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ネコミミ王子と嘘つきメイド  作者: 花言葉
嘘つきな落ちこぼれメイド
4/23

2

 部屋を出て行ったララは、料理の仕度をしているメイド達に声をかけようとして、戸惑っていた。

「あの~王子様が、傷が痛むので、部屋で食事をとりたいと言っていたのだけど……」

「そう、それなら、私が届けようか?」

 ベテランのメイドがそう言う。

「いいえ、王子様は私を指名してくれて……」

「また、ウソついているの?」

「ウソじゃない」

「そうやってウソばかりじゃない」

「あらあら、みなさんどうなさったの」

 王妃が現れたので、みんな驚いている。

「ララ・メローが、王子に指名されたと言っているんです。でも、ララ・メローはウソばかりつくから、本当な事のわけがないともめていたんです」

「そうですか、ララ・メローさん、こちらを向いて」

「はい」

「……あら、ウソをついている人の目では無いわね」

 辺りがざわつく。

「この子に届けさせましょう」

「はい、ありがとうございます。王妃様」

(お金がかかっているんだから、約束を破るわけにもいかないのよね)

 心の中でそう思って、料理を運ぶ。

「王子様、持ってきましたよ~」

「ご苦労だった」

「大変だったんですよ」

「そうだろうとは思っていたんだよ、君は落ちこぼれだから、王子が指名したなんて言っても誰も信じないだろう、てね」

「私を試したんですか?」

「うん、それで君は合格、それとね、君が、俺付きのメイドになった事、みんなに伝えておくからね」

「えっと、お願いします」

 ララは頭を下げて部屋を出て行った。


◆ ◆ ◆


 ララは、メイド寮で相部屋のリサと部屋にいた。

「私、王子付きのメイドにさせられたんだけど……」

「また、ウソを言っているの?」

「本当よ、だって、明日人事異動があるじゃない」

「そうね、急に人事異動が決まった時には、驚いたわ、ララはメイドのランク、下にならないといいね」

「リサは昇格しそうだね、相部屋の相手も変わるのかしら?」

「そうね、何だかんだいって、ウソはつくけど、ララは、とてもいい人だったと思っているからね」

「ありがとうリサ」

 二人で抱き合った後、リサは、すぐに黒くて長い髪の毛をとかして、鏡の前に座っている。鏡には、リサの東洋系の美しい顔がうつっている。

「リサの髪はサラサラだね」

「どうせ、ララの事だから、何の努力もしていないと思っているんでしょう? 私は、髪に効く食べ物を出来るだけとるようにしているのよ」

「へ~それで、サラサラなのか」

「髪は女の命よ、ララもきれいにしなさい」

 リサにそう言われて、鏡の前に座らされる。

「こんなに伸ばしちゃって、少し切ろうかしら?」

「少しだけにしてね、ばっさり切っちゃうと、似合わないから」

「わかった、わかった」

 リサは、髪の毛にはさみを入れていく。

「あっ!」

「何?」

「何でもないわ」

 そして、仕上がりは、ロングからミディアム位まで切られた。ララの金色の髪は、ララの容姿に似合っているので、文句はなかった。

「リサ、ありがとう」

「いいえ」

 散らばった髪の毛をほうきで片づけて、リサは、ベッドの上で寝だした。

「今日も疲れたわ」

「大丈夫、リサ?」

「ええ、大丈夫よ」

 ララも眠ることにして、ベッドに入った。

「明かり消して……」

「はい」

 ララは、わざわざ明かりを消しに起き上がった。

「おやすみ」

「うん、おやすみ」


◆ ◆ ◆


 そして、次の日、人事異動では。

『王子付きメイド ララ・メロー』

 と書かれていた。

「ララ、昨日言っていた事、本当だったのね、大出世おめでとう、私も、少しランクが上がったわ」

 リサはそう言って、いなくなった。

「部屋割りは……」


『メイド長 カリーナ・ロハス

 王子付きメイド ララ・メロー』


 の文字が書いてあった。

(ひ、ひえ~、メイド長と同じ部屋なの~! 毎日、ビシビシ指導されちゃいそう、怖いわ……)

 頭がボーとして、つつーと涙が流れた。

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