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39.アイスウルフ戦①

すみません、寝て過ごしてしまいまして18時の予約投稿間に合いませんでした。



「さて……」


 交易都市アルゲンルイムから鉱山都市ゴルスクへ向かう道中、ナインは群れで襲ってくるホワイトウルフ達を一蹴していた。

 牙を剥いて飛び掛かる個体を盾で叩き落とし、剣で斬り伏せ、魔法で燃やしつつ捌き切れないものは身を躱し戦う。

 そんな危なげない戦いを数度繰り返して居れば、雪原の街道も半ばを過ぎたようだった。


 ちなみに、アルゲンルイムでの今の所での用事……図書館では収穫が無かったので、まずは依頼をこなそうという訳だ。。


「さっさと出てきてくれると、助かるんだけどね」


 呟きながら、もう何匹か数えるのも面倒になってきた狼をなぎ倒していく。

 そう蹂躙を続けていれば、ふと背筋に悪寒が走り《気配察知》と《危機感知》がうるさい位に警鐘を鳴らす。

 次いで視界の端に映るミニマップに紅い光点が浮かび、近付いてくる。


 こちらを見ている。そう感じる視線に気付いたころには、視界に入る青みがかった白い狼は穏やかな歩調でナインへと近づいてきていた。


「意外と、大きいな」


 どんどんと近づけば大きくなっていく体躯に、呆れた苦笑を漏らしてはサーベルについた血糊を払う。

 距離がじわりじわりと詰まっていくのを感じて、唇を笑みの形に引き絞って盾を構える。


 ナインが交戦準備を整える間にも雪狼は目の前まで迫っていて、怒れる孤狼は闘志が滾る咆哮を響かせた。





 明確な怒りの色が宿る双眸は、生きていると錯覚するほどで――否、実際にこの電子の世界に生きていて――空色の瞳からは同胞を殺された怒りと、殺意が込められていた。

 油断など許されようもない。そんな気配にナインは楽に腰を落とし、左手を前に斜に構える。


「いいよ、やろう?」

「グルォア!」


 にこりと彼女が微笑み語れば咆哮が応じ次の瞬間、爪と剣が火花を散らした。

 その接近した一瞬で、《看破》を雪狼へ使う。


《雪狼・アイスウルフ Lv.38》


 現在のナインのレベルは32、本来であれば一人で挑む相手ではないだろう。

 しかも今の一合で、想像以上に重い一撃を感じればなおさらだ。


 だが。


「まだまだァ!」


 振り下ろしからの弾丸の如き突進を躱し、見えた横っ腹へとサーベルの切っ先を突き込む――浅い。

 鎧のような上質な毛を一束斬り飛ばすもすぐに追撃の噛みつきが飛んでくるので、鼻っ面を盾で思い切り殴りつける。


 流石に動物として聞いたのか、若干怯んだ雪狼の脳天へと斬り付けるが、まだ浅くまた毛束を飛ばすに留まった。

 そこで雪狼が滅茶苦茶に暴れはじめたので、仕切り直しの流れに乗って一旦ナインも退く。


「流石に、強いね」


 《ワーズ墓所》や防衛線でのジェネラルとはまた別種の強さだ。

 そう思っていると、周りにホワイトウルフ達が集まり始める。


 流石に連携されるとマズいな。そう思っていると雪狼が唸るように咆え、それを聞いた狼達はその場に座る。

 自分の獲物を盗られたくない為か、はたまた誇りの為の決闘とでもいうつもりか。

 どちらにせよ、その心遣いにナインは構えたまま微笑み、集中する。


 雪狼の目を見詰める。

 電子の世界でも肌に感じるこいつらの敵意や殺意と言った物は本物だ。

 だがこちらが様子を窺っていると思っているのか、すぐに躍り掛かっては来ない。



 見極めろ。


 点で、視ろ。線で、繋げ。面で、切り替えろ。空間を支配しろ。

 毛を、皮膚を、肉を、骨を、臓物を透かして見、頭の中でバラバラにしては組み立てる。


 深く深く意識を集中し、感じた光を注視する。



 直後、雪狼が飛び掛かってきたので余裕をもってサイドステップで躱す。

 追撃が来る兆候を視るが、それを無視して横っ面を盾で殴りつける。


 突進の制動の最中に横からのエネルギーを受けてふらついた雪狼へ、更に殴る。殴りかかる。

 すると怯んだ様子を見せるので、手元にサーベルを引いて構え、全体重を乗せて突き込む。

 その一撃で舞った血しぶきを浴びながら、ナインが飛び退けば雪狼の周りに氷の槍が幾本も突き立てられる。


「っは」


 完全な不意打ちを躱されて、動揺に瞳を揺らす雪狼と目が合えば、ナインはすぐさま距離を詰めてその脳天にサーベルの峰を思い切り叩きつけた。

 しかし、それでも雪狼の四肢は震えながらも崩れず、立っている。

 なので叩く、打つ、殴る。


 さすがの頑丈さか、追撃を入れてもなお昏倒しない様子に歯を剥きながら、背を振るわせる快感を声に搾り出す。


「流石にお前じゃ死ねないな」


 向けられた低い言葉に、雪狼は毛を逆立たせ全身に力を漲らせる。

 それに応じるように、ナインは強くサーベルを握りしめた。





 実際、実力の差は明白であった。

 レベルも、ステータスも、ナインは到底雪狼には敵わない。


 その事は雪狼もナインも周囲の狼でさえも理解している。

 だが、現実はその真逆の様相を呈していた。



 雪狼が攻めれば、その攻撃は不意打ちであろうとも躱され、反撃に攻撃を受け、怯めば追撃が浴びせられる。

 そのような事態に雪狼は困惑していた。


 この雌は同胞を葬ってはいたが自分よりは強くなかったはずだ。

 簡単にとはいかなくとも、ねじ伏せることが出来たはずだ、と。


 そうナインが雪狼を翻弄していたのは、相手の速度を極力殺す闘いを挑んでいたからであった。



「ふふ、こっちこっち」


 確かに狼はその鋭い牙や爪が脅威であるが、そこに四足故の安定して繰り出される速度が乗る事で、脅威度が飛躍的に跳ね上がる。

 だからこそ、ナインは付かず離れずの距離を保ち続け、魔法を絡めた連続攻撃を捌いていた。


 フェイントの様に、噛みつく素振りからの突進や体当たりに見せかけて魔法で氷の槍を産み出すも、その兆候を視てナインは時に盾で捌きつつ躱し続ける。

 そして無理な攻撃で出来た隙を突く様に突進後の雪狼の腹を鋭く蹴り上げ、槍を弾いてはサーベルで背を斬り付ける。


 勝負は時間の問題の様にも思えた。

 が、雪狼のHPゲージが半分を切った時、蒼いオーラを纏った様子を見て身構える。


 直後、殺意が消え闘志に満ちた真っ蒼な瞳を向けられて一瞬怯んでしまい、ナインは吹き飛ばされた。



動物系のモンスターって、大きくなると急に強く怖くなりますよね。

でも大きなハスキーとは仲良くなってみたいかもと思ったり。

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