1話
久々です。おかしな点がありましたら、教えてもらえると嬉しいです。
日が照る真昼の事だった。
僕は、最近はやっている「空飛ぶブーツ」を買うために商会ギルドに向かっていた。
スイングドアを手で押し開けると一つの建物に何件もの店が中央に道を開けて所せましに店を構えている。その盛り上がりはまるでお祭り並みにあちらこちらから人の声が聞こえる。これがほぼ毎日行われている。この喧騒の中、いつもここで働いている人たちは疲れないのだろうかと時々思う。
その間を歩いていると、すぐに店の人たちに呼び止められた。
「あ、チルコ!! どうだい私の織った織物を見ていかないかい?」
「おお、ルチアーノの坊主か……見て行けよ」
「チルコ、せっかくだし食って行けよ」
いろんな店員に声をかけられたが「またこんど寄るよ」とだけ言って目的のブーツを買うために多少小走りで、目的の場所に向かった。
僕は『アミルゼ商店』と書かれた看板の前にいた。正直、ここの店主はあまり好きじゃない。でも僕が求めている『空飛ぶブーツ』でしか買えない。
僕はからっている肩掛けカバンの紐をぐっと握ってアミルゼ商店に突入した。
「キャーー!! チルコたーん!!」
入った瞬間、僕の体の倍はある店主、アミルゼは僕にとびかかってきた。僕は瞬時に飛び込んでくるのを予想して僕は飛び込んでくる直線上から身をそらして回避した。すると同時に『ドゴーーン』という一種の爆発音にも似た衝撃音が店中に響いた。
「もぉ~いたいじゃない!!」
彼女が、本当に彼女だったならよかったんだけど……
「なに言ってるんだよ、この変態野郎!! あれにあたってたら僕の命なんて木っ端みじんだよ。」
そう彼はこの店の店主であり、変態主人というレッテルをこの商会ギルドでははっつけられていた。商売の腕は確か、お嫁さんもとても美しい人だ。なのにこの性癖…… この性癖がすべてを台無しにしているような気もする……。名前はアミルゼ・ブルーヴという。
「あー、カンタたんの意地悪、せっかく『空飛ぶブーツ』を仕入れてあげたのに、アミルゼ怒っちゃったぞ、プンプン」
「中年のくそジジイが何言ってんだ!! 美少女ならともかく、お前が言うと変態にしか思えないんだよ!! だから腕は一流なのにこの商会ギルドでも変態野郎っていうレッテルまで張られるんだ、そこが残念で仕方ない……」
「あーもー分かったわよ。さあ、こっちにらっしゃい。せっかくかわいい顔してるのに……」
僕の顔は十才とも相まって童顔で近頃は女の子に見間違われることも多々ある、髪の毛はおやじ譲りの銀髪で癖っ毛ばかりで四散している。目は深い蒼色をしている。それが奴のハートに突き刺さったらしく、こうして猛突進してくるのにもこの頃は慣れてきた。
「そうか、一度メールさんに言った方がいいかな~」
「わ、分かったわチルコたん、すぐ準備するわ」
アミルゼの顔が一気に引き締まる。
彼は、彼のお嫁さんのメールさんにからっきし弱い。なんでも悪い事をしたら最後までたっぷりとしぼられるらしい、だから『言いつけるぞ』というとしゃきっとした彼に戻る(しゃべり方は変わらないけど)。
別室に連れてこられた僕はアミルゼに変なことをされないか最大限の注意を払って部屋に入った。「持ってくるから待っててね」と言われた僕は、部屋にあったソファーにゆっくりと腰を掛けた。ずいぶんと掃除の行き届いた部屋で、クリスタルや珍しそうな絵も飾ってあった。正直僕には鑑定できるほどの知識は持ち合わせていないので単なるカンではあるが…… この部屋は多分普通の商談にも使われる応接室というものなのだろう。
数分後、アミルゼは中くらいの箱を持って僕の反対側のソファーに座った。
「これが『空飛ぶブーツ』よ」
パカリと開けられた箱の中には茶色のブーツに白い羽の生えたものが入っていた。
僕がそれに呆気に取られているとアミルゼは淡々と説明を始めた。
「魔力が必要だけれど、それも大した量じゃないわ。サイズは自動的に足に合わせてくれるし、感覚をつかめばすぐ慣れるわよ。ただあまり歩くのには特化していないわ。歩くときは普段の靴で、空を飛ぶときにはこの靴を履くようにしておけば、何ら問題ないわ。飛べる高さは4000mが限界という所かしら連続で飛べるのは約4時間程度でしょうね。速度は速くて走る馬並みだそうよ。無理して使うと壊れる危険性が高いから気を付けてね。上空で故障なんてシャレにならないから、できるだけ低いところを飛ぶのをお勧めするわ。」
随分と飛行距離が稼げるなと思いつつ、僕は一番気になっていることを聞いてみた
「いくら?」
「普通は3万ユンよ」
「……んなんて」
「だから3万ユン」
「……どうしよう……無理」
僕が今持っているのは最大2万ユンどう考えても無理だった。
「予想はついていたわよ、これ1万5千ユンで売ってあげる」
「え?半額でいいの?」
「ええ、ただしこれはちょっと性能が低かったり怪しいところがあったりするかもだからそこは自己責任で」
「え? それって不良品じゃ?」
「買わないなら売らないわよ、ただここまで安くなるのは私の商店くらいな物よ。もしかしたらもっと値段が上がって4万ユンになったりするかもよ~」
アミルゼは不敵な笑みを浮かばせながらこちらを見てくる。
正直ここで手に入るなら手に入れておきたい。何しろ1.5万ユンなのだから……。
「動かなかったら返却するからな……」
「動かないことはなさそうだから、それは保証するわ、動かなかったら是非持ってきてちょうだい。研究して黒白はっきり見極めれるように解体とかするから……」
さすがに商売人、やっぱりただ変態ではなかったようだ。
「分かった買おう。」
「まいどー、じゃあ私はカンタたんを3万ユンで買っちゃ ぐへっ!!!」
僕はこぶしを固めてアミルゼを殴った。
前言撤回、やっぱりこいつただの変態だわ。
「つれないわぁ~」
頬をさするアミルゼに蔑むような冷たい視線を送って僕は商店を後にした。




