20.決着後と新エリア
ざっくり短めです。
1/25 話数間違えを訂正。
《レベル25になりました》
《レベル26になりました》
《レベル27になりました》
《プレイヤー名 ナイン アリス スプーク が北部森林へ到達しました》
《プレイヤー名 ナイン アリス スプーク が古都北方のエリアボス ビッグトレント を討伐しました》
《称号:冒険者を獲得しました》
《ビッグトレント初討伐報酬によって、SPが5ポイント獲得されます》
ぴろぴろとなり続けた通知音が止んだ頃、三人はそれぞれ違った理由でエリアボスと戦うフィールドから動くことが出来なかった。
アリスは最後の根による攻撃のラッシュを捌くのが精いっぱいで、息を切らせ疲労で動けないようだ。
スプークは気絶している。ボスへのトドメの際、MPを使い過ぎたようだ。
そして私、ナインは……。
「っく、ぅ、いっ、おぉ……」
ビッグトレントを蹴りつけた衝撃で、猛烈に足の甲が痛かった。
戦闘中はアドレナリンが出ていたせいなのか気にもならなかったが……戦闘終了後、じわじわと襲い掛かる痛みに悶絶させられている。
そんなこんなで、リザルトすらまともに確認できない、情けない一行であった。
□
「と、言う訳で報告かーい」
「ぱちぱちぃ」
「……テンション高いなぁ、アリス」
十数分ほど、たっぷりと休んで木々の合間から差し込む陽が赤みを帯び始めた頃、ようやく動けるようになった三人はリザルトの確認を始めた。
「レベルは……」
「私が27」
「28っす」
「あ、姉さんだけ……」
悲しいかな。あのエリアボス戦闘では頑張っていたつもりなのだが、貢献度としては低かったらしい。
火力なのか、などと考えながら次にインベントリのウィンドウへと目を移す。
樹精の枝や葉、あとは木材の他に……樹精の指輪と言うものが有った。
「この、指輪は?」
「レアドロ、ですけれど……」
「その様子だと全員持ってるみたいですねぃ」
「じゃあ、初討伐の報酬でも有るのかな」
三人とも同じ指輪を手に、光に透かせたり紋様を眺めながらそう結論付ける中、性能を見れば――
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樹精の指輪(R)
VIT+10
INT+10
MND+10
魔力をふんだんに摂り込んで変質した樹精の力が宿っている指輪。
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ちょうど、皆が欲しいような性能の物で、嬉しさから顔を合わせ頷いた。
「……そういえば一番乗りだったんだね、この討伐」
「みたいでしたね。他にもう居ると思いましたけれど」
「だからぁ、急いで来たかったんですよぅ」
「この《冒険者》って称号は……」
「御想像の通り、新エリア一番乗りの証ですね」
「なるほどね」
そうしてリザルトの確認が終れば、広場の奥……北の森へと三人で向かう事にした。
夕暮れになりつつある森の中を歩いていくと、朝や深夜と勘違いしてしまいそうな程に気温の低下を肌で感じる。
よく見れば木々はまばらに針葉樹が混ざり、その足元の草むらはとても背の小さいものばかりだ。
「ここが《北の森》なんだ」
「ええ、見て判る通り気候が少しづつ変わりますし……」
「エネミーも、強くなるけど少なくなるんですよねぃ」
「へえ」
まさに雪国。と言うにはまだ相応しくないために精々北方と言った所だろうか。
厳しい自然故にモンスターなども狂暴になるのかななどと考えつつ、改めてここに来た理由をスプークへと尋ねる事にした。
「それで、ここで何が必要になるのかな」
「えっとですねぃ……魔力草か魔茸、あと上質な薬草と薬草……ハーブ類ですかねぃ?」
「ぶっちゃけ殆ど全部、ですよね。今の状況で必要なのは」
「ん、そっか」
指を折って種類を羅列していく彼女にそれなら最初から全部と、などと呆れた様子でアリスが補足する。
つまりはこのエリアで採取できるアイテムは、皆有用らしい。
「なら軽く観光しながら、集める事にするね」
「姉さんはここが初めてですからね。それも良いと思います」
「じゃあ落ちる時はまた、落ち合ってテント開きましょい」
軽く打ち合わせをしてから別々に三方へと散って、各自で求める薬草類を仕入れた後……合流し拾得物を分けた後、テントを設置し皆ログアウトする運びとなった。