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お手伝い③
「ヨツバ、僕が切った野菜を炒めてくれるかな?」
「はい、マスター」
コンロの上にフライパンを置くと、自分の動き通りに炒めるように指示する。
木ヘラで野菜を炒めるだけ、火力は自分が調節してあげれば失敗はしないだろうとギルは考えた。
だがーー
「焔石を切らしてたな」
焔石は衝撃を加えると熱と光を発する石だ。本物の火よりは弱いが料理や照明には十分な力を発揮するし、火起こしの手間もない。魔法を使えないギルには簡単で安心に使える便利な物だったのだが、
「料理をしなくなったから大量に買い込んでなかったからな」
頭骸骨をゴリゴリ掻くギル。
「私は火の魔法が使えます」
「凄いね! お願いできる?」
「はい!」
ヨツバは意気込み、魔法を発動させる。
そしてーー
「何で台所を爆発させたの?」
「……あははは」
眉間を押さえるカルネラにギルは苦笑するしかなかった。