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ネコミミ王子と嘘つきメイド  作者: 花言葉
エピローグ
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エピローグ

 次の日、キャイルとうさぎ小屋へ向かった。

「ララ、母上と父上には、暗殺貴族の事、洗いざらい話した。君を守るために必要だと思ったから」

「! では、王妃様も王様も反対なさったでしょう?」

「いいや、幸せにしてやれってさ」

「えっ?」

「ララは、ついに俺の物になるって事」

「王子……」

 キャイルは、ララに近づき、ララを抱きしめた。

「もう、手加減しないかもよ」

「王子、私は、まだ、心の準備が出来ていません。暗殺貴族の娘が姫なんて、おかしいです」

「おかしくないよ、ララはララでしょ」

「!」

「ララは、明るくて、かわいくて、ララはとっても魅力的だよ」

「王子、また、私を説得するためにそう言っているのでしょう?」

「はあ? あいにく本心なんだけど」

「うそでしょう」

 ララは信じてなどいなかった。

「はあ、まだ、俺がだましていると思っているわけ? その割に指輪してくれているんだね」

「こ、これは、マーガレット・ワイスさんが高い物だって言うから、もったいないかな? と思って……」

「そうか、ララにもこの価値がわかったか」

「マーガレット・ワイスがわかっていたんです」

「俺の思いも伝ったはずなんだけど」

「ええ、そうね、私も王子が大好きよ」

「! 今、大好きって言った? 空耳じゃないよね、ララ~」

 キャイルに、また、抱き付かれる。

「王子……」

「だって、うれしいじゃないか、ララが大好きって」

「……」

 頬が熱くなって、赤くなっていたと思う。

「サ、サグナの事は、何か言ったの?」

「何も、悪意があってやった事じゃないし、大体サグナをどう裁けばいいのさ、ネコミミ生やした事だって国民にはばれてないし」

「ふ~ん、それじゃあ、無罪」

「俺の補佐は降ろしたけど、城で働くのは変わり無いかな? サグナは優秀だからね」

(サグナこそ、最大のライバルなんじゃないの)

 ララは汗が流れた。

「でも、「魔女を捕まえるのは、私に任せて」って言われた時はびっくりしたな」

「あれは、私が気配を消せるから、魔女を取り押さえようと思って」

「それより、ララ、今夜は舞踏会だよ」

「私も、出来る限りがんばりますね」


その日の昼、化粧されて、ドレスを着せられたララ。

 舞踏会は、色々な国の姫が来ていた。我こそは王子に好かれようと、美しく着飾っている。

「みんな、きれいね」

「それは、そうですよ、一世一代の大勝負なんですから」

「王子って、こんなにきれいな人達より、私がいいのかな?」

「それは、会場に行けばわかります」

 ララは、ドレスの裾を軽く持ち、会場へ入って行く。すると、会場がどよめきだした。

「青よ、青」

「青で来るなんて、妹君?」

「見たことないわね」

 会場がおかしな雰囲気になってしまった。

「皆さん、お集まりくださりありがとうございます」

 キャイルが声を上げてそう言う。

「俺のダンスの相手は、もう決まっています。ララ・メローです」

 キャイルがそう言うと、みんなの視線がララに移る。

「えっ!」

「さあ、踊ろう、ララ」

 キャイルが手を握って来た。

「うん」

 ヴァイオリンの音が響く中、キャイルとララは手を取り合い、円を描くようにくるくると回っていた。

「ララ、ダンス上手だね」

「昔、練習していたのよ」

 ふふっと笑った。

「かわいいララも好きだけど、美しいララもいいね」

 キャイルは、そう言って、ダンスを続ける。

 二曲目、三曲目とキャイルはララを手放さない。

「王子、あの子とばかり踊っているよね」

「私達にチャンスなさそう」

 きれいなお嬢様達は、口々にそう言って、会場を去っていく。

「王子、いいんですか?」

「いいの、いいの」

 ララはこの時、キャイルの意図が良くわからなかった。


 次の日になると。

「ララ、新聞の一面みた?」

「えっ? もしかして、昨日の事、載っているんですか?」

「うん、載っていない方がおかしいかもね」


『王子のハートを射止めた、謎の女性』

 彼女の名前は、ララ・メローと言うらしい。

 孤児院の出身で、メイドをやっている。王子付きのメイドになったことで、気に入られたようだ。


「王子、まさか、これを狙って」

「国民に大々的に発表するなら、これが一番だよね」

「王子~!」

「怒らないでよ、君が俺の物だって、伝えたいと言っていただろ」

「また、そんな事を言っているのね~」

「ララ、君は、もう、俺の姫になるんだよ、公私共々よろしくってことで……」

「わかりました」

 二人で笑い合った。


 のちに、ララとキャイルは結婚して、幸せな家庭を気づき、国を明るい方へ導いて行ったのだった。


                                      (了)

読んでくださりありがとうございます。

無事完結できました。

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