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そのころキャイルとサグナは話し合っていた。
「まさか、キャイル様が、ララ・メローとメイド長を同じ部屋にするとは……、キャイル様も人が悪いですね」
「そうか? 落ちこぼれなら、一番良い指導者をつければ、すぐによくなると思ったのだけれど……」
「天然ですね、キャイル様は、それとも、わざとやっているのですか? どちらにしても、ララ・メローが苦労しそうですね」
「?」
キャイルは、不思議そうな顔でサグナを見つめる。
「ララ・メローにそれだけ期待しているんだ」
「そうですか、キャイル様の期待で押しつぶされないような、心の強いメイドだといいですね」
「ララ・メローは大丈夫だと思うぞ」
「どこから、そんな自信がわくのですか?」
「瞳だよ瞳、妙に、何かを感じたんだ」
「そうですか」
サグナも反論できず、黙った。
「そう言えば、そのララ・メローですが、何だか部屋割りに不満があったのでしょうね、様子が変でした」
サグナは、少し、勝ち誇った様にそう言った。
「変と言うと?」
「いつも明るい彼女が、まるで抜け殻のようになって、突っ立っていたように見えたんですよ」
「それは、大変だ!」
「キャイル様、絶対、大変だと思ってらっしゃらないですよね?」
「どうかな?」
キャイルは、笑顔でそう返した。
「では、何を言っても、まだ、ララ・メローはかわいそうじゃないんですよね?」
「もったいぶるな、彼女がどうした?」
「ボーとしていたのですが、泣いていたんですよ、涙が流れていました。それを見たらかわいそうに感じてしまって……」
「そうか」
「私は、ララ・メローなど、正直どうでも良いのですが、一応報告です」
「う~ん、やっぱり、泣くほど嫌だったか……悪い事してしまった気分だよ、サグナもそう思う?」
困った顔でキャイルはそう言った。
「キャイル様が決めたことです。何も言う事はございません」
「サグナ、微妙に、言葉にトゲがあるぞ」
「気のせいです」
「ところで、魔女は見つかったか?」
「いいえ、まだです」
「ネコになってしまっては、困るからな、その前に必ず見つけ出せ」
「はっ」