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ネコミミ王子と嘘つきメイド  作者: 花言葉
嘘つきな落ちこぼれメイド
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1

 ララ・メローその人物の称号は、虚言癖のあるメイドだ。金髪に茶色い目、長い髪の毛を一つに束ねている。一見普通そうな彼女だが、実態は落ちこぼれである。

「ララ、掃除も出来ないで、メイド何て良くやってられるわね」

「だって、私、貴族だったから、出来ないんだもん」

「また、ウソついている、メロー何て貴族ないでしょ」

「没落貴族なの」

「没落でも、聞いたことないわよ」

 掃除をしながら、同僚と言い合っている。

「また、ララのウソ」

「聞き飽きた~」

「この前なんて、暗殺者の娘とか言っていたけど、あんたみたいにトロい子が暗殺者の娘なんて、とても思えないわ」

「こういうのって、くせになるんでしょう? あっ、ララはもうくせになっているか~」

 三人の仲間にいじられていると、サグナが来た。

「サグナ様」

「ララ・メローに用事がある」

「えっ、ララに?」

 そのまま、サグナがララの腕を引いて行く、ララは無抵抗に連れて行かれる。

「サグナ様、サグナ様」

「何だ?」

「私に何の御用ですか?」

「君には、王子付きのメイドになってもらう」

「……なんで、私なんですか? 私みたいな落ちこぼれより、良いメイドがいっぱいいるじゃないですか」

「落ちこぼれじゃないとだめなんだ」

「?」

 その後は、黙ってついて行った。

(何で、私なの~)

 そして、王子の前まで連れて行かれた。王子は帽子をかぶっていて、部屋着なのか、ラフな黒いチュニックを着ていた。


◆ ◆ ◆


「よく来てくれた」

 キャイルは、明るくララを迎えてくれた。

「ララ・メローです。よろしくお願いします」

「よろしく」

「ところで、一つ相談なんだけど、聞いてくれる?」

「は、はい」

「この頭なんだけど……」

 そう言って、キャイルは帽子を外した。

「ネコミミが生えている……もしかして、王子様って、そう言う趣味があったりするんですか?」

 少し引いてララはそう言う。

「いいや、そんな趣味はない、見る? 動くから」

 そう言って、キャイルは耳を動かした。

「キャー、生きているみたい」

 まだ、信じられないララは、最後に失礼を承知で触ることにした。

「うそ、抜けない、と言う事は、王子様はネコ族の方だったのですね、でも、前に見た時は耳何てなかったですよね」

「魔女と戦って、こんな風にされてしまったんだ」

「! 魔女なんて、本当にいたんだ。すごい!」

「感心している場合じゃないんだ、俺は、これがばれたら、城から追い出されるかもしれないんだ」

「大変ですね」

 ララの言い方は、他人行儀である。

「そこで、本当のことを言っても、誰も信じない人が必要だったんだ。そんなとき、丁度君を見つけたんだよ」

「それって、嫌味ですか? 私だって、仕えるのなら、ネコよりうさぎの方が、かわいいからいいわ」

「君は、うさぎが好きなのか?」

「はい」

 ララは迷わずそう返事した。

「それでも、一生下っ端メイドをやっても稼げない金を出すと言ったら、引き受けてくれるか?」

「その額にもよりますね」

「一億でどうだ」

「一億! 確かに稼げない額ね、引き受けた!」

 ララの瞳はらんらんと輝いた。

「君の家は?」

「私の家は、没落貴族で、前はお金持ちだったのよ、でも、お金が無くなった途端に孤児院に捨てられてしまったわ」

「それは、かわいそうに」

「それって、ウソですよね」

 サグナが口を挟んだ。

「私の知っている限り、没落貴族、現貴族の中に、メロー家など存在しないと認識しております」

「いいですよ、どうせウソですよ」

 ララは拗ねてそう言った。

「このように、ウソばかりついているので、誰も、ララ様の話を信じないのですよ」

「……」

 ララは何も言えなかった。

「そうなると、一番安心して、メイドを頼める。これからよろしくな」

「よろしくお願いします、お金」

 そう言って、握手した。

「まったく、礼儀がなって無いメイドですね、やっぱり、降ろした方が良いのではないでしょうか?」

 サグナがそう言う。

「まあ、いいじゃないか」

「それで、私は、今からどうしたら良いの?」

 ララが、そうキャイルに訊くと。

「お母様に「傷が痛むので食事を部屋で取りたいと言っていた」と言伝を頼まれてくれないか?」

「は、はい」

 ララは駆け出して行った。

「キャイル様、本当にあのようなメイドでよろしいのですか?」

「よろしいじゃないか、明るくていい子じゃないか」

「そうですか?」

 サグナの顔が引きつっている。

「大丈夫だ。心配するな」


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