかな?」
「とても、鬱陶しい、奴に……」
「そっか。ほら」
泣き止んでも消沈したままのスプークをアリスに押し付け、彼女の方へとしゃがんで腕を拡げる。
すると何も言わないまま、ぽすりと身体ごとぶつかってくるので受け止め、慰めに頭を撫でていく。
若干身体が震えているのは、悔しいからだろうか。
そんな詮索はしないまま、しばらく仲間同士の言葉無き交流を深めていた。
「じゃあ、一応だけれどリザルトを見せておくよ」
そう言ってナインはウィンドウを開き、皆へと見せる。
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弓使 〇
魔使 〇
大剣 〇
重騎 〇
騎士 〇
盗賊 〇
剣士 〇
魔使 〇
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「これまた綺麗に纏めたな」
「簡素過ぎるあたり、姉さんですね」
「どういう意味さ」
「そのままの、意味じゃ、ないっすか?」
ようやく調子が戻ってきた様子のスプークにまでダメ出しされて、不服そうにナインは次を求める。
するとそれにアリスとヒューイが答えた。
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まとめ・戦闘は全てHP全損
大剣使 勝利 攻撃が大振りであまり苦になりませんでした。
魔法使 勝利 逃げ回るだけで参考になりません。
双剣士 勝利 良い動きをされて、いいウォーミングアップに。
魔法使 勝利 こちらは罠型で、多少苦戦しました。参考に。
盗賊 勝利 手数もですが、姿を隠されるのが困ります。
魔騎士 勝利 攻防バランスが取れていて、苦戦しました。
弓使い 勝利 脚を止め続けていたので魔法の的です。
重戦士 勝利 ちょっと苦戦しましたが、何のことはなく。
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これがアリスのリザルト、そしてヒューイのものは――
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全部勝ち
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「お前私より酷いリザルトの書き方で何を言えたものなの?」
「ナイン、ほら地が出てるぞ」
「確かに、ちょっと酷いですね」
「妹ちゃんまで……」
「それだけ杜撰ってことっすよ」
「……すぼら」
「ぐっはァ」
なにやらダメージを受けているようだがアレは自らの行いのせいだろう。
そういう事にしてスプークに聞けば恥ずかしいのでナシで、と言われた。
ならマージーへと、差し支えなければとナインが聞けば……なにやらヒーラーに負けたらしい。
「ヒーラーが強いって結構おかしくないのかな」
「相当だな、それだけ強いんじゃないの。PSとかが」
「かもしれませんね……」
本来、味方に守られて後衛で仲間へと回復や支援を飛ばすのがヒーラーの役割であって、個人での戦闘能力は早々無い筈。
それが、タイマンにおいても力を発揮できるマージーを下したとなると……相当な実力者なのだろう。
そう頭を捻っていると、どうやら予選の終了時間となったようで、掲示板にトーナメント表等が張り出されたようだった。
故に皆で……なぜかマージーをまた肩車しながら、ナインはそちらに向かい内容を確認しにいった。
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無数のプレイヤーが群がる告知はしばらく近付けず見れないのかと思えば、どうやら意識を向ければその内容のウィンドウが開くようだった。
そのウィンドウを見ると――
「うん、まあ予想通りか」
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《トーナメント本選のお知らせ》 05/01/16:00
皆さん予選お疲れ様です、StOn運営チームです。
明日、05/02 10:00より行われる本選出場者の発表を行います。
予選突破されたプレイヤーの皆様は、明日遅れずに本選への参加をお願いいたします。
また、この出場者の内優勝するプレイヤーの予想を立てる賭けを行うことが出来ます。
こちらの受付締め切りは明日の本選開始一時間前。09:00までとなっておりますのでご注意ください。
・スケジュール
〇第一試合
Alice《魔剣士:Lv.45》勝ち抜き点:192pt
vs
Er1c《曲芸師:Lv.45》勝ち抜き点:176pt
〇第二試合
Fraux《聖職者:Lv.45》勝ち抜き点:171pt
vs
Nein《処刑人:Lv.45》勝ち抜き点:189pt
〇第三試合
jakku444《暗殺者:Lv.45》勝ち抜き点:187pt
vs
tsukune-Y《弓術士:Lv.45》勝ち抜き点:174pt
〇第四試合
Alis0n-6《重騎士:Lv.45》勝ち抜き点:179pt
vs
Huheeey《軽戦士:Lv.45》勝ち抜き点:184pt
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「姉さん。《処刑人》を選んだのですね」
「そうでもあるし、そうでもないんだよね」
「……?」
「どういうこった」
「戦えばわかるよ」
発表されている内容を見て目を細める二人を見て、意味深に彼女は答える。
その様子に戦うかもしれないアリスとヒューイは背筋に寒気を覚えていた。
「まあ、総長らしいって言うか……そのものっすよねぃ」
「こらスプーク、余計な事言わない」
「……?」
「……マージーも、気にしないで良いからね」
そう談笑を続けた後、各々が思う相手に掛け金をベットしてログアウトした。





